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第一章 チート勇者の存在
12.白い髪
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……気付けば、俺はベッドの上で横になっていた。
クロフィアの野郎、姉貴を揶揄てただけなのに『雷撃堕とし』を食らわしやがって……まだ首元がビリビリしてやがる。
気絶した拍子に頭を打ったのか、額に包帯が巻かれてる。
窓硝子の暗闇に透かして俺が映る、結構出血してるから、仕方なく包帯を巻いてくれたんだろうな。
本当、止血スキルを持ってないソーディアンがどこにいるんだっての。
女子力低いっていつも言ってんのに、いまだにスキルボード『回復』を取得しないんだもんな。
それは良い。
俺はベッドの周りに散らかして居た布団の羽が片付けられているのに少し驚き、蹌踉めく足を床に着けてグッと膝に力を入れる。
今日の昼に出発の予定だったのに、俺が気絶してしまったせいで夜になっちまったんだろうな。
てか、全部クロフィアの手加減の無さが悪いんだからな?!
こんこんこん。
と、俺の部屋に何者かのノックが聞こえてくる。
「……ギルディア、少しお時間よろしいですか?」
「あぁ。入って良いぞ」
ギリギリと音を立てて開く扉、軋むのは俺が貰ったこの家の扉の建て付けが最初から悪かった事に起因して居る。
「ギルディア、お体は大丈夫ですか?」
俺の部屋にヒョッコリと顔を見せたのは、見た目はまだ幼い女の子、姉貴だ。
いや、雰囲気が違う。
これは、姉貴の体を借りた……。
「その喋り方、恐らくだけどフィローラ様だな?」
「はい。ギルディアの看病に専念したギルカーナは、クロフィアの夕食を食べた後、すぐ寝てしまいました。なので、彼女の体を借りてここに来ました」
と、俺の姉貴……見た目は幼いけど姉貴・ギルカーナの体を借りた女神・フィローラ様がもじもじしながら俺の横に座る。
弾力を持ったベッドが少し揺れ、俺は何故かドキッと心が揺れる。
「ど、どうしたんだよ、こんな夜更けに」
姉貴の体を借りたフィローラ様は、幼女の姿でなるにも関わらず雰囲気がどこか艶めかしく、月明かりで白く反射する足が男の欲を掻き立てる。
「ギルディアよ。明日、私達はユウマを討つ為に旅立ちます。それはもう変えられない事です。そして、明日の朝にユウマはまた一つ能力が覚醒して行く事でしょう」
フィローラ様はそう言って、俺の腕にポスンと体を寄り掛けて来る。
俺はギョッと目を開き、胸元がガバガバの服を着ている事を不覚ながら見つけてしまった。
バカバカ、これは姉貴の体だぞ!
な、何を欲情してんだ俺!
「……忘れていました、温かさってこんな感じなんですね」
「ふぃ、フィローラ様!」
ふ、ふっぅっ!!
まずい、マジで下半身がガチガチになっちまう!
「ふふっ、ギルディア。紫色のオーラが出てますよ。ギルカーナの事、好きなんですね」
「ば、バカ言わないでくれよフィローラ様! 俺はギルカーナの弟なんだぜ? 姉貴をエロい目で見る訳ないだろ! あははは」
忘れてたっ、フィローラ様って何と無くなら考えてる事をオーラで読めるんだった!
「……それはさておき、ギルディア。ユウマは既に私達が手出しできる様なレベルでは在りません。ですが、力を合わせればまだ倒せない訳でも無い」
と、フィローラ様は俺の腕に手を擦り付け、髪の毛を俺の鼻の前に持って来る!
待て待て待て待て!
俺は姉貴で欲情しない、欲情しない!
うぉぉぉぉぉぉ!
「……ギルディア。私の話、聞いてますか?」
「聞いてるよ! それで、結局何を言いに来たんだ!」
とか言いながら、俺はガッツリと胸元を上から覗いてしまって居た。
ほうほう、採れたての瑞々しい苺、なかなか良い仕上がりだぞ、姉貴の体は。
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