九龍城砦の君は笑う

北東 太古

文字の大きさ
上 下
7 / 10
第四章 酒場は大体鉄火場に

命は燃やすもの?

しおりを挟む
男と向かい合って座る。
男は何時でも発砲できるようももの辺りに
銃口をこちらに向けながら座っている。

「酒…白酒お好きみたいですね。」

「あぁ、洋酒はどうも体に合わんくてな、やっぱり本土の酒がいちばん美味い。」

「同感です…」

そう言いながら横にある酒瓶を取る。

「酒好き同士ひとつゲームでもしませんか?」

「そんな事してる時間は無い早く知ってることを話せ。」

「…酒の強さには自信が無いんですか…?」

「…兄ちゃん喧嘩を売る相手は間違えない方がいい。別にお前をここで撃ち殺して、他の奴から話を聞いてもいいんだぞ…?」

はったりだ。
そこまで名の知れてる話なら、その名前が出たと言うだけでこいつはここには来ない。
だから、ここは一つ。

「撃ち殺してもいいです。どうせ天涯孤独の身、案ずるものなど唯一人も居ないので。」

男の目を真っ直ぐ見つめる。
宝石のトパーズの様な澄んだ瞳を。

「はぁ…いいよ兄ちゃん乗ってやる。男と男の約束だ。ただ、ゲームに勝った時は必ず件の事を全て話せ。わかったな?」

「はい。」

「その前に兄ちゃん名前は?もし殺すことになったら名前くらい覚えてやんないと可哀想だ。」

「俺はハルって言います。春一文字です。」

「ほーん…変わってる名前だな。俺はウンランだ。」

「では勝負と行きましょう、ウンランさん。ルールは簡単です。三口ずつ交互に限界まで酒を飲んで先に、音を上げた方の負けです。」

「ほん…。で、お前が勝ったら俺は何を差し出せばいい?」

「俺が勝ったらこのまま見逃して帰してください。負けたら全部話します。その後は売ろうが何しようが構いません。」

「ハルお前なかなか見所あるなぁ!そこまで命を張れるやつはそう居ない。俺が勝ったらお前は俺の組織に入れてこき使ってやるよ。」

「はい…。では俺から行きますね。」

度数50度はある白酒を喉へと送る。
喉が焼けて思わずえづきそうになりながら
三口飲み込む。

「つ…次はウンランさんです…!」

「大丈夫か?そんなんじゃあと3回も回ったら倒れちまうぞ!」

そう言って笑いながら余裕の表情で三口飲み干す。
バケモンかこの人は…。

「ほら、ハルお前の番だ。」

「はい…。」

正直後で必ずぶっ倒れる胃の感じがしている。
それに対しウンランはとても余裕そうにしている。
これ以上は危険だ。
口へ瓶を運ぼうとして俺は地面にぶっ倒れた。
ビシャっと言う音と共に大量にウンランと床に酒がかかる。

「おいおい!まだ、始まったばかりだぜ!?しかも酒も零しやがって!酒の一滴は血の一滴だハル。」

「えぇ、そうですね…。血は命そのものです。だから僕は命は燃やそうと思います。」

「あ?何を言って…」

その瞬間片手でつけたマッチを床へ零れた酒へと当てる。
すると床とウンランに火がもえうつる。

「うわっ、くそっ!!」

俺はその隙に少し千鳥足で外へと出て全力疾走する。
酔いが回るまではあと少しある。
深夜を回って静かで人がまばらな街を走る。
何とかあの人から逃げ仰せなければ。
段々と酔って、吐き気と呼吸不全に陥りそうながら宿へと走っていく。
途中何回か転んだりしながら、ようやく宿に着く。
宿の周りを見渡し追っ手が居ないことを確認し、最上階の自分の部屋へと向かう。
着いた真っ先にどんどんと扉を叩く。

「シュエメイ、俺だ開けてくれ…!」

ガチャッという音と共に、眠たそうで髪の毛を解きロングヘアで寝巻きのシュエメイが現れる。

「ふわぁ…どうしたのこんな夜中に…って、酒臭い!」

「事情は後だ早く中に入れて水をくれ。」

「えぇ、なんでハルは扉を開けると引かれる行動をしてるの…?」

部屋の中に入り、急いでトイレへと向かい先程飲んだ酒を吐き出す。
二分程経った後少し落ち着く。
トイレから出ると、半分呆れ半分心配のような眼差しで目を向けるシュエメイと寝ぼけ眼のシャオランが居た。

