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サルもキからオちる
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「じゃあな」
「じゃあね」
付き合って二年とちょっと、別れを切り出したのはオレだった。
彼女はあっさりとそれを受け入れて、最後にゆっくり話そうとレストランで食事をして終わった。
別に彼女が嫌いになったわけじゃない。
でも何がなんでも手放したく無い相手じゃないと気が付いてしまった。
守りたいと思うけど、自分の身の方が大事。
助けたいけど、余裕で手の届く範囲で。
こんな中途半端な気持ちで付き合い続けるのは嘘ついてるみたいでキツかったし、彼女にも申し訳ないと思った。
ごめんウソ、カッコつけた。本当はそのままなぁなぁで付き合ってたかった。
彼女がいるってだけでステータス。恋人同士だからヤル事はヤルから溜まってイライラも少なかったし、あと単純に身体の相性は良かった。たぶん。アイツの『よかったよ、すごかった!』ってのが気を使って言ってなければ。
合コンとかはアウトだけどプロの風俗嬢と遊ぶ分にはセーフって扱いも正直かなりありがたかった。ただ絶対に本気になんなって釘刺されてたけど。
適当にお互いの家行き来して、基本的にお金も家事も完全自己管理。
デートも自主的に出す分には構わないけど、強制はしない。これもお互いに。
ゆるーく付き合ってゆるーく続いてくのは楽しかったんだ。
見た目はガチストライクかって言われたらノー。だけど本人には言えなかったが、少し太めなとこがモッチリしてて触り心地良くて好きで、ころころとした感じが可愛いし安心感があった。
別れた直後なのに何で別れちゃったんだろうって、後悔で足が重くなるぐらいには未練タラタラ。
結婚するならコイツみたいな気が抜ける相手が良いんだろうなとも思ってた。
だからダメだった。
心の底から愛していなくても結婚するヤツらなんていくらでもいるけど、彼女にそんな事したくない。
良い女なんだ。でもオレはオレが一番大事で、こんな気持ちのオレに彼女はもったいない。
蔑ろにする気は無いけど、気付かない内にオレは絶対やらかす。油断してうっかりそれ完全に地雷だろってわかるもんを何回踏んだ事か…。友達二人は無くした。
傷つけたくないんだ。大事にしたいんだ。
何よりアイツに嫌われるのが怖いんだ。
大らかで優しく度量が大きい人に、嫌われてしまったら自分がどれ程ダメな人間なのかを晒されているようでツラいから。
だからこれがオレに出来る精一杯。
良い男だと思われなくていい、良い思い出にならなくていい、忘れたっていい。ただ忘れ去らないでほしい。
たまに『こんなヤツもいたなぁ』って事実を思い出してほしい。それだけ。
飲み過ぎた酒のせいで視界が回る。考えも回る。出したはずの結論が回る。
「きもちわるっ…」
そんなナヨナヨした自分に、何より吐き気がした。
「あ"ー自分で決めた事なのに…」
『去るも気から落ちるとか、だっさ』
「じゃあね」
付き合って二年とちょっと、別れを切り出したのはオレだった。
彼女はあっさりとそれを受け入れて、最後にゆっくり話そうとレストランで食事をして終わった。
別に彼女が嫌いになったわけじゃない。
でも何がなんでも手放したく無い相手じゃないと気が付いてしまった。
守りたいと思うけど、自分の身の方が大事。
助けたいけど、余裕で手の届く範囲で。
こんな中途半端な気持ちで付き合い続けるのは嘘ついてるみたいでキツかったし、彼女にも申し訳ないと思った。
ごめんウソ、カッコつけた。本当はそのままなぁなぁで付き合ってたかった。
彼女がいるってだけでステータス。恋人同士だからヤル事はヤルから溜まってイライラも少なかったし、あと単純に身体の相性は良かった。たぶん。アイツの『よかったよ、すごかった!』ってのが気を使って言ってなければ。
合コンとかはアウトだけどプロの風俗嬢と遊ぶ分にはセーフって扱いも正直かなりありがたかった。ただ絶対に本気になんなって釘刺されてたけど。
適当にお互いの家行き来して、基本的にお金も家事も完全自己管理。
デートも自主的に出す分には構わないけど、強制はしない。これもお互いに。
ゆるーく付き合ってゆるーく続いてくのは楽しかったんだ。
見た目はガチストライクかって言われたらノー。だけど本人には言えなかったが、少し太めなとこがモッチリしてて触り心地良くて好きで、ころころとした感じが可愛いし安心感があった。
別れた直後なのに何で別れちゃったんだろうって、後悔で足が重くなるぐらいには未練タラタラ。
結婚するならコイツみたいな気が抜ける相手が良いんだろうなとも思ってた。
だからダメだった。
心の底から愛していなくても結婚するヤツらなんていくらでもいるけど、彼女にそんな事したくない。
良い女なんだ。でもオレはオレが一番大事で、こんな気持ちのオレに彼女はもったいない。
蔑ろにする気は無いけど、気付かない内にオレは絶対やらかす。油断してうっかりそれ完全に地雷だろってわかるもんを何回踏んだ事か…。友達二人は無くした。
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たまに『こんなヤツもいたなぁ』って事実を思い出してほしい。それだけ。
飲み過ぎた酒のせいで視界が回る。考えも回る。出したはずの結論が回る。
「きもちわるっ…」
そんなナヨナヨした自分に、何より吐き気がした。
「あ"ー自分で決めた事なのに…」
『去るも気から落ちるとか、だっさ』
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