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04.剣王 ビストロ
しおりを挟むあの作戦会議から二日後、つまり、戦争の前日となった。
「ソウマ王、本当に現れるのでしょうか?」
蒼馬は召喚された時の玉座へと座っていた。横には正装をしたリグマが立っていた。
「あぁ、絶対にくる。」
少し時間が経つと、扉の向こうから大きな足音が聞こえた。
ドスンッドスンッ
「やっと来やがったか、東の国、ビスト共和国の王 剣王 ビストロ・フォース。」
キィィィ
玉座の扉が開かれ、そこにいたのは三mにもなる髭を生やした大男だ。
「お前か、ギランドの新たな異世界からきた王 ソウマ・シロタ!!!!」
「待っていたぞ、剣王。」
その大男からは王足りうる圧倒的な威圧感が放たれていた。
しかし、それにソウマは一切屈することなく笑っていた。
「つまらん話をしに来た訳では無い。主からもらったこの文に基づいて精算しに来たぞ。」
ボトボトボトボトボトボトボト
そういってビストロは袋から沢山の人の首を落とし出した。
「ほぉ、思ったよりいたな。」
この首は蒼馬が首にした貴族のクビだった。
「わしの国に亡命しようとし、この国を売った謀反者の首、合計で十四つだ。」
「あぁ、確かにこいつらはうちのやつらだ。」
「では、こいつら一人あたり白金貨十枚で買い取ってもらおう。」
※白金貨一枚あたり日本円で一億円ほど
蒼馬は全ての貴族の世襲制を廃止したと同時にビスト共和国へと遣いを出して、「裏切り者の首を一人白金貨十枚で買い取る。その際は王自らが出向いたり。」という趣旨の文を送り付けていたのだ。
「合わせて白金貨百四十枚だな。払ってやる、戦争が終わったらな。」
「なんだと……戦争と言ったのか貴様!?」
蒼馬の言葉を聞き、ビストロは怒りをあらわにした。
「あぁ、そうだ。明日、ギランドはリュク共同連盟国をぶっ潰す。その勝った時の賠償金でお前に白金貨百四十枚払ってやる。誰も直ぐに金を払うなんて言ってなかっただろ???」
「ハッハッハッハッ、新王は愚王だったか!!ギランドも地に落ちたものだな。」
リュク共同連盟国に戦争を仕掛けると聞いてビストロは腹を抱えて笑った。
「何が面白い?」
「そりゃあ、そうだろ。グズの犬っころがワイバーンに立ち向かおうとしているのをみて、笑わぬものは居らぬだろう。」
「剣王 ビストロ・フォース、異能「覇王」。自らを心の底から慕うものの力を増大させ、その影響を受けたもの達の能力の一部を自らに加算するチート級の異能。」
蒼馬はビストロの異能についてを話し始めた。
「だが、その力には弱点がある。ある一定の範囲内にいるものにしか適用されない。そして、その距離は恐らく約半径五十km。まあ、国内にいれば十分な力だが、ここは俺の国だ。どうする?剣王??」
玉座から立ち上がり、蒼馬はビストロに近づいた。
「そこまで知るものは数える程しかいないはず……まさか、裏切り者が……」
「ちげぇよ、お前の戦場での立ち回りや城の兵士の配置を見て気づいたんだよ。お前の周りには兵士が多すぎるってな。」
「しかし残念だな。そこまでわかったことは褒めてやるが、我が連れてきたのはビスト共和国内でも屈指の実力者だ。数人いるだけで」
「転送」
シュンッ
「お前の負けだよ、剣王。」
周りの護衛三人全てがその場から消えた。
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