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48話 完敗
しおりを挟むセレスは既に健の後ろへと移動していた。
「そろそろ仕掛けるだろうね。」
「背後からの攻撃なんて絶好のチャンスだからな。」
"隠蔽Lv3"
隠蔽Lv3・・・存在感を限りなく薄くできる。視認はできるが、街中など人が多いところだとまず気づかない。
セレスは完璧なタイミングで"隠蔽"を発動して、完全に気配を消した状態で健の背後に立った。
「上手いね。」
「二人にすぐ負けたもののセレスは国で一番の精鋭だからな。
もしかしたら、傷の一つは付けれるかもしれないな。」
キングは何故か嬉しそうである。
「いや、残念だけどそれはなさそう。」
「なんで?」
「僕も健のことをそれほど深くまで知ってるわけじゃないけど、あの顔は.....」
「(チャンスだ。少しは驚いて貰えるだろうか.....。)」
セレスは健の背後から剣を抜き、細心の注意を払い、存在感を消しながら斬りかかった。
健との距離はあと1mというところで、健は身体を横にし、セレスを避けるように動いた。
「(バレていたのか.....)」
グッ
「(左腕が.....)」
健はセレスの左手首を掴み、剣から左手を離させた。
クルッ
「(なんだ、目の前が天井に.....)」
ドンッ
「これで終わりだ。」
セレスの首元には自分の右手で握っている剣があった。
何が起こったのかは分からなかったが、状況を理解したセレスは笑いながら
「参りました。」
そういった。
「勝者 タケル!!!」
「マジかよあのブリオンナイトが一瞬で(小声)」
「何もんなんだあいつは(小声)」
周りの傭兵たちは驚きのあまりに大きなリアクションはしなかった。
ただ、小声で健のことを話していた。
「大丈夫か?」
「おかげさまで。」
倒れたセレスに健は手を差し伸べ、セレスを立たせた。
「いやぁ、完敗です。」
「まっ、セレスで勝ったとなったら、タケルに負けたアイトに負けた俺の立場は無くなるからな.....」
キングは結構な声でそう言った。
「あのキング様にも勝ったのかあのお方は(小声)」
「なんて方だ。これは、絶好のチャンスではないか(小声)」
「アイト様、タケル様!!何卒、これからよろしくお願い致します!!」
傭兵全員が二人に膝をつき、訓練を手伝ってくれるよう懇願した。
「おい、キング。わざと言ったな。」
「まっ、これで一件落着でしょ。」
さっきのは、より強さをアピールするためのキングの悪知恵だったのだ。
「それでは、御二方。これから始める訓練は何をすればいいでしょうか?」
「あなたは?」
「申し遅れましたゴリと申します。この部隊の指揮をやらせてもらっています。」
先程、真っ先に4人の前に現れた教官のような男だった。
そして、健と相斗は心の中で思った。
「確かにこのガタイのよさにゴリという名前はピッタリだな。」と
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