上 下
4 / 16

04.剣王 ビストロ

しおりを挟む



 あの作戦会議から二日後、つまり、戦争の前日となった。


「ソウマ王、本当に現れるのでしょうか?」

 蒼馬は召喚された時の玉座へと座っていた。横には正装をしたリグマが立っていた。


「あぁ、絶対にくる。」



 少し時間が経つと、扉の向こうから大きな足音が聞こえた。



ドスンッドスンッ



「やっと来やがったか、東の国、ビスト共和国の王  ビストロ・フォース。」




キィィィ


 玉座の扉が開かれ、そこにいたのは三mにもなる髭を生やした大男だ。


「お前か、ギランドの新たな異世界からきた王 ソウマ・シロタ!!!!」

「待っていたぞ、剣王。」

 その大男からは王足りうる圧倒的な威圧感が放たれていた。

 しかし、それにソウマは一切屈することなく笑っていた。



「つまらん話をしに来た訳では無い。主からもらったこの文に基づいて精算しに来たぞ。」


ボトボトボトボトボトボトボト


 そういってビストロは袋から沢山の人の首を落とし出した。



「ほぉ、思ったよりいたな。」



 この首は蒼馬が首にした貴族のクビだった。


「わしの国に亡命しようとし、この国を売った謀反者の首、合計で十四つだ。」

「あぁ、確かにこいつらはうちのやつらだ。」

「では、こいつら一人あたり白金貨枚で買い取ってもらおう。」



※白金貨一枚あたり日本円で一億円ほど



 蒼馬は全ての貴族の世襲制を廃止したと同時にビスト共和国へと遣いを出して、「裏切り者の首を一人白金貨十枚で買い取る。その際は王自らが出向いたり。」という趣旨の文を送り付けていたのだ。



「合わせて白金貨百四十枚だな。払ってやる、が終わったらな。」

「なんだと……戦争と言ったのか貴様!?」

 
 蒼馬の言葉を聞き、ビストロは怒りをあらわにした。


「あぁ、そうだ。明日、ギランドはリュク共同連盟国をぶっ潰す。その勝った時の賠償金でお前に白金貨百四十枚払ってやる。誰も直ぐに金を払うなんて言ってなかっただろ???」

「ハッハッハッハッ、新王は愚王だったか!!ギランドも地に落ちたものだな。」



 リュク共同連盟国に戦争を仕掛けると聞いてビストロは腹を抱えて笑った。



「何が面白い?」

「そりゃあ、そうだろ。グズの犬っころがワイバーンに立ち向かおうとしているのをみて、笑わぬものは居らぬだろう。」




「剣王 ビストロ・フォース、異能「覇王」。自らを心の底から慕うものの力を増大させ、その影響を受けたもの達の能力の一部を自らに加算するチート級の異能。」



 蒼馬はビストロの異能についてを話し始めた。



「だが、そのには弱点がある。ある一定の範囲内にいるものにしか適用されない。そして、その距離は恐らく約半径五十km。まあ、国内にいれば十分な力だが、ここはだ。どうする?剣王??」

 
 
 玉座から立ち上がり、蒼馬はビストロに近づいた。



「そこまで知るものは数える程しかいないはず……まさか、裏切り者が……」

「ちげぇよ、お前の戦場での立ち回りや城の兵士の配置を見て気づいたんだよ。お前の周りには兵士が多すぎるってな。」

「しかし残念だな。そこまでわかったことは褒めてやるが、我が連れてきたのはビスト共和国内でも屈指の実力者だ。数人いるだけで」

「転送」




シュンッ



「お前の負けだよ、剣王。」



 周りの護衛三人全てがその場から消えた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

投資家ハンターの資金管理 ~最強パーティを追放された青年は、美少女パーティにせがまれ最強へ導く~ (※ハンターは資金力がすべてです)

高美濃 四間
ファンタジー
最強パーティ『ソウルヒート』に所属していたヤマトは、動物と話せることと資金管理しかできないからと、ある日突然追放されてしまう。 その後、ソウルヒートは新しいメンバーを迎え入れるが、誰一人として気付いていなかった。 彼らの凄まじい浪費は、ヤマトの並外れた資金管理でしかカバーできないと。 一方のヤマトは、金貸しにだまされピンチに陥っている美少女パーティ『トリニティスイーツ』を助けると、彼女たちからせがまれ、最強パーティの元メンバーとしてアドバイスと資金管理をすることに。 彼はオリジナルの手法をいかし、美少女たちときゃっきゃうふふしながら、最強のハンターパーティへと導いていく。 やがて、ソウルヒートは資金不足で弱体化していき、ヤマトへ牙をむくが―― 投資家がハンターパーティを運用し成り上がっていく、痛快ファンタジー! ※本作は、小説家になろう様、タカミノe-storiesにも投稿しております。

