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星の書庫

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新たなる旅路

宿屋(2)

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 宿屋にはどこか落ち着きのない雰囲気が漂っていた。宿屋の従業員からはどこか異質な視線を向けられていた。
「皆、今日は全員同じ部屋で寝よう。危ない気がする」
シーフが四人に聞こえるように、従業員には聞こえないように話しかける。
「えぇ……そうね。何があるか分からないもの。なるべく単独行動は控えるようにね」
「同感……です」
「分かったぞ。エモを守らないとな?」
「僕は守られなくても十分強いです!」
四人は即座に肯定し、単独行動をとらないようにと念を押しあった。

 夜中、シーフ達は交代で番をするようにしていた。今はシーフの番である。シーフは、宿屋に入れてもらった時の従業員の言葉がずっと気になっていた。
「あの言葉……。一体どういう事なんだ……?」
そう思いながらも、シーフの意識は落ちていく。他に誰も起きてはいなかった。

 
 結局、その夜は何も起こらなかった。


 …………事件は宿屋を後にする直前に起こった。従業員に促されて外へ出ようとした時だった。いきなりナイフを持ち、従業員がエモへと切りかかったのだ。
「くそっ……!!エモ!手を!」
シーフが察知し、エモをアインの腕へと投げる。エモは投げられた衝撃で気絶したようだ。
 シーフは胸を突かれた……。
「ぐっ……」
「っ!シーフ!!」
その場にシーフは倒れ込んだ。胸を抑え、少しでも出血を止めようともがいている。
ロクが動揺して、時詠みを使い従業員を消した。すぐにシーフを元の状態へと戻そうとする。
「シーフが死ぬ……です?ロク、急ぐ……です!」
「分かってるわよ!……時詠みが使えない……!?アイン!宿屋の中に治療する道具があるはずだわ!エモをこっちにやって取ってきて!!」
「分かったぞ!」
アインが宿屋へと走り出す。ロクは必死に時詠みを行使しようとする。
「なんで……。なんでなの……!?なんで時詠みが使えないの……!!」
ロクはパニックに陥ってしまった。ヘンリエッタはそれを見てロクをどける。
「私がやる……です!」
ヘンリエッタは、五人の中で一人だけが使える魔法を駆使してシーフの出血をとめた。
次に傷口を塞ごうとするが、先刻のロクの動揺と、自らの動揺が合わさって上手く魔法が行使できなくなってしまった。
 すぐにアインが戻ってきた。手には何も持っていない。
「ロク!ヘンリエッタ!何もなかった!どうしよう……。シーフはどうなるの……?」
アインの言葉に、ロクはさらに動揺した。何も無い……?このまま何も出来ないままシーフを見殺しにしろというのか……?
三人が途方に暮れようとした、その時。
医療用機械メディックボールを使いますよ、ロク!僕の最新型の物です!!」


 エモ救世主が現れた。
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