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47話 気は抜くな
しおりを挟む「ということで、二人のどっちかが出てくれ。」
悪ガキと同じような顔をしてキングがそう言った。
「おい、キング。そんな話は聞いてなかったぞ。」
「そうだよ!あらかじめ言ってくれればよかったのに。」
「まぁ、もう仕方ねぇ。どっちにしろ、こうでもしないとヤツらは俺らを信用しないだろうしな。」
「確かにそれもそうだよね。」
二人は今回のキングの行動を認めざるを得なかった。
「さいしょはグー」
「じゃんけん」
健(グー)、相斗(パー)
「めんどくさいな。」
「健、ちゃんと手加減するんだよ。」
「わかってる。」
「セレス、安心しろ。怪我をしても治してやる。」
「い、いや、そういう問題では.....」
キングはフォローが下手だった。
そして、セレスはビビっていた。
それも当然である。先日、束になって襲いかかって軽々と返り討ちにしてきた相手と一対一で戦わなければならないのだから。
「じゃあ、ルール確認だ。武器の使用も魔法の使用も全てが許される。もちろん、故意に致命傷を与えたり、命を奪うようなことは禁止する。まあ、そんなことはしないと思うけど。」
楽しそうにニコニコしながらルール説明をし始めたキング。
「とりあえず、戦闘不能になるか、逆転が不可能になるまでは戦ってもらう。二人ともここまではいい?」
「あぁ。」
「は、はい!」
力を抜いている健とガッチガチに緊張しているセレス。
「じゃ、セレス。本気で行きなよ。力抜くと気を失うかもしれないよ。」
「わ、わかりました。アドバイスありがとうございます。」
キングはセレスに本気を出すように念押しした。
「なあ、あんた。」
「な、なんですか?」
「くれぐれも俺があんたを舐めてるなんて思わないでくれ。これが、俺があんたにだせる全力だからな。」
「あ、はい。わかりました。」
セレスは最初はなんのことか分からなかった。
「じゃあ、二人とも準備はいいか?」
「あぁ。」
「はい、いつでも。」
「では、開始!!」
"幻歩Lv3"
幻歩Lv3・・・相手に幻を見せ、歩行方向や速さを錯覚させる歩行方法。レベルが上がる事に幻の質が上がる。
「な、なんだ。セレス様が3人居るように見える。」
「何言ってんだ。あれは5人いるぞ!」
人によっては見え方が異なり、かなり戦闘においては汎用性の高いスキルである。
「ねぇ、キングは何人に見える?」
「一人だ。」
「やっぱりねぇ。僕もそうなんだよね。」
「ってことはタケルも.....。」
「多分ね.....。」
"幻術耐性Lv3"
幻術耐性Lv3・・・幻の類のスキル、魔法の大半を無効化する。
健は最初の位置から全くもって動いていない。動かず、ただただ一点を見つめているだけだった。
「あれ?健はもしかしたら見えてないのかも。」
「それはあり得るかもね。物理に強くてもこういうのに弱い人は結構いるからね。」
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