運命の番は後天性Ω

yun.

文字の大きさ
上 下
93 / 146

これからのこと〜 辛さも幸福に

しおりを挟む
「今までのバース数値が、この一年ほどで急激に変化します。なので、不安になったり、涙もろくなったり、普段は気にならないところが気になったりすることもあります。人に辛く当たってしまうこともあったりして、自己嫌悪になりやすいです。」


「そうなんですか・・・」


「これについては、薬はありません。薬を使用してしまうと、バース性の数値が思うように伸びなくなってしまうので。心理的なことになるので、メンタルヘルス・・・カウンセリングなどが主な対処方法です。」


「中村さんには、そういうことがあっても、そういう時期なんだと割り切ってほしいです。」


「え・・・でも・・・」


「須藤さん、お分かりだと思いますが、中村さんの性格上、そういうものだと割り切れず、思い詰めたり、引きこもってしまったりするかもしれません。他の人や須藤さんへの相談も、すぐにできるような方ではないとお見受けします。そうなると余計に、悪い方向へ考えてしまい、ループに陥ってしまう可能性が高いです。」


「はい。気をつけます。慧くん、辛いときは俺に当たっていいからね。」


「え、そんなこと・・・」

”できない”って言うよな。やっぱ。
首を横に振る。

「慧くん、俺は八つ当たりでもなんでも、嬉しいんだよ。慧くんに頼られてる感じがするからね。それに、なによりも・・・俺と覚悟をしてくれたから、慧くんが辛くなるんだ。その辛さは、俺の責任でもある。一緒にいるための辛さは、ひとりで抱えこまないでほしい。一緒にいるための辛さなら、俺にとってソレは辛さではなく幸福だよ。そんな幸福は、他にはないよ。」


「一慶さん・・・」


「ふふっ、良かった。中村さん、辛くて須藤さんにも頼れないときは、私やご家族に頼ってください。中村先生も、奥様も、絶対に受け止めてくれますよ。」


「そうでしょうか・・・もしもそんなことがあったとしても・・・そんなことをして、いいんでしょうか・・・」


「はい、絶対大丈夫です。だって、中村先生も奥様も、赤の他人の私にさえ、そうしてくれたんですから。」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

処理中です...