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第一章 チート勇者の存在
9.打倒、ユウマ!
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俺達はそれぞれの部屋に戻って旅に出る支度をし、フィローラ様との出会いから一時間後、全ての支度が出来た。
お気に入りの大剣を背中に着け、少し大きめのブーツの踵を叩きつける様にして気合いを入れる。
「……うしっ、行くぞ!」
二度頰を叩き、最後の風景になるかも知れない自室を数秒見て扉を閉めた。
「それじゃ行こうかギルディア。時間はあまりなさそうだからね」
「あぁ、クロフィア」
俺は階段を降り、玄関の前でグッと背伸びをしてみせる。
目の前にはクロフィアとフィローラ様、美女2人と旅が出来るってのは何だか色々と期待してしまうなぁ。
ま、そういう展開に成るのは間違いないだろう、ふふふっ。
「あれ、ギルディア。どこ行くのよ」
「当分、家に帰って来ないかも知れないからな。奥の部屋を掃除しときたいんだ。お前達は先に道具屋で必要な物を調達しといてくれ」
「え、まぁうん。それじゃ、行きましょうかフィローラ様」
と、クロフィアとフィローラ様は家の外へと出て行く。
……ふぅ。
『ギルディア』
柔らかい声が俺の行く足を止める。
……頭の中を覗かれるのは好きじゃないから辞めて欲しいんだが。
『……ギルディア。私にも会わせなさい」
「はぁ。何故だ?」
『……私はその子に会いに来たのですから』
フィローラ様はこちらに振り返ると、彼女は悲しそうな表情を見せた。
「えっ? どういう事?」
クロフィアはまだ状況が掴めてない様だな。
まぁ、仕方が無い……か。
「クロフィアには言って無かったな。まぁ、フィローラ様にはお見通しか」
俺はフィローラ様を軽く睨み付け、軽く怒りの表情を見せた。
『ギルディアの姉、ギルカーナの体を貰い受けに来ました。彼女の居る部屋へ案内してください』
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