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第一章 エマ=ホール
6.王国魔術師団長 エルフィー=ホールside
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騎士団団長のオリバーから珍しく書簡が届いた。オリバーとは学園の時から一緒で、よく講義後に今の陛下も交えて鍛錬をしていた。そこで私はオリバーの弱点ばかりを狙っていたので彼は私のことを嫌っていたかもしれないが、私は彼の素晴らしい剣技と魔術にすごく興味を持ち、何度も彼にそれを見せてくれるよう頼んでいた。そのせいか、彼は私をたまに『魔術バカ』と呼んでいた。
そんな彼が寄越した書簡の内容は先日起こった“白の森”での異常現象についてだった。私も本部からそれが見えていたので本当はそこに行きたかったのだが、そういう調査は全て騎士団の役割なので魔術師の私は行けなかった。だからオリバーから何が起こったか教えてくれたのは本当に嬉しかった。
読み進めていくと“白の森”には少女がいたらしい、それも白金の髪の。
「驚いた、まさか白金の髪の女の子なんて。……あの人のことだから王妃様以外の女性を愛することは無い。それに、菫色の瞳の王族はいない。ということは、その女の子は王族ではないのにあの場所へ行ったことがあるということだ。……面白そうだな」
久しぶりに好奇心がわいた。
「早く『エマちゃん』に会いたいな~」
翌日エマちゃんと会うまでの間、魔術師団本部にある“白の森”や“白の聖獣”、そして“神”についての古代に書かれた本を読み漁った―
=============================
「あっ!ようやく着いた。『エマちゃん』ってどんな子だろう?(それにあの女性嫌いで有名なオリバーが自ら名前をつけた女の子だしね)」
馬車が到着してエマちゃんが出てくるのを待った。すると、驚いたことにオリバー自身がその子を馬車から降ろしてあげていた。(そこまで気に入っているとは…)
馬車から降ろされた後、エマちゃんが魔術師団本部の建物をずっと見ていた。たぶん中がどんな風か考えているのだろう。だけど、いくら気になっているとはいえ、すぐ近くに私がいるのに気が付かないなんて。普通の人だったら私の魔力量に圧倒されて青ざめてすぐ気付くのに……エマちゃんは普通の人とは違うのかな?そう思いながら全然気づかないエマちゃんに今さっき来た風に挨拶をした。
「おや、いらっしゃいましたね。確か『エマちゃん』でしたよね、ようこそ魔術師団本部へ。私は魔術師団長のエルフィー=ホールです」
「はじめまして師団長さん。エマといいます」
予想通りというべきか、鈴を転がすような声が返ってきた。
「はじめましてエマちゃん。これからエマちゃんは鑑定室というところに行って“鑑定石”というものに触れてもらいます。そのあと色々エマちゃんに聞きたいことがあるので一緒に私の執務室まで来てもらいます」
「分かりました」
「では行きましょうか、はいっ」
『私とエマちゃんが手を繋いだらオリバーはどんな反応をするのだろう』とオリバーをからかうつもりで、エマちゃんに手を差し出した。エマちゃんは戸惑いながらも手を繋ごうとしてくれた、が
「お前とは手を繋がせない。エマは私が責任を持って鑑定室まで連れて行く」
とオリバーがエマちゃんを抱き上げて私から離した。
「へえ~あのオリバーが……分かりました。ではこちらに来てください」
オリバーの執着ぶりを目にしてやはりこのエマちゃんは只者ではないことが分かった。
鑑定室に到着してオリバーにエマちゃんを離すよう言った。そして、エマちゃんには鑑定石に触れるようお願いした。(さてさて、何の属性があるのかな。もしかすると複数かもしれないな。いや、どちらにせよ何かは起こるだろうな)
案の定エマちゃんが鑑定石に触れると、今までになかった現象が起きた。普通は鑑定石に触れると所持している属性によってただ色が現れるはずなのに、エマちゃんの場合、石そのものが形を変えて属性を表した。しかも全てで六つ。これは
「全属性ですね」
果たしてエマちゃんは何者だろうか。これは面白くなってくるな。
すぐにエマちゃんたちを私の執務室へ連れて行った。
そんな彼が寄越した書簡の内容は先日起こった“白の森”での異常現象についてだった。私も本部からそれが見えていたので本当はそこに行きたかったのだが、そういう調査は全て騎士団の役割なので魔術師の私は行けなかった。だからオリバーから何が起こったか教えてくれたのは本当に嬉しかった。
読み進めていくと“白の森”には少女がいたらしい、それも白金の髪の。
「驚いた、まさか白金の髪の女の子なんて。……あの人のことだから王妃様以外の女性を愛することは無い。それに、菫色の瞳の王族はいない。ということは、その女の子は王族ではないのにあの場所へ行ったことがあるということだ。……面白そうだな」
久しぶりに好奇心がわいた。
「早く『エマちゃん』に会いたいな~」
翌日エマちゃんと会うまでの間、魔術師団本部にある“白の森”や“白の聖獣”、そして“神”についての古代に書かれた本を読み漁った―
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「あっ!ようやく着いた。『エマちゃん』ってどんな子だろう?(それにあの女性嫌いで有名なオリバーが自ら名前をつけた女の子だしね)」
馬車が到着してエマちゃんが出てくるのを待った。すると、驚いたことにオリバー自身がその子を馬車から降ろしてあげていた。(そこまで気に入っているとは…)
馬車から降ろされた後、エマちゃんが魔術師団本部の建物をずっと見ていた。たぶん中がどんな風か考えているのだろう。だけど、いくら気になっているとはいえ、すぐ近くに私がいるのに気が付かないなんて。普通の人だったら私の魔力量に圧倒されて青ざめてすぐ気付くのに……エマちゃんは普通の人とは違うのかな?そう思いながら全然気づかないエマちゃんに今さっき来た風に挨拶をした。
「おや、いらっしゃいましたね。確か『エマちゃん』でしたよね、ようこそ魔術師団本部へ。私は魔術師団長のエルフィー=ホールです」
「はじめまして師団長さん。エマといいます」
予想通りというべきか、鈴を転がすような声が返ってきた。
「はじめましてエマちゃん。これからエマちゃんは鑑定室というところに行って“鑑定石”というものに触れてもらいます。そのあと色々エマちゃんに聞きたいことがあるので一緒に私の執務室まで来てもらいます」
「分かりました」
「では行きましょうか、はいっ」
『私とエマちゃんが手を繋いだらオリバーはどんな反応をするのだろう』とオリバーをからかうつもりで、エマちゃんに手を差し出した。エマちゃんは戸惑いながらも手を繋ごうとしてくれた、が
「お前とは手を繋がせない。エマは私が責任を持って鑑定室まで連れて行く」
とオリバーがエマちゃんを抱き上げて私から離した。
「へえ~あのオリバーが……分かりました。ではこちらに来てください」
オリバーの執着ぶりを目にしてやはりこのエマちゃんは只者ではないことが分かった。
鑑定室に到着してオリバーにエマちゃんを離すよう言った。そして、エマちゃんには鑑定石に触れるようお願いした。(さてさて、何の属性があるのかな。もしかすると複数かもしれないな。いや、どちらにせよ何かは起こるだろうな)
案の定エマちゃんが鑑定石に触れると、今までになかった現象が起きた。普通は鑑定石に触れると所持している属性によってただ色が現れるはずなのに、エマちゃんの場合、石そのものが形を変えて属性を表した。しかも全てで六つ。これは
「全属性ですね」
果たしてエマちゃんは何者だろうか。これは面白くなってくるな。
すぐにエマちゃんたちを私の執務室へ連れて行った。
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