集団転移ですよ。

お説教 とは

　ウルによって僕達は本当にヤバイ事をしていたと知ってから体感で三十分後、こめかみに怒マークを付けているウルフ達の前に一列で正座した。
　全員が下を向き、絶対に視線を合わせてはいけないと感じていた。

　「お前ら、全員失格。　やり直し。」

　ウフルから今回の実習についてそう言われても僕らは黙って俯いたままを保っていた。ウフル達の到着前、プチパニックに陥ったナオにつられるように皆も立ち上がってウロウロと歩き回った時にウルが呟いた事が頭から離れないからだろう。

　『ハァ……ここにいた私達にとっては眼福でもあったけど自分の伴侶の全裸を晒していたと聞いたヤツ等はどうなるか……。』

　僕を膝の上に乗せてアワアワしてる様子を観察していたウルは呟きの後に僕らに向かってこう言ったんだ。
「ここにいた保護者達は皆バッチリ見てたから。桶の中で揺れるアレも濡れて灯りに照らされたお尻も全部ね。」と。

　僕らを見ていた保護者と町で留守番していた保護者が揃って前に立つ。僅かな機嫌の良さを見せる右側に対して左側の視線が厳しい。

　「お前ら」とウルフの説教が続く。案の定だが外でのお風呂の危険さを説かれた。

　「良いか、お前らがこの辺りで一番気をつけなきゃならんのは」『慣れた頃の油断』繰り返し言われた言葉が頭の中に蘇った。散々サイールからも言われていたのだ。

　「一番気をつけなきゃならんのは外でもない!俺等だ!!」

　……ん?と首を傾げる。そぉっと隣を見ると皆も　ん?　と首を傾げていた。聞き間違いじゃないらしい。

　「保護者達は見ただけじゃ普段と変わりないと思ってるかもしれんが、一発抜いてスッキリしてるだけだ!!」

　……は??

　「それから、留守番組だった俺等は旨味が全く無くて怒っている!」

　……はい??

　「つまりは留守番組も見たいと。」と冷静な?ウルの発言にウルフ達留守番組の左側は頷いた。


　それから僕らはなぜか「もう一度、風呂に入れ」と言われたのだけどあんなに散々言われた後だ、同じ状況で呑気に入れる訳もない。真っ青になって無理無理と首をふる1年の3人とこの後の状況が解るナオと僕2人は半泣きで嫌だと騒いだ。ようやく許された?理由は僕がパニックを起こして結界杭の向こう側に逃げ出したから。

　サイールに助けてと視線を送ったら顎で『行け』とさされて体が動いたんだ。泣き叫んで結界杭を抜けて森に向かった僕を見て全員が『やり過ぎた』と気づいたらしい。
　まぁ当然のごとく10分後には捕まえられたんだけど。

　「おい、お前等から10分逃げ回れるってすげーな。」
　「ああ、どうやら風の扱いがとんでもなく上手いらしくてな。ジュンは戦闘向きじゃないんで逃げる事を中心に教え込んでるんだ。」
　「それでもお前らから逃げるなんてオレでも5分が精々だろ。」

　捕獲という言葉が相応しい有り様で担がれた僕を迎えてくれた人とサイールが話してる。