62 / 78
第七章 ノベルvsイレイザー
59.麻酔
しおりを挟む◆
こうして、俺はイレイザーを麻酔によって鎮めることができた。
エトルフィンってのは、暴れ出した象なんかに使用する麻酔弾の原材料だ。
凄いぞ、あの巨大な象を昏睡させるレベルの劇薬だぞ?
それに、亜人族の体の構造は生物とは異なり、全身が一本の血管みたいなもんだ。
エトルフィンを撃たれれば一瞬で昏睡状態に陥るだろう。
「しっかし、本当に麻酔が効いてよかったぜ。亜人族は特殊だから効きません! ……だったら俺はもうお手上げだった」
「ぬぅ……。マスイなるものでイレイザーは眠ってしまったのか。これはまた凄い魔法だな。一応、そういう異常状態を受ける魔法には耐性があるはずなのだが」
「魔法じゃねぇ、科学だってばよ。そんなことよりも、そろそろ出て来てもいいんじゃないか? 『イレイザーの妖精さん』よ?」
俺は倒れたイレイザーの膨れた頬をペシペシ叩く。
すると、彼の胸のあたりからふわふわと、小さな羽を持った妖精が飛び出して来たのだ!
「うわ、小さい妖精さんです!」
「妖精族は2つの姿を持ってんだよアズリエル。妖精モードと人間モード。ちょうど、あそこで寝てるステイプラーは人間モードなんだよ」
アズリエルは目をキラキラさせながら、怠そうに飛ぶ妖精を眺める。
「ふぁー。こりゃかなり効いたなぁ」
俺はあくびをしながらよろよろ飛んでいる妖精を手のひらに乗せる。
「お前がイレイザーと契約している妖精か」
「そうだよ。全く、変な薬を打たれたせいでこっちまで眠たくなってくる」
その妖精は気怠そうに長い緑色の髪の毛をかく。
可愛い見た目だが、声色が男だから、誤って好きになったりしたらダメだぞ?
「お前がイレイザーの魔法の使い手だろう? 凄え能力だな、普通だったら主人公レベルの能力だぞそれ?」
「何を言ってるんだか。申し遅れたね、僕の名前はホワイトアウト。君の戦い方は凄いな。こんな展開、全く予想ができなかったよ」
と、小さな妖精・ホワイトアウトは小さな手で握手を求めて来た。
ホワイトアウト……あ、修正液か。
「そうだね。まさか僕とイレイザーの無敵コンビを科学の力で負かすとは恐れ入ったよ。約束通り、僕の相棒をルーラーさんのところに連れて行ってくれ。――彼女は今も泣いているんだろう?」
「あぁ。ルーラーの心を救えるのは、もうイレイザーしかいないんだよ。そんじゃ、さっさとイレイザーを叩き起こしてルーラーのところへ――」
っと、俺は地面に倒れる!
あ、やっべぇ……流石に無理しすぎた、頭がクラクラして全身に寒気が……。
「きゃぁ! ノベルがやばいです! 完全に死にかけてます!」
「そりゃあ、イレイザーから内臓とか潰されてんだ! おいホワイト! イレイザーよりも先にノベルの回復をしてやってくれ!」
「待ってくれハイライター。僕の魔法は回復魔法なんかじゃない。怪我をした事実を削除する魔法だといつも言っている」
「なんでもいいので早くしてください! ノベルが死んでしまいます!」
――俺の周りでガヤガヤうるさいなぁもう。
お願いです、早く俺を回復させてください!
こんなところで死にたくないんです!
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる