美少女は俺

縄文人

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私、言っておく

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診療に時間はかからなかった。

2人は病院をあとにした。

数分前……………



「それで?君達はどうしたの?普通の高校生みたいだけど。それに書いてもらった紙でその他に丸してもらったみたいだけど。どこが悪いの?」

医師は丸椅子に座る2人をジロジロと観察する。
美咲は奏に、早く事情を説明して、というような目で指図する。
奏は頷き、事情説明した。
頭と頭の衝突により2人の人格が入れ替わってしまったこと。
戻る方法が分からないということを。

医師も隣に立っていた看護師も最初は少し笑っているように見えたが、奏が説明していくにつれ、呆れたような顔をし始めた。

「どうにか治す方法はないんですか」

奏は話し終わりスッと医師の顔を見た。

少しの間医師は黙り込み、そして口を開いた。

「…………あのねぇ、君達。僕たちはね、高校生のイタズラに付き合ってあげれるほど時間がないの。」

美咲はその答えがあらかじめ予想できていた医師の答えであったが心の中で驚きが抑えきれない。

「最近の高校生って大人ぶってすぐお酒に手を出しちゃうからねぇ………大丈夫?……二人共酔ってるんじゃないの?まだお酒はダメだよ~」

奏は何か言い返して反論してやりたがったが、身体が入れ替わったことの証拠がどこにもないことに気づいた。

大人から見れば子供のイタズラに見えて当然なのかもしれない。

「まぁ、もしもの話しで君達の人格が入れ替わっちゃってたとしても…………僕らにできることは何もないよ………。ごめんね。……まだお客さんが待ってるから診療は以上でいいかい?」

そう言われ何も言えずに診療室を後にした。

そして二人は通ってきた道を再び辿る。

自分たちは何もしていないのに、悪いことをしたような気分だ。

帰り道でも前を歩くのは美咲。

沈黙が続く。

「どうするの……この状態……両親に聞いてみる?」

奏は美咲へ聞いた。

「……親を訪ねたって無駄でしょ。………お医者さんがアレなのに親が解決できるとは思わないわ…」

不安そうな口調だ。

「確かにそう…だけど。」

「それに福間君………奏は…親と仲良くないでしょ?……昨日そんな感じだって察した。」

女子から下の名前で呼ばれたことに感動を覚える奏。

「あはは……冷戦が、続いてるって感じかな………。僕は市川さんみたいに親と仲良くできないよ…………」

美咲は振り返って奏の方を向き言った。

「私は親と仲良くすることは当然だと思う。いつも支えてもらってばっかりだし。これ以上迷惑かけたくない」

今、美咲がどんな感情なのか奏には分からない。
しかし、堂々としていてカッコいいと感じた。

美咲はまた進行方向と同じ方を向きなおし歩き始めた。

「それに………………苗字で呼ばなくていい。美咲でいいよ。」

奏にとって美咲ほど話した女子はこれまでいなかった。
その子に心の奥のどこかで認めてもらえた気がして嬉しさがこみ上げてくる。

「み、み、美咲…………」

奏は照れて声が震える。

「美咲ちゃん!………呼び捨ては僕には無理だよ……」

「なんでよ!」

前を向いているが多分ムッとしているのが分かる。

「なんか呼び捨ては………恋人っぽいっていうか………….なんていうか」

照れながら、頭をかきながら言った。

「馬鹿じゃないの!あんたが恋人なんて絶対無理!あんたは虫ケラ以上友達以下よ!」

キツイ言葉をうけたが何とも悔しくもなかった。それより下の名前で呼んでいい許可が貰えたのが嬉しかった。

それから何歩か歩き、美咲は立ち止まった。

いかなり止まったのにビックリして奏も止まる。

「あと一つ言いたいことがあるの!」

「えっ?」

「奏の一人称の僕!これがイヤ!なんか弱々しいし、陰気臭く聞こえる!男なら一人称は俺!分かった!?」

いつもより少し大きな声で言い放った。

「うん……でもなんで……」

奏は小声でつぶやくように言った。

「私と友達になってあげるって言ってるんだからいいでしょ!」

よく理由は分からなかったが、虫ケラよりは友達として見られていることにそれまた嬉しく感じた。

「分かった。今度から俺って言う」

「それなら良し!それじゃあ早く帰りましょ!」

美咲の歩く速さが増した気がした。

「どうしてそんなに早く帰りたがるの………?」

奏はそっと聞いた。

「わ、ワンビーズが読みたいからよ!」

これまた少し大きな声で言い放った。

その日は生徒の誰にも遭遇しないように二人はそれぞれ家への道を辿った。










以下作者の一言

昨日青春分野が過疎っているのをやっと知りました。
こんな内容だし恋愛かファンタジーに移ってみようとも考えてます。どうでしょうか、、、
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