タイトル: 「鏡の迷宮」

第十七章：鏡の中の真実

一行は再び集まった。村での奇怪な現象が増えていることを知った陸は、再度調査を提案した。蓮、遥、そして茉莉の家族も参加することになり、村の中心にある広場に向かう。

広場に立つと、今もなお、あの鏡が佇んでいた。茉莉が命を捧げたその場所には、何もないように見えたが、誰もが何かしらの異常を感じていた。風が強く吹き、鏡の表面が不自然に揺れる。何かが映り込むような気配があった。

「これが……」遥が恐る恐るつぶやいた。「茉莉が消えてから、ずっと感じていたこと。茉莉は、鏡の中にまだいるのかもしれない。」

その言葉に、蓮が眉をひそめる。「鏡の神が完全に消えたわけじゃないのか？茉莉の魂が何かに囚われているとでも？」

その時、鏡の表面が突然ひび割れ、内側から暗い影が溢れ出した。その影は、人間の形を模倣しているかのように動き始め、目を凝らして見ていると、茉莉の顔に似た特徴を持った影が浮かび上がった。

「茉莉……？」遥が叫ぶ。

その影は、次第に言葉を発し始めた。「私を忘れないで、みんな。」

その声は、まさに茉莉そのものであった。だが、鏡の中にいる茉莉の姿は、どこか歪んでおり、完全な安らぎを感じさせない。

「これは……どういうことだ？」陸が冷静に尋ねる。

「鏡の神が消えたと思ったが、実は神の力が、茉莉の魂に影響を与えていたのかもしれない。」蓮が深く考え込む。「神の力が完全に封じられたわけではなかった。茉莉がその力を受け入れ、犠牲になったとき、その力の一部が彼女の中に残ってしまったのか。」

その時、鏡の中から茉莉の影が再び現れる。今度は、どこか苦しげに叫びながら、言葉を紡いだ。

「私を解放して……お願い……。」

その言葉に、遥は胸が痛くなる。彼女の最期の瞬間、茉莉は神の力を消すために自らを犠牲にした。しかし、その力は茉莉の魂に取り憑き、解放されることなく鏡に囚われていたのだ。

「このままでは、茉莉は永遠に囚われたままだ。」蓮が言う。「鏡の神を完全に消し去る方法を見つけなければ、茉莉を救うことはできない。」