運命の番は後天性Ω

yun.

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羨ましいな

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「慧、ありがとう。あとはやるよ。いくも、もう座ってていいよ!あとはやるから。」

そう言う中村議員は、外で働いているときには、イメージがつかないが、子煩悩で家庭的な旦那さんなのだと思った。

「あっ、快と凛を起こさなくちゃだ。あいつらったら、まったく!!自分で起きないんだから、仕方ないやつらだ。」


「はははは。まあまあ、父さん落ち着いて。僕が起こしてくるから。ね?」


「ああ、頼むよ。」


「俺も一緒に行こう。いいですか?」


「ああ、頼むよ。一慶くん、すまないね。」


「いえいえ、全然!」


リビングを出て、歩きだした慧くんの後を追いながら、さりげなく手を差し込み、手をつなぐ。
ビックリして立ち止まる慧くんが、振り向いた。


「ええっと・・・イッケイさん・・・?」

緊張からか、慧くんの言葉がカタコトになってしまった。


「うん?」


「あの、手、が・・・」


「ご家族公認のカップルだよ?このくらいしても当然じゃない・・・?」


「あっえっ、うっ・・・そう、ですね・・・」


「それとも嫌?」


「そんな!まさか!でもっ、ちょっと恥ずかしいです・・・」


「そっか。それだけなら、慣れて行こうね。だから、ほら!なれるためにも、手をつないで。ね?」


「はっ、い・・・」

こうやって少しずつ、距離を縮めて、少しずつ、俺にもっと惚れてほしい。
手をつないだまま、歩きしばらくたつ。
広くて迷子になりそうだ。
我が家もある意味迷子になりそうだが、曲り角があったりして、慧くんの家も難しい。


ようやくついたようだ。

_コンコン_

「かい~!朝だよ~ごはんだよ~」

そう言っても返事がない。

「快!開けるよ!」

そう言って慧くんが開けた部屋は、まだ薄暗く、寝ているだろうことが分かる。
バサっと慧くんが布団を剥ぎ、それに反応した快くんは、丸まっていた。

「さむー」


「快、朝ごはんだよ!起きて!」


「あーい、慧にい引っ張って~」


「クスクス、はいはい。」


「慧兄ちゃんおはよ。ありがと!」


「うん!早くね!凛起こしてくる!」


またまた角を2ヶ所曲がって着いた先で、また声をかける。


「凛~!凛~!朝ごはんだよ!あ!今日かいとくんテレビ出るってよ!もう始まっちゃうよ!?」


「うへ!?かいと!?慧にいほんと!?」


「うひっ、うそ🖤でも、朝ごはんはほんと!」


かいとくんって言うのは、凛ちゃんの好きな歌手グループの一人らしい。
快くんも、凛ちゃんも羨ましい。

俺も慧くんと一緒に住んだら、起こしてくれるかな?
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