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神編
978話 老神
しおりを挟む「それはない。何人たりとも一度与えた加護を剥奪することは許されない。まあ、童のような例外を除いてだけどな。」
「それならよかったよ。」
「それで、俺に何の用だ?」
「一つは先程も言ったように連絡を取れるようにするというものだ。」
「それは、我と意思疎通をする契約をすれば問題ない。」
「次は童に加護をどうしてもやりたいという者がおってな。」
「しょうもない加護だったら許さないぞ。」
「安心せよ。童にも十二分に利がある加護だ。」
竜神は少しばかり自慢げにそう言った。
「老神の加護だ。」
「老神とは聞いたことの無い神だな。」
「こやつは少し癖があるが、ほぼ神の初期メンバーと言っても過言ではない。こやつは生命の老を司る神じゃ。」
「簡単にいえば、若さや老いなどに関するプロフェッショナルといったところだ。」
「それで、その老神は俺に何を与え、何を求める?」
「そんなのは簡単だ。童が異世界人であり、こっちとむこうの時間軸が違うことを知った老神の慈悲ぞ。」
「なるほどね。確かにそれは助かるな。」
「これは有難くいただこう。」
こうして翔は不老の身体を手にした。
しかし、これは地球へ戻る時だけにのみ有効という約束を交わした。
この世界で不老などと知られれば、色々面倒なことになるとの配慮からだった。
「それにしてもここに来て何年が経つのだろうか。とりあえず、俺は20歳を越したことは覚えている。」
「この数年はとても有意義なものだった。」
翔はゆっくりと過去のことを振り返った。
最初はいきなりクソみたいな国に呼び出され、森へ逃げたっけな。
そこではジャンと出会って、色々なことを知った。
今思えば本当にあれは運命的な出会いだったな。
そして、リーデルに向かって、冒険者になってそこからはトントン拍子に世界は進んでいったな。
たくさんの人間、いや、人間以外にも会い触れ合って、たくさんのものを見てきた。
なんだかんだで今は自分の国を作って、神になってって.....
さすがにこれに関しては自分がおかしいってことに気づかされたよ。
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