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星の書庫

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クロムウェル

クロムウェルの街

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「おぉ……。ここが……」
 シーフ達五人は、クロムウェルの街に来ていた。
 「クロムウェルだぞー!久しぶりだぞー!」
アインは、自分の故郷に来てテンションが上がっている。
「楽しそうでいいわね」
「いい……です」
そんなアインを眩しそうに見つめるロクとヘンリエッタ。
「シーフ遅いですよー!はやく僕のために歩くのです!」
「はいはい。ほら、皆行くぞ」
先に行くアインを追って、四人も歩きだす。
「皆遅いぞー!はやくはやくー!あっ!」
「おっと」
「あ!」
アインが初老の男性にぶつかった。
「ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
シーフが慌てて駆け寄る。
「大丈夫ですよ。お嬢さんこそお怪我は?」
「ないぞー!」
能天気に笑いながら返事をするアイン。
「アイン!お前からぶつかったんだから謝れ!」
「えー。おじさんは大丈夫だって言ってるぞ?」
そう言いながらアインは男性を見る。すると男性は微笑んだ。
「大丈夫ですよ。元気が良くて可愛いお嬢さんだ」
「本当にごめんなさい。うちの馬鹿が……」
アインの代わりにシーフが謝る。
「気にしないで下さい。怪我はありませんからね?」
そう言って男性はどこかへ歩いて行ってしまった。
「あっ……」
「シーフ?おじさん行っちゃったぞー?ひっ………!」
シーフの顔を覗き込むアイン。怒りに染まったシーフの顔を見るや否や、アインは一目散に逃げ出した。
「皆アインを追え!捕まえろ!」
「分かったわ!」
「はい……です!」
「シーフは僕を担ぐのですよ!」
アインとのクロムウェルでの隠れんぼがはじまった。
「地の利があるあたしには勝てないさね!」
逃げるアイン。追う四人。地の利があるアインには誰も追いつけず、とうとうアインを見失ってしまった。
「あいつ……。はやすぎるだろ……」
「やっぱり……。アインはすばしっこいわね……」
「はやすぎる……です」
「シーフがもっと頑張らないと駄目じゃないですか!何をやってるんです!まったく!」
三人が疲れて項垂れる中、シーフに肩車をされていたエモだけは元気な様子だ。シーフに檄を飛ばしている。
「はぁ……はぁ……。お前が頭に乗ってなかったら追いつけてたぞ……」
「役立たずですね」
「お前が言うなお前が!!」
「あ、アイン!!」
ロクがアインを見つけ、指さした方向にはアインがいる。
「見つけたか!?追うぞ!!」
「えぇ!」
「エモ!降りてヘンリエッタにおぶってもらえ!」
「えぇー」
「おいで……です」
「はぁーい」
頭上のエモをヘンリエッタに引き渡す。
「よし、行くぞ!」
「行くわよ!」

アインVS四人の追いかけっこ第二回戦がはじまった。
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