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サンデウロ大陸編
1069話 精霊契約
しおりを挟む「ナナの小さい頃も苦労したんだね。」
「翔さんから聞いたの?」
「うん。」
「ナナとの出会いを話してくれたよ。」
「本当にあの時は辛かった。だけど、今は幸せに過ごせている。それだけで十分よ。」
「大人だね、ナナは。」
「そんなことはないよ。レイの方が頭がよくて大人っぽいよ。」
「それで、ナナは精霊子って聞いたんだけど?」
「うん、そうだよ。知ってるの?」
「少しね。本で読んだことがある。精霊子は選ばれた特別な子だって。」
「まあ、現実はそうじゃなかったけどね。」
ナナは少し声のトーンが下がった。
「それで、お願いがあるんだ。」
「なに?」
「精霊と契約させて欲しいんだ。」
レイは少し覚悟を決めた感じでナナにそう言った。
「昔から魔力が少なくて、魔法なんて使えないと思って生きてきた。だけど、読む本の数々には魔法の可能性や魔法の利便性なんかを語るものが多かった。」
「そこに神秘的なものすら感じた。だけど、自分の魔力の少なさを考えるとどれも実現は不可能だった。」
「どうしても手の届かなかった世界がそこにはあって、それを叶えてくれるチャンスが今はここにある。」
「もちろん、ナナがいい思いをしないのは重々承知だよ。でも、それでも、0の可能性よりは1の可能性に賭けてみたくなったんだ。」
レイは饒舌にナナに語った。
「バカね。そんな覚悟を決めなくたって、契約させてあげるわよ。」
「私の力はこういう時のために使うのよ。」
「レイならなんか大きなこと成し遂げてくれるんでしょ?そんなレイに魔法使えるようさせたとなったら、私にも箔が付くってものよ。」
「ありがとう.....ありがとう.....」
レイは涙を流して喜んだ。
「泣くことはないんじゃない.....。」
「それに、レイは精霊に好かれているよ。」
「早く、契約しましょう。一刻も早く魔法が使いたいよね?」
「わかった!」
レイは涙を拭き、精霊との契約をすることとなった。
「私に触れて。」
ナナの手にレイは手を重ねる。
"視覚共有"
「なんだこれは.....」
レイの目に映ったのは精霊たちであった。
「精霊はありとあらゆるところにいるのよ。だけど、精霊たちは自由気ままな子が多いの。それに、基本的には精霊たちは私たちに触れられるけど、私たちから精霊たちに触れることは出来ないのよ。」
「だから、精霊との契約は難しいとされている。」
「そのレイの周りにいる子達はレイに好印象で契約をしてもいいと考えている子達だよ。」
「どの子にする?」
「この子にする。」
レイはすぐにある精霊を選んだ。
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