馬鹿神のおかげで異世界『チート過ぎる』生活になった。

蒼真 空澄(ソウマ アスミ)
ファンタジー
※素敵なイラストは雀都様〈@sakutoart〉に作成して頂いたものです。 ※著作権は雀都様にあり、無断使用・無断転載はお控えください。 ある程度それなりの有名大学に進学。 特に学業でも何も問題すらない。 私はいつも思う。 「下らない。」 「つまらない。」 私がたまに出す口癖だけど。 でも本心だった。 昔から大人相手にしてきた事もあるけど。 相手の『目』を見れば、大体、嘘か本当かも判る。 だからこそウンザリする。 人間なんて嘘の塊でしかない。 大抵の事も苦労なく出来る。 友人なんて使いっ走りだ。 私の本心すら一切、気付かない馬鹿ばかり。 男なんて更に馬鹿で救いようがない。 私の外見のみ。 誰も内面なんて見ても居ない。 それに私の場合、金も親から定期的に貰ってる一人暮らし。 でも別に、それも実家に居ても変わらない。 親は常に仕事で居ない。 家には家政婦が定期的に来るだけ。 私には金を渡すだけ、ずっと今まで… そうやって生きてた。 家族旅行なんて一度もない。 家族での食事さえない。 親も所詮、金だけ。 私は人間が、一番嫌いだ。 私自身が人間な事すら嫌気がする。 そんな中でも普通を装って生活してた。 そんな私は、ある日を境に異世界へ。 どうやら私は死んだらしい… 別にそれは、どうでも良かったけど。 でも… 私の死は、神だと名乗る馬鹿のミスだった。 そんな私は慌てる様子をしてる馬鹿神を『誘導』してみた。 その馬鹿は… 本物の馬鹿神だった。 私が誘導したらアッサリ… まさかの異世界チート生活をする事になった。 私は内心、思う。 これは楽しめそうじゃないか? そんな形で始まった異世界生活。 私の場合は完全なチートだろう。 私専用にと得た『異能』もだけど。 更に、もう、それだけじゃなかった。 この異世界でなら誰の事すら気にする必要さえない!! だったら… 私は初めて本当の自由になれた気分だった。 そして初めて出会った『獣人』の言動にも困惑した。 動物でも、人間でもない… だけど、私に何を言いたいんだ? 全く判らない… それからだった。 私が判らない事もあったけど。 だから、相手の『提案』を一応は受けた。 その内容は『誰かを愛せるまで一緒に居る事』だった。 私が誰かを? 愛せる気すらないけど… それでも判らない日々を過ごしてく中に、また判らない感覚もある。 でもなぁ… 愛するって… 私は何をすれば? 判らないからこそ… 始まる異世界での恋愛チート物語を。

ケットシーな僕とはじまりの精霊

結月彩夜
ファンタジー
異世界転生物のライトノベルはよく読んでいたけど、自分がその立場となると笑えない。しかも、スタートが猫だなんてハードモードすぎやしない……な? これは、ケットシーに転生した僕がエルフな飼い主?と終わりまで生きていく物語。

没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 事業に失敗した父親の借金の返済期限がやって来た。数十人の金貸し達が屋敷に入って来る。  屋敷に一人残された男爵令嬢の三女カノン・ネロエスト(17歳)は、ペットの大型犬パトラッシュと一緒に追い出された。  長い金髪を切られ、着ていた高価な服もボロ服に変えられた。  そんな行く当てのない彼女に金貸しの男が、たったの2500ギルド渡して、冒険者ギルドを紹介した。  不幸の始まりかと思ったが、教会でジョブ『道具師』を習得した事で、幸福な生活がすぐに始まってしまう。  そんな幸福な日常生活の物語。

自衛官、異世界に墜落する

フレカレディカ
ファンタジー
ある日、航空自衛隊特殊任務部隊所属の元陸上自衛隊特殊作戦部隊所属の『暁神楽(あかつきかぐら)』が、乗っていた輸送機にどこからか飛んできたミサイルが当たり墜落してしまった。だが、墜落した先は異世界だった!暁はそこから新しくできた仲間と共に生活していくこととなった・・・ 現代軍隊×異世界ファンタジー!!! ※この作品は、長年デスクワークの私が現役の頃の記憶をひねり、思い出して趣味で制作しております。至らない点などがございましたら、教えて頂ければ嬉しいです。

勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている

まる
ファンタジー
 樋口康平はそこそこどこにでもいるごく平凡な人間を自負する高校生。  春休みのある日のこと、いつものように母親の経営する喫茶店・ピープルの店番をしていると勇者を名乗る少女が現れた。  手足と胴に鎧を纏い、腰に剣を差した銀髪の美少女セミリア・クルイードは魔王に敗れ、再び魔王に挑むべく仲間を捜しに異世界からやって来たと告げる。  やけに気合の入ったコスプレイヤーが訪れたものだと驚く康平だが、涙ながらに力を貸してくれと懇願するセミリアを突き放すことが出来ずに渋々仲間捜しに協力することに。  結果現れた、ノリと音楽命の現役女子大生西原春乃、自称ニートで自称オタクで自称魔女っ娘なんとかというアニメのファンクラブを作ったと言っても過言ではない人物らしい引き籠もりの高瀬寛太の二人に何故か自分と幼馴染みの草食系女子月野みのりを加えた到底魔王など倒せそうにない四人は勇者一行として異世界に旅立つことになるのだった。  そんな特別な力を持っているわけでもないながらも勇者一行として異世界で魔王を倒し、時には異国の王を救い、いつしか多くの英傑から必要とされ、幾度となく戦争を終わらせるべく人知れず奔走し、気付けば何人もの伴侶に囲まれ、のちに救世主と呼ばれることになる一人の少年の物語。  敢えて王道? を突き進んでみるべし。  スキルもチートも冒険者も追放も奴隷も獣人もアイテムボックスもフェンリルも必要ない!  ……といいなぁ、なんて気持ちで始めた挑戦です。笑 第一幕【勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている】 第二幕【~五大王国合同サミット~】 第三幕【~ただ一人の反逆者~】 第四幕【~連合軍vs連合軍~】 第五幕【~破滅の三大魔獣神~】

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

処理中です...