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「ノア様、おはようございます。」
これはそう、憧れのお母さんに朝起こしてもらうやつ。
2歳からしてもらっているんだ。

前世ではそんなことしてもらったことなかったから、憧れていたんだ。
まぁ、起こしてくれるのはお母さんではなくて、僕付きの従者だけど。


「おはよう、トーマス。」
目を擦りながら、起き上がる。

トーマスは父様の執事の息子。僕の10歳年上。
従者と言っても、まだお世話係兼、家庭教師みたいなものだからね。
同じくらいの年齢じゃ、ダメなんだ。

ちなみにトーマスのお祖父様もうちの執事だった。
まぁ、僕のお祖父様が引退するときに一緒に引退したんだけど。
2人とも引退には早いと思うけど、辺境伯の仕事は大変だから、ゆっくりしたいって気持ちはすごく分かる。

だから父上が当主様。継ぐのは、兄様だ。
僕は一応スペアとはなるだろうけど、兄様は優秀だし、辺境伯は代替わりが早いから、僕が当主になることはほぼないだろう。

となると、もちろん仕事を探さなくてはいけないわけで。
神様が言ってたのはこうゆうことかと納得した。


「トーマス、今日の予定は?」
着替えを手伝ってもらいながら、確認をする。
出来る社長みたいで、これも憧れていた。


「はい、今日は午前中にダンテ様とお話を、午後は2時間勉強、1時間魔法実技の予定です。」

「そうだったね。いつも、ありがとう。」

「いえいえ、ノア様は天才ですから、私はずいぶん楽でございますよ。」

「そうかな?じゃあ、行こうか。」


___________________

「おはようございます。お父様、お母様、お兄様、お姉様。今日もいい天気ですね。」

「「「「おはよう。ノア」」」」

「ノア今日の勉強は、私が見るよ。」

「え?父様がですか?お忙しいのでは?」

「今日はね、ずいぶん余裕があるんだ。」

「あ、じゃあ僕も一緒に見ます。」

「え?お兄様も?ご自分の勉強はいいのですか?」

「こらこら、これでも一応学院ではトップの成績なんだよ?執務の復習だって終わってるし、大丈夫さ。それにね、トーマスが天才というノアの才能がどんなものか見てみたいんだ。」

「ハハハ…分かりました。お願いします。」




___________________

コンコン… 朝食後、一息いれてから話しのため、父の執務室を訪ねた。
「ノアです。」

「入っていいぞ。」

「お父様、お忙しい中お時間ありがとうございます。」

「いや、構わんよ。私が望んだことだ。ノアと、トーマスも座りなさい。」

「「はい、失礼します。」」


「それで、トーマス。君から見てノアはどうだい?」

「一言で言えば、天才です。4歳ですが、社交デビューしても問題ないくらいでしょうか。」

「ええっトーマス?それはさすがに…」

「旦那様。私からも失礼します。先ほどの座るまでの会話、仕草。4歳のお子様とはとても思えません。入室や着席の際、許可もらうまで座らない。目上の方へ時間をとってもらったときの言葉。どれも自然でした。が、4歳は普通できません。それを考えてもトーマスの`天才`という言葉に私も同意します。」

そう言ったのは、お父様の執事でトーマスの父のイーマスだ。

「ええ!?イーマスまで…そんなに褒めても、僕じゃ給与は上がらないよ?」

「確かに…私も普通の対応をした。4歳相手にする対応ではなかったな…」

「勉強の方は午後見ていただければ、分かるかと。ノア様は算術が特にお得意ですよ。私には理解不能なところも多々ありますので…できれば父やゼノム様に解いていただけるとありがたいです。」

「わかった。善処しよう。」

「その他はどうだ?」

「礼儀作法も完璧でしょう。歴史や、特産物などもすでに我が国は網羅しています。隣国へ移っても問題ありません。魔法実技も、ええ。もちろん天才です。魔力量もさることながら、センスがとてもいい。魔法実技も、ぜひ見てあげてください。」

「ねえ、トーマス。僕には、他の人が分からないのだけど、僕は普通じゃない?」
と不安げに見つめると、

「いえ、不安がることはございません!」
と焦っていた。
そう、何を隠そう僕は美形だった。

男でも頬を赤らめることもしばしば・・・

「ご自分の武器を理解されていらっしゃいますな。」
とイーサン。さすがにイーサンには見破られたらしい。
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