上 下
13 / 171

13

しおりを挟む
受付に並んでいると、神官様と見習い様が飛んできた。

「辺境伯様っ!申し訳ございません。先に受付させていただきますので、こちらにどうぞ。」

「今日洗礼式を受けるのは、僕ですよ。辺境伯の父ではありません。」

「も、申し訳ございません!!ノア様、こちらへどうぞ。」
なるほど。僕の名前も覚えているのか。

「それは、貴族は別の受付でないといけないという決まりでもあるのですか?」

「いっいえ・・・そのような決まりはございませんが・・・」
だんだんと声が小さくなる神官様。
怯えさせたいわけではないんだけどなあ・・・

「だったら、ここで並んで待たせてもらうよ。他の人員を僕に充てたら、皆さんをお待たせするでしょう?」

「えっでも・・・」
と見習い様が言うが、神官様が制止する。

「申し訳ございません!配慮が足りず!」
と頭を下げてくる。

「ううん、謝らなくていいよ。そうするのが習わしだろうからね。僕は特別扱いされたくないだけ、皆さんと同じように並んで受付をしたい、それだけだから。貴族だから並んでいる人よりも優先される、というのは気が引けるんだ。どうしても仕方ないときは別だけどね。」

と、なるべく優しく話すように気を付ける。


「っ!!なんと!承りました。全力で受付させていただきます。もうしばらく、お待ちください!」

そう言って、神官様と見習い様は走っていった。



2人が去った方を見ていると、上から頭を撫でられた。
見上げると、父上が笑っていた。
なんだろう?
でも、笑ってくれているのが嬉しくて、笑い返すと父上も母上も驚いた顔をしていた。

「ノアは、領民の気持ちも考えられて凄いな。」

「そんなことは・・・当たり前のことですよ。僕たちは領民に生かされていますから。」

「ノアは全く成長が早いな・・・その通りだね。」

「私はノアちゃんの無邪気な笑顔、久しぶりに見れて嬉しいわっ!」

「あれ?そうでしたか?でも母上、`ちゃん`は・・・」

「あら、ごめんね?でもは、ちゃんつけたいのだけどね。」

母上も、姉上と同じことを言うとは・・・ハハハ
苦笑いしか出てきません。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

処理中です...