上 下
3 / 15
第一章 チート勇者の存在

3.女神・フィローラ

しおりを挟む

 ……急に目の前に現れた女性はそう言うと、ベッドの上に座る俺の手を急に取ってギュッと握って来た。
 や、柔らかい!
 どんな女を抱いた時よりも手は柔らかく、布団などよりもふかふかで気持ちが良い!

『どうか、どうか私の願いを叶えてくださいませ、勇者・ギルディアよ! ううっ……!!」

 と、透けた姿のフィローラ様は俺の胸に飛び込んで来る!
 ちょ、何だってんだ!

「フィローラ様! 一体どうされたのですか?! 【夜明け】の女神様は、確かユウマ様の付き添いの女神様だったと聞きましたよ!」

 え、そうなのか?!
 た、確かに、赤髪は女神・フィローラの姿の象徴とされるってのは有名な話だが。
 てかそもそも、フィローラって言う女神は伝説上の人物で天女として空から見守ってるとか何とか……。

『はい、その通りでございます。私は勇者・ユウマの転生に携わった者です。丁度、二週間前に彼をこの世界に召喚し、最高神様から【ユウマを援護せよ】と任務を受けました。そして、私の恩恵の力【明けぬ夜は無い|《フィローラ・ディルシウスカー》】を与えて居ました。ユウマは私の恩恵の力の事を、チートだとかガチャがどうとか言って居ましたが……』

 フィローラ様は涙ながらにクロフィアに答えると、腫れた目を俺に向けて唇を弱く噛んで見せた。
 ……成る程、何か事件の匂いがしやがる。

「フィローラ様、今ユウマって野郎はどこに居るんだ?」

 俺は赤い髪を顔から払って彼女を慰めようとすると、クロフィアは焦って俺の手を止めさせようとする。

『良いのです、勇者・クロフィア。私もたまには慰めて欲しいのです』

「……フィローラ様、もしかして心が読めるんですか?」

『えぇ。或る程度は気迫やオーラで分かりますよ、貴方は今、怒って居ますね?』

「え、いいや……」

『……成る程、これは失礼しました、クロフィア。すぐに退きますね』

「べ、別に怒ってないし」

 フィローラ様は何かを察した様に俺から離れると、くしゃくしゃになった顔を拭って俺の方に笑顔を見せた。


「……それで、フィローラ様。何故ユウマって芋男の側では無く、俺達の所へ? 何か有ったんだろう?」

『はい。貴方が予想している通りの事です。クロフィアはまだ状況を把握しきれて居ない様なので、説明しますね』

 と、フィローラ様は掌を胸に当てて、目を瞑る。
 光差す、突然目の前が明るくなり、そして俺達は何も見えなく成って行く!

「ちょ、どう言う事ですかフィローラ様!」

 クロフィアが見えなく成って数秒後、フィローラ様は白い景色の中から囁く様に俺達に向けてこう告げた。



『……勇者・ユウマは慢心を極めました。そして、満たされぬ欲をつるぎとし、私の心臓を七度も貫通させたのです。……私は死に絶え、女神の恩恵の力で在る【明けぬ夜は無いフィローラ・ディルシウスカー】を奪われてしまいました』

 つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【書籍化決定】神様お願い!〜神様のトバッチリを受けた定年おっさんは異世界に転生して心穏やかにスローライフを送りたい〜

きのこのこ
ファンタジー
突然白い発光体の強い光を浴びせられ異世界転移?した俺事、石原那由多(55)は安住の地を求めて異世界を冒険する…? え?謎の子供の体?謎の都市?魔法?剣?魔獣??何それ美味しいの?? 俺は心穏やかに過ごしたいだけなんだ! ____________________________________________ 突然謎の白い発光体の強い光を浴びせられ強制的に魂だけで異世界転移した石原那由多(55)は、よちよち捨て子幼児の身体に入っちゃった! 那由多は左眼に居座っている神様のカケラのツクヨミを頼りに異世界で生きていく。 しかし左眼の相棒、ツクヨミの暴走を阻止できず、チート?な棲家を得て、チート?能力を次々開花させ異世界をイージーモードで過ごす那由多。「こいつ《ツクヨミ》は勝手に俺の記憶を見るプライバシークラッシャーな奴なんだ!」 そんな異世界は優しさで満ち溢れていた(え?本当に?) 呪われてもっふもふになっちゃったママン(産みの親)と御親戚一行様(やっとこ呪いがどうにか出来そう?!)に、異世界のめくるめくグルメ(やっと片鱗が見えて作者も安心)でも突然真夜中に食べたくなっちゃう日本食も完全完備(どこに?!)!異世界日本発福利厚生は完璧(ばっちり)です!(うまい話ほど裏がある!) 謎のアイテム御朱印帳を胸に(え?)今日も平穏?無事に那由多は異世界で日々を暮らします。 ※一つの目的にどんどん事を突っ込むのでスローな展開が大丈夫な方向けです。 ※他サイト先行にて配信してますが、他サイトと気が付かない程度に微妙に変えてます。 ※昭和〜平成の頭ら辺のアレコレ入ってます。わかる方だけアハ体験⭐︎ ⭐︎第16回ファンタジー小説大賞にて奨励賞受賞を頂きました!読んで投票して下さった読者様、並びに選考してくださったスタッフ様に御礼申し上げますm(_ _)m今後とも宜しくお願い致します。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

俺とシロ(second)

マネキネコ
ファンタジー
【完結済】只今再編集中です。ご迷惑をおかけしています。m(_ _)m ※表題が変わりました。 俺とシロだよ → 【俺とシロ(second)】 俺はゲン。聖獣フェンリルであるシロのお陰でこうして異世界の地で楽しく生活している。最初の頃は戸惑いもあったのだが、シロと周りの暖かい人達の助けを借りながら今まで何とかやってきた。故あってクルーガー王国の貴族となった俺はディレクという迷宮都市を納めながらもこの10年間やってきた。今は許嫁(いいなずけ)となったメアリーそしてマリアベルとの関係も良好だし、このほど新しい仲間も増えた。そんなある日のこと、俺とシロは朝の散歩中に崩落事故(ほうらくじこ)に巻き込まれた。そして気がつけば??? とんでもない所に転移していたのだ。はたして俺たちは無事に自分の家に帰れるのだろうか? また、転移で飛ばされた真意(しんい)とは何なのか……。 ……異世界??? にてゲンとシロはどんな人と出会い、どんな活躍をしていくのか!……

異世界でいきなり経験値2億ポイント手に入れました

雪華慧太
ファンタジー
会社が倒産し無職になった俺は再就職が決まりかけたその日、あっけなく昇天した。 女神の手違いで死亡した俺は、無理やり異世界に飛ばされる。 強引な女神の加護に包まれて凄まじい勢いで異世界に飛ばされた結果、俺はとある王国を滅ぼしかけていた凶悪な邪竜に激突しそれを倒した。 くっころ系姫騎士、少し天然な聖女、ツンデレ魔法使い! アニメ顔負けの世界の中で、無職のままカンストした俺は思わぬ最強スキルを手にすることになったのだが……。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

処理中です...