「情報収集の体で飲みに行って潰れかけで帰ってくるのは良くないです。ハルさん。」

「ほんとだよね、こんなんだったらついて行けばよかった。」

好き放題言われるのを無視して水をがぶ飲みする。
血中のアルコール度数が低くなるのを感じる。
酒は嫌いだ。
思考が纏まらなくなるから。

「シュエメイの師匠を追ってるやつと会った。」

「え、本当?酔っ払いの戯言じゃないよね?」

「本当だ。でもそいつなんかやばそうな奴で…明らかに堅気じゃなかった。」

「なるほどねぇ…師匠借金とかでもあったのかな?」

「で、それと酔ってるのにどう関係があるんですか?」

「詳しい話はあとだ成都を出ないと行けない。」

「私まだ眠いです。寝たいです。」

「私も少し眠いかな~。」

ドンドンッと扉が叩かれる音がする。
扉の向こうには…?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

月宮殿の王弟殿下は怪奇話がお好き

星来香文子
キャラ文芸
【あらすじ】 煌神国(こうじんこく)の貧しい少年・慧臣(えじん)は借金返済のために女と間違えられて売られてしまう。 宦官にされそうになっていたところを、女と見間違うほど美しい少年がいると噂を聞きつけた超絶美形の王弟・令月(れいげつ)に拾われ、慧臣は男として大事な部分を失わずに済む。 令月の従者として働くことになったものの、令月は怪奇話や呪具、謎の物体を集める変人だった。 見えない王弟殿下と見えちゃう従者の中華風×和風×ファンタジー×ライトホラー

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田
キャラ文芸
 AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!  そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

佐世保黒猫アンダーグラウンド―人外ジャズ喫茶でバイト始めました―

御結頂戴
キャラ文芸
高校一年生のカズキは、ある日突然現れた“黒い虎のような猫”ハヤキに連れられて 長崎の佐世保にかつて存在した、駅前地下商店街を模倣した異空間 【佐世保地下異界商店街】へと迷い込んでしまった。 ――神・妖怪・人外が交流や買い物を行ない、浮世の肩身の狭さを忘れ楽しむ街。 そんな場所で、カズキは元の世界に戻るために、種族不明の店主が営むジャズ喫茶 (もちろんお客は人外のみ)でバイトをする事になり、様々な騒動に巻き込まれる事に。 かつての時代に囚われた世界で、かつて存在したもの達が生きる。そんな物語。 -------------- 主人公:和祁(カズキ)。高校一年生。なんか人外に好かれる。 相棒 :速来(ハヤキ)。長毛種で白い虎模様の黒猫。人型は浅黒い肌に金髪のイケメン。 店主 :丈牙(ジョウガ)。人外ジャズ喫茶の店主。人当たりが良いが中身は腹黒い。   ※字数少な目で、更新時は一日に数回更新の時もアリ。  1月からは更新のんびりになります。  

あやかし古書店の名探偵

上下左右
キャラ文芸
 主人公の美冬は顔が整っているのにガサツな性格のせいで残念美人として扱われている大学生。周囲からも猿のようだと馬鹿にされていました。  しかし銀髪狐のあやかしに取り憑かれ、呪いのせいで周囲の人たちを魅了するようになります。手の平を返す周囲の人たちでしたが、過ぎた好意はトラブルの引き金となりました。  あやかしでないと起こせないような密室の謎と、それが原因で犯人扱いされる美冬。そんな彼女に手を差し伸べる美青年がいました。 「僕が君の無実を必ず証明してみせる」  名探偵の青年と共に、美冬は無実を証明するために謎へと立ち向かいます。  本物語はあやかし×恋愛×推理を掛け合わせたミステリー小説です!  ※※ カクヨムでも先行して連載中です ※※  ※※ https://kakuyomu.jp/works/1177354055250062013 ※※

~千年屋あやかし見聞録~和菓子屋店主はお休み中

椿蛍
キャラ文芸
大正時代―――和菓子屋『千年屋(ちとせや)』 千年続くようにと祖父が願いをこめ、開業した和菓子屋だ。 孫の俺は千年屋を継いで只今営業中(仮) 和菓子の腕は悪くない、美味しいと評判の店。 だが、『千年屋安海(ちとせや やすみ)』の名前が悪かったのか、気まぐれにしか働かない無気力店主。 あー……これは名前が悪かったな。 「いや、働けよ」 「そーだよー。潰れちゃうよー!」 そうやって俺を非難するのは幼馴染の有浄(ありきよ)と兎々子(ととこ)。 神社の神主で自称陰陽師、ちょっと鈍臭い洋食屋の娘の幼馴染み二人。 常連客より足しげく通ってくる。 だが、この二人がクセモノで。 こいつらが連れてくる客といえば―――人間ではなかった。 コメディ 時々 和風ファンタジー ※表紙絵はいただきものです。

宮廷の九訳士と後宮の生華

狭間夕
キャラ文芸
宮廷の通訳士である英明(インミン)は、文字を扱う仕事をしていることから「暗号の解読」を頼まれることもある。ある日、後宮入りした若い妃に充てられてた手紙が謎の文字で書かれていたことから、これは恋文ではないかと噂になった。真相は単純で、兄が妹に充てただけの悪意のない内容だったが、これをきっかけに静月(ジンユェ)という若い妃のことを知る。通訳士と、後宮の妃。立場は違えど、後宮に生きる華として、二人は陰謀の渦に巻き込まれることになって――

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...