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「ノア、お待たせ。さあ、行こうか。」
と、父上が母上をエスコートしながら、やってきた。

「いえ、今来たところですから。母上、今日はいつも以上に綺麗です。」
そう言い、父上にエスコートされている手の反対側に、手を出した。

「まぁ!ノア!ありがとう。」
そう言って、手をとってくれた。

反対側からエスコートする。

「全くノアは・・・本当に成長が早いなぁ~」

そう言う父の顔は、とても嬉しそうでした。

__________________

馬車に乗り、だんだんと緊張が増す。

「ノア、母様が言っていただろう?どんなノアもノアだって。自信持っていい!」
と、父上がフォローしてくれる。
すると、少しずつ気持ちが落ち着くから、本当に不思議だ。



神殿に着くと、神官様や神官見習い様が大勢並んでいる。
受付をして、中に入って行く子供や保護者もたくさんいる。

なんでも、王都だと平民と貴族に別れているし、午前午後などに別れているそうだが、地方の領主は地方にいる貴族が少ないので、平民と一緒にやることが多いのだそう。

我が家は後者だ。
領地内の貴族といえば、我が辺境伯家・子爵家・男爵家しかいない。

ただ、今年5歳になる子供がいるのは我が家だけだから、今回貴族で洗礼式を受けるのは、僕だけになる。

まぁ、もっとも辺境伯は代替わりが早いから、他の貴族のご子息も年齢は上の方が多いんだが。
お孫さんたちに年齢は近い。

馬車が開かれる。
父上が下り、僕が下りる。
サッと母上に手を差し出す。

父上と僕のタイミング、バッチリ合った。
チラっと父上を見ると、少し拗ねている?
父上の独占欲か。ハハハっ
まぁ、母上がなんとかしてくれるだろう。


「あなた、ノア、ありがとう。」
それぞれの顔を見てから、優しく微笑むさまは女神のようだ。


「さあ、受付に行きましょう。」

「はい!」


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