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星の書庫

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最終決戦へ

一万年前の思いと共に

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    「こうして、エイルたちの意思を継いだ者たちが、フローリアと戦ってきたの」
「…………そうか」
「不満そうね」
「あぁ。フローリアは二人いると言ったよな?」
「言ったわね」
「俺たちの前に現れたのは、一人だけだったよな?」
「そうね」
シーフの中には、ある疑問が浮かんだ。だがそれは、ロクによって否定された。
「まさか、あれと同等の奴がもう一人潜んでるのか……?」
「それは無いわ」
「ないって……。どういう事だよ?」
「もう一人のフローリアは、八千年前……。私が生まれた頃に、エイル達の残した呪いで死んだわ。だけど、もう一人とまではいかなかった。もう一人が生きていたら、対フローリア軍は根絶やしだったでしょうね」
「そうか。あと、いくつか聞いて良いか?」
「聞かなくて良いわ。あなたが聞きたい事はだいたいわかるもの」
「……そうか」
「おそらく、なぜこの伝承が伝わっているのか……でしょう?」
「あぁ。そうだな」
「答えは、時詠みにあるわ」
「時詠み……?」
「えぇ。私が生まれた時は、エイルの時詠みの力……。もとい元祖の力が色濃く残っていたの」
「そうなのか……」
「それに、私はこの力に自力で目覚めた。だから、他の能力者よりも強い力を持っているの」
「なるほど。能力に目覚めた時に、全て知ったわけか」
「そうよ。この八千年間、私は伝承通りに仲間を作った。今で言うと……。アインは槍使い。ヘンリエッタは風魔法使い。エモはメカニック。あなたはエイルで、私がロゼッタ」
「待て。それじゃあ、お前は闇魔法が使えるのか?」
「そんなわけないでしょう。今は、使えないわ」
「今は?」
「時詠みに目覚めると同時に、使えなくなったわ」
「……そうか」
「今まで私は、何度も仲間を亡くしてきた。八千年間、ずっとね。
だから……。それはもう、これで終わりにしたい」
「ロク……」
    隣で聞いていたヘンリエッタとエモも、ロクと同意の様だ。
「そうなのか」
「えぇ……。でも、はっきり言って、あなたは強くはないわ」
「うっ……。そうはっきり言われると辛いな……」
「でも、それは「エイルに比べたら」の話よ。歴代の継承者からしたら力は最強とも言える。
勝てる確率は、格段に高いわ」
「……そうか」
「勝ちましょう……です!」
「僕達と勝とう、シーフ!」
「私達で、この戦いを終わらせるのよ。シーフ!」
シーフを見る三人の目には、今までとは違う光が宿っていた。
    それは、死を覚悟した仄暗い光。それは、希望の明るい光。
三人の目を見るシーフには、希望が宿っていた。
「あぁ…………。やるぞ、皆。アインと……。死んでいった軍の皆の為に!」
シーフは右腕を突き出した。
「えぇ。やるわよ!」
そう言って、ロクも同じ様に繰り返した。
「ここで終わらせて、平和な世の中……です!」
「ぼ、僕は全然……。終わらせようとか思ってないけど!怖いけどやるしかないじゃん!」
ヘンリエッタとエモも後に続いた。

    残った四人が拳を合わせた直後その時だった。四人の周りを闇が包んだ。

    正真正銘の、最終決戦が始まった。
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