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ちょっとお腹が黒い人

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 宮田の元には次々と書類が届けられる。
今、最優先で調べさせているのは白河家の事だ。

 一族経営の会社など、叩かなくても埃は出そうだが、この際だ、出し切ってもらおう。と日頃から使っている、情報収集専門の部署を引っ張り出していた。

「もう一度、此方のレストラン部門のキャッシュフローを見せてください。……良いでしょう。
 もう、手を出さずとも終わるでしょうが……。
 丹波銀行の頭取に連絡してください。」

 ああ、ついでに此方の書類を税務署の笹山さんへ届けてください。と秘書の1人に手渡す。

 明日の朝一番で起こる騒ぎを思い、黒い笑みが浮かぶ。
 


 私が彼に会ったのは、まだ彼が学生の頃だった。
彼の父親である篠山は自分の大学の先輩だ。
私が夏休みにゼミの教授の手伝いに出たところ、
何年も前に卒業したが…と紹介されたのだ。

 私には特別な才能など何も無いが、唯一、友人には恵まれていたと思う。
 多種多様の方面に顔の利く友人を持ち、友人達の繋ぎ役をこなしていた私を篠山は便利な奴だとおもしろがった。

 その私を、篠山は自分の長男の教育員にならないかと誘ってきた。
 篠山といえば、篠山総合病院を始めとする篠山グループの会長を勤めている。その秘蔵っ子とも言われている長男の教育役というのは非常に興味深い。

 正直、おもしろ半分で受けられる役ではない。
しかしやりたい。そんな私に篠山は知識ではなく、人との対応を見せてやってほしいと言ってきた。

 今も、そんな伝手を辿りさらに人脈を伸ばし、情報のやり取りをする。
 親しい友人達にはもう根回しをした。後はこの篠山グループに少しでも近づきたい者達がどう動いてくれるか?

 今回の餌は、奢ったαの一族。
マスコミなどが飛びついて、おもしろ可笑しく書き立てないよう注意して行わないといけない。

…任せなさい!と言ったものの、あ~疲れた。


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