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80話 モテ男
しおりを挟む「ごめんね。今は僕は女の子を守ってあげられるほどの余裕はないんだ。君はとても魅力的だと思うけど、僕じゃ幸せには出来ない。」
そう相斗は女の子に言った。
「僕が僕自身に納得できてないのに貴女と付き合おうと考えること自体が失礼だと思う。だから、ごめんなさい付き合えません。」
「わ、わかりました!すみませんでした!」
女の子は走っていってしまった。
「モテる男ってのは振るのも上手いもんだな。」
「覗き見とは趣味が悪いと思うけど?」
健は木の上で相斗と女の子の会話を聞いていた。
「自分に納得してないってお前は何様だ。顔も良くて強くて少し頭がガキっぽいところもあるが総合的に見れば悪くはねぇわな。」
「いや、本当だよ。僕はまだ自分自身に...........」
「それ以上は言うな。知ってるお前の考えてることくらい。少し意地悪をしてみただけだ。」
「本当に健は性格悪いよね!」
「あぁ、それはありがとう。」
「褒めてないよ。」
「そうかい。それで、どうすんだあの子は。」
「どうもしないよ。これからも普通に接していくつもりだよ。」
「モチベーションはかなり下がると思うけどな。」
相斗に告白をしたのは相斗の元で練習しているユリという女の子だ。
騎士団所属の選別メンバーの一人である。
「彼女のモチベーションのために付き合ってあげればよかったの?」
相斗は少し健に食い気味に対抗していた。
「そうは言ってないだろ。お前、なんか昔にあったのか?」
「本当に健はデリカシーにかけるよね。でも、それが喋りやすいってことなんだけどさ..............」
相斗は神妙な顔をしながら話し始めた。
「僕には好きな子がいたんだよ。その子のことを傷つけてしまってから、女の子とは親しくなることが怖いんだよ。」
「なんだよ。ありきたりなつまんねぇ理由だな。」
「そんなこと言わなくてもいいだろ!」
「まっ、俺には分からないことだ。何かをしろともその考えをやめろとは言わねぇよ。第一に告白ってのがどれだけ身勝手か.........。勝手にすきになって、振られたら傷つくんだぜ。」
「健らしいひねくれだね。」
相斗の顔には笑顔が映った。
「だが、少しは考えてやれよ。これがなんかの亀裂になるかもしれないからな。」
「うん、そこは気をつけるよ。」
健の予想は見事に的中した.........だが、それはまだ先のお話である............
┈┈┈┈┈┈┈┈┈翌日┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「アイトさん、昨日はごめんなさい!迷惑でしたよね?」
「いや、いいんだよ。嬉しかったけど、僕が未熟だから........。」
「いえいえ、アイトさんはなんも悪くないですよ!私こそ!」
ユリは相斗のフォローをした。
「そんことより練習しましょ?」
「う、うん、そうだね!!」
「なんだ、いい感じじゃないですか。」
「(こいついつの間に......)」
二人を見る健の後ろからジュニアが話しかけてきた。
「いやぁ、一時はどうなること思ったっすけど、やっぱりアイトさんは上手いですね。昨日の断り方も一流の男って感じでしたし、俺もなんかあったらああやって断ろ。」
「安心しろ。お前は俺と同じ位置にいるからな。(てか、こいつ覗き見してやがったのか..。)」
「えぇ、それは嫌っすよ!絶対に嫌っす!俺はアイトさん見たいに女の子から黄色い声援もらうんですよ!」
ゴンッバキッドカッ
「よし、訓練するぞ。」
「ばいっ、じょろじぐぼねばいじばず(訳:はい、よろしくお願いします。)」
ジュニアはボコボコにされた。
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