上 下
7 / 171

7

しおりを挟む
ああ…そうか。
僕は無意識に、自立しないとって、思っていたから…
甘えすぎてはいけないと思っていて…
感情もなるべく抑え、大人のように振る舞っていたんだ…

もっと、甘えていいんだ。感情も出していいんだ。

「・・・父様。ありがとうございます。もっと、甘えていいのですね・・・」

「ぁあ!もちろんだ!私たち家族は、ノアに甘えられるのが嬉しいんだから!」

「はい、父様!」
抱き締められて、頭を撫でられ、背中を擦られ、ゆっくりと眠りに落ちた僕。 


そんな僕を抱き抱えて、もう眠っているのに、ずっと頭を撫でていた父様、風が冷たくなったころに皆で泣き止み、やっと部屋に運んだのだとか…

ちなみに、トーマスもイーマスも、家族も全員泣いていたそうだ。

部屋に運んだ後も、父様お母様、兄様、姉様は代わる代わる部屋に来ては頭を撫で、頬をなで、頬にキスしたり…とそれはそれは、大変だったようで、トーマスから次の日に延々と聞かされた。



前世から数えればもう成人しているし、前世ではこんなことはなかったから、恥ずかしいやら戸惑いやらでいっぱいだったけど、今までで一番幸せな気持ちになった。




__________________

次の日の朝…

「ノア様、ノア様。おはようございます。」
いつも通り、トーマスが起こしに来てくれた。

「おはよう。トーマス。」

「はい、おはようございます。昨夜は夕食を取らなかったので、お腹が空いていらっしゃいますよね?」

「うーん・・ああ、そっか。僕、父様の腕の中で寝ちゃいましたか?」

「はい。そうですよ。クスクス、寝ぼけていらっしゃいますね。私に敬語使っていらっしゃる。クスクス」

「うーん・・・言われてみれば・・・」
寝ぼけながら、僕は着替えさせてもらう。


「トーマス、今日の予定は?」

「はい、今日は終日オフです。お好きなことをされてください。」

「うーん、そっか。ありがとう」
前世では、休日なんてほぼなかったから、何してもいいとかって言われると、すごく困るのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。 ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。 そしていつも去り際に一言。 「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」 ティアナは思う。 別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか… そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

国のために好きな恋人と別れて大嫌いな皇太子殿下と結婚〜殿下が浮気して妹が妊娠?殿下は土下座して泣きながら許してくれと…

window
恋愛
公爵令嬢ヴィオラ・フェルナンド・ムスランヌと皇太子アンドレ・ファンリート・テュリンガルマ殿下は婚約をしていました。 その日、絶世の美女と言われるヴィオラ令嬢は苛立ちを抑えられなかった。 その理由は婚約者のアンドレ殿下がデートの約束をすっぽかし、厳しく問い詰めたら反省しないどころか小馬鹿にしたように笑ったのです。 アンドレ殿下のふざけた態度にヴィオラ令嬢の我慢は限界でした。 その瞬間ハッと気づかされる。この男は国のために嫌々ながら婚約しただけだ。 やっと巡り合えた運命の人なんかでは決してないと―― ヴィオラ令嬢はアンドレ殿下が不貞を働いているのが分かり、婚約破棄をすると心に固く誓ったら直ぐに胸のつかえが取れる。 これから美しく気高いヴィオラ令嬢の逆襲が始まった。

妹に婚約者の王太子を寝取られた公爵令嬢は、辺境の飛び地に隠棲することになりましたが、実は精霊の愛し子だったのです。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません

詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編の予定&完結まで書いてから投稿予定でしたがコ⚪︎ナで書ききれませんでした。 苦手なのですが出来るだけ端折って(?)早々に決着というか完結の予定です。 ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいですm(_ _)m *・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・* 顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。 周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。 見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。 脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。 「マリーローズ?」 そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。 目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。 だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。 日本で私は社畜だった。 暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。 あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。 「ふざけんな___!!!」 と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

転生ババァは見過ごせない! 元悪徳女帝の二周目ライフ

ナカノムラアヤスケ
ファンタジー
かつて世界を征服しようとした女皇帝がいた。 名をラウラリス・エルダヌス。 長きに渡り恐怖と暴力によって帝国を支配していた彼女は、その果てに勇者との戦いによって息絶える。 それから三百年の月日が流れた。 実はラウラリスは世界の為に悪役を演じていただけであり、その功績を神に認められた彼女は報酬として新たなる(若返った)肉体としがらみをもたない第二の人生を与えられることとなる。 これは悪役を演じきったババァの、第二の人生譚である。

処理中です...