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カネはテンカのマワりもの
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ごく一般的な河原。
目の前に立つのはお祭りでよく見るヒーローの仮面を付けた男。
「地獄の沙汰も金次第とは良く言ったものですよね!ってことでアナタが払う金額によって待遇が変わりますがどうします?」
どうやら此処は三途の川で、男は死神?閻魔様?そんな感じのヤツっぽい。
「いや意味わっかんねぇよ!オレが事故って死んだのは覚えてるけど金って、つまり死んでも金さえあれば許されんのかよ!じゃあ貧乏人は死んでも苦しめって事かふざけんな‼」
理不尽な要求にブチギレた。
そんなオレをバカにするように男はハハっと笑った。
「ご説明致しましょう!
まず元よりいろんな宗教で死後でも多少のお金が必要になると記載されています。この死後の世界日本支部でもそれは変わりません。
以前それは労働力でした。
ほら、親より先に死んだ子は賽の河原で石積みをして罪を償うって聞いたことありません?以前は死にやすく自分で行動を起こすこともままならない三歳以上、七歳以下の労働としてあったのです。
じゃなきゃ何で親より先に死んだ子って制限あるのに幼子しかいないんだって話になりますからね。赤子だろうが老人だろうが『親』からしたら先に死んだ『子』には変わりありませんから。
ですが時代と共に仕様も変更されます。
現代でも世代別に労働がありますが、アナタの様に既に大人と区別される方にはお金での解決方法も用意されているのです。
『縁』と『円』ですね。ありがちなオヤジギャグですが。
実はあの世という場所は分かれてはいないのです。天国や地獄はその人が置かれた環境になります。
『縁』は糸と同じ様に例えられるでしょう?良き縁は良質な糸、細くとも多くあれば、少なくとも一本一本が太くあれば、それは丈夫な紐になり縄になる。
運命の糸車の性能は同じですが細く切れてしまいそうな糸では最低速でゆっくりと、どうやっても切れそうになければ爆速で回りますので、生まれ変わりが早くなるんですよ。
『円』を『縁』に変えて糸の強化が出来ます。そして逆もまた然り。
『縁』を『円』に変えてこの世での環境を良くする事が可能です。
この吹きさらしの場所に家を建てたり、死者に必要は無いですが食を豊かにしたり、生前憧れたいたブランドの服を揃えたりした方もいましたねぇ。
子供達は基本的に稼ぐすべが無く、家族以外で縁を結ぶ機会が少ないので糸が足りなくなりがちです。しかし短い人生でしたので生まれ変わりに必要な糸の長さも短く、結果としてこちらでの労働もさほど重くありません。
子役等で稼いでいた子は本当に早いですよ。現世換算で滞在時間が一時間の子とかいましたもの。
そしてもう一つ、『怨』は縁の糸を脆くし切れやすくしてしまいます。
あっ、あくまでも『怨』の場合であり、嫉妬は換算されません。
例えばですが生家がお金持ちだった場合、本人に非が一切無くても多大な嫉妬を受けてしまいます。それでは不公平だ。
怨は罪の重さです。
富豪には貧民の世界は上手く見えないでしょう。しかし理解しようと努力は出来ます。
努力すらしなかった場合は罪となりますが、努力し理解しようとして、それでも知る事が出来なかった場合は無罪です。
世界一治安の悪いスラム街に行って苦労している現場を確認する、なーんて通常は無理でしょう?
だってそれじゃ危険すぎて自殺と変わらない。
でもネットや本や有識者から情報を得る事は出来る。
本人の人生の難易度とそれに見合った行動を計算し、罪の重さを計るのです。
『怨』は重ければ重いほどその身が沈み、『円』で地面を埋めなければ糸車を回すどころが糸車のある場に立つ事さえ出来ない。
だからお金持ちでも貧しくても、意外と労働する時間は変わりませんよ。
ノブレス・オブリージュってわかります?地位に見合った責任と行動をしてねってやつです。
出来てる人すっくないですよ。
あとついでにお伝えしておきますが、糸が途中で切れたらその時点で生まれ変わりです。
大体の方は元と同じような生まれ変わりを、縁をたくさん紡いできた方は元より良き所で、正しくは自分の望む理想の生まれ変わりをします。たまーに来世はどうでもいいと自ら糸を切る方もいますが、人だろうが動物だろうが虫だろうが原生生物だろうが公平です。
生まれた場所でどう行動したかで変わる。
っと、必要な説明はこれぐらいですが、他に何か聞きたい事や言っておきたいことはございますか?」
オレは目の前にある糸の材料、たぶんコレが縁とかいうモノなんだろう。それを指さした。
「これはアンタから見て、多いか?」
男は今度は明確にバカにしてオレを鼻で笑った。
「私の見てきた中での話でしたら、少ないですねぇ」
思わず「くそっ、なんで…」と口から漏れた。
別に質問のつもりはなかったけど、男は答えた。
「私は怪しいでしょう?訝しげな反応までならしょうがないと思いますよ。
でもアナタは『初対面』の『どういった相手かもわからない』相手に『自分勝手な想像』で貧富で差別されていると『怒鳴った』んですよ。
しかも私は最後に聞きたい事と言いたい事両方を尋ねましたが、アナタは自分の事ばかりで私に急な無礼をはたらいた事を口先ですら謝罪しない。
ほんの僅かな時間一緒にいただけの私でもイラつきましたよ」
男はそれはそれは嫌味ったらしく言った。
「そりゃあ『縁』も切りたくなる」
『金は転化の廻りものってね』
目の前に立つのはお祭りでよく見るヒーローの仮面を付けた男。
「地獄の沙汰も金次第とは良く言ったものですよね!ってことでアナタが払う金額によって待遇が変わりますがどうします?」
どうやら此処は三途の川で、男は死神?閻魔様?そんな感じのヤツっぽい。
「いや意味わっかんねぇよ!オレが事故って死んだのは覚えてるけど金って、つまり死んでも金さえあれば許されんのかよ!じゃあ貧乏人は死んでも苦しめって事かふざけんな‼」
理不尽な要求にブチギレた。
そんなオレをバカにするように男はハハっと笑った。
「ご説明致しましょう!
