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天災編
小ネタ 東 徹①
しおりを挟むある日、一人の天才が生まれた。
彼は2歳からあらゆる言語を覚え、小学校に入学する頃には論文を書くまで、言語能力に長けていた。
そんな彼は周りの大人からは「神童」と呼ばれ、将来が期待されていた。
彼の名前は東 徹だ。
頭脳明晰でこのまま生きていけば、将来が確定されている彼にも悩みがあった。
「自分以上の天才」がいることだ。
それは、東と同い年の如月 翔だ。
彼は理系の分野に特に秀でていて、4歳の時には既に数々の賞を手にしていた。
如月 翔と同じ歳に生まれてしまったせいで、東への評価というのはさほどされなかった。
世間からは「彼と同じ年に生まれなければ、間違いなく世紀の大天才と呼ばれていた。」と言われている。
だが、幸いなことに分野が真反対であることで、東は腐ることがなかった。
「文系の東と理系の如月」と肩を並べるような呼ばれ方もされている。
しかし、東は自分と翔との間の差に気づいていた。
あるインタビューで翔の事に聞かれると
「彼は大天才ですよ。間違いなく。彼は太陽で僕は小惑星です。比べるまでもありませんよ。」
と東は答えたそうだ。
そんな東はというと
「徹さん、進み具合はどうですか?」
「もう少しで論文は書き終わる。そうだな.....あと、2時間くらいだな。」
とある大学の教授をしていた。
御歳11歳だ。大学で言語の授業をする代わりに様々な環境を整えてもらっているのだ。
東家は父が政治家、母が弁護士とかなりの地位や権力を持っているのだが、徹は両親との空気感を毛嫌い10歳の頃に家を出て、大学にお世話になっているのだ。
「はい、言語を習得するためには語彙が最も重要です。文法という器だけが出来ていても、そこに入る語彙がなければ、意味がありません。」
「皆さんが習得したい言語というのは、どこかの国の大勢の人々が使っているのです。その人たちと何を話したいか、何を伝えたいか、そういうところから考えていくと、自分に合った習得の仕方が身につくでしょう。」
「そして、今回教える言語は.....」
「徹さん、お疲れ様でした。今日も素晴らしい講義でしたね。」
「いや、普通だよ。まだまだ僕にも足りないものがあるからね。」
講義をし、興味を持ったことについてを調べ論文を書く というのが徹の日常となっていた。
しかし、そんな日々を3年と過ごしていくうちにある感情が湧き上がってきた。
「これじゃあ、あいつ(翔)には到底勝てない。今すべきはこんなことではない!」
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