運命の番は後天性Ω

yun.

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運命

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そう息子さんの話しをしていると、だんだんと花のような匂いが漂ってきた。

次の料理に使われているんだろうか。
とても美味しいんだろうな。


だんだんと近づく匂いに意識を持っていかれる。


「失礼します。中村様のお連れ様をお連れいたしました。」


その声にハッとした。
料理では、ない・・・?!

「どうぞ。」

と中村議員が言えば、障子があく。


「失礼します。」

そう言ってサッと入ってきた人物に、見惚れた。
中性的な顔立ちに、細いが締まった身体。
溢れ出す知性。何においても、惚れない要素がない。

その人物は、中村議員の横へ綺麗な所作で正座で座った。

「はじめまして、中村の息子の、中村  慧と申します。須藤様の後輩にあたります。以後お見知りおきいただけると幸いです。」

そう言って名刺を渡された。
そこにはこう書いてあった。

______________


中村議員  第二秘書
粋敬大学すいけいだいがく
医学部  医学研究学科

中村  慧なかむら  けい

______________


「ご、ご丁寧に、ありがとうございます。私は須藤 
一慶と申します。友人のゼミを取ってくれているそうですね。」


「ちょうだいします。そうですね、教授の授業は分かりやすく、ためになることばかりです。私ができれば父の跡を継いでみたいと思いまして。微力ながら、教授のゼミを取っています。」


「そ、そうなのですか。偉いですね。」


「一慶くん、大丈夫かい?体調悪い?」


「も、申し訳ありません!あの、大変失礼で、すが・・・慧さんのバース性をお伺いしても?」

そう言うと、慧くんはビクッと小さく肩を震わせた。
中村議員の目は鋭くなり、息子を守るような態度に変わった。


「どうしてだい?」


「慧さんの入室の少し前ほどから、ライラックのような香りがするのと、心臓が、煩くてですね・・・ふぅ、たぶんですが慧さんは、私の番ではないか、と。」


「ふむ・・・そうか。一慶くんの態度を見て、もしかしたらと頭をかすめてはいたが・・・まさか。・・・・・慧、大丈夫かい?」


「は、い・・・私は、βっ、です。」
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