まず元よりいろんな宗教で死後でも多少のお金が必要になると記載されています。この死後の世界日本支部でもそれは変わりません。
以前それは労働力でした。
ほら、親より先に死んだ子は賽の河原で石積みをして罪を償うって聞いたことありません?以前は死にやすく自分で行動を起こすこともままならない三歳以上、七歳以下の労働としてあったのです。
じゃなきゃ何で親より先に死んだ子って制限あるのに幼子しかいないんだって話になりますからね。赤子だろうが老人だろうが『親』からしたら先に死んだ『子』には変わりありませんから。
ですが時代と共に仕様も変更されます。
現代でも世代別に労働がありますが、アナタの様に既に大人と区別される方にはお金での解決方法も用意されているのです。
『縁』と『円』ですね。ありがちなオヤジギャグですが。
実はあの世という場所は分かれてはいないのです。天国や地獄はその人が置かれた環境になります。
『縁』は糸と同じ様に例えられるでしょう?良き縁は良質な糸、細くとも多くあれば、少なくとも一本一本が太くあれば、それは丈夫な紐になり縄になる。
運命の糸車の性能は同じですが細く切れてしまいそうな糸では最低速でゆっくりと、どうやっても切れそうになければ爆速で回りますので、生まれ変わりが早くなるんですよ。
『円』を『縁』に変えて糸の強化が出来ます。そして逆もまた然り。
『縁』を『円』に変えてこの世での環境を良くする事が可能です。
この吹きさらしの場所に家を建てたり、死者に必要は無いですが食を豊かにしたり、生前憧れたいたブランドの服を揃えたりした方もいましたねぇ。
子供達は基本的に稼ぐすべが無く、家族以外で縁を結ぶ機会が少ないので糸が足りなくなりがちです。しかし短い人生でしたので生まれ変わりに必要な糸の長さも短く、結果としてこちらでの労働もさほど重くありません。
子役等で稼いでいた子は本当に早いですよ。現世換算で滞在時間が一時間の子とかいましたもの。
そしてもう一つ、『怨』は縁の糸を脆くし切れやすくしてしまいます。
あっ、あくまでも『怨』の場合であり、嫉妬は換算されません。
例えばですが生家がお金持ちだった場合、本人に非が一切無くても多大な嫉妬を受けてしまいます。それでは不公平だ。
怨は罪の重さです。
富豪には貧民の世界は上手く見えないでしょう。しかし理解しようと努力は出来ます。
努力すらしなかった場合は罪となりますが、努力し理解しようとして、それでも知る事が出来なかった場合は無罪です。
世界一治安の悪いスラム街に行って苦労している現場を確認する、なーんて通常は無理でしょう?
だってそれじゃ危険すぎて自殺と変わらない。
でもネットや本や有識者から情報を得る事は出来る。
本人の人生の難易度とそれに見合った行動を計算し、罪の重さを計るのです。
『怨』は重ければ重いほどその身が沈み、『円』で地面を埋めなければ糸車を回すどころが糸車のある場に立つ事さえ出来ない。
だからお金持ちでも貧しくても、意外と労働する時間は変わりませんよ。
ノブレス・オブリージュってわかります?地位に見合った責任と行動をしてねってやつです。
出来てる人すっくないですよ。
あとついでにお伝えしておきますが、糸が途中で切れたらその時点で生まれ変わりです。
大体の方は元と同じような生まれ変わりを、縁をたくさん紡いできた方は元より良き所で、正しくは自分の望む理想の生まれ変わりをします。たまーに来世はどうでもいいと自ら糸を切る方もいますが、人だろうが動物だろうが虫だろうが原生生物だろうが公平です。
生まれた場所でどう行動したかで変わる。
っと、必要な説明はこれぐらいですが、他に何か聞きたい事や言っておきたいことはございますか?」
オレは目の前にある糸の材料、たぶんコレが縁とかいうモノなんだろう。それを指さした。
「これはアンタから見て、多いか?」
男は今度は明確にバカにしてオレを鼻で笑った。
「私の見てきた中での話でしたら、少ないですねぇ」
思わず「くそっ、なんで…」と口から漏れた。
別に質問のつもりはなかったけど、男は答えた。
「私は怪しいでしょう?訝しげな反応までならしょうがないと思いますよ。
でもアナタは『初対面』の『どういった相手かもわからない』相手に『自分勝手な想像』で貧富で差別されていると『怒鳴った』んですよ。
しかも私は最後に聞きたい事と言いたい事両方を尋ねましたが、アナタは自分の事ばかりで私に急な無礼をはたらいた事を口先ですら謝罪しない。
ほんの僅かな時間一緒にいただけの私でもイラつきましたよ」
男はそれはそれは嫌味ったらしく言った。
「そりゃあ『縁』も切りたくなる」
『金は転化の廻りものってね』
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