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第一話 鬼の末裔
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高校二年生の夏休みも始まったばかりの七月下旬。
「ぜひに」とお願いされ、俺は母方の祖父の家……要するに母さんの実家……に泊まりにいくことになった。
なんでも、じいちゃんが「死ぬ前にもう一度だけでいいから、孫たちの顔を見ておきたい」といい出したのが、そもそもの始まりらしい。
特別それを断る理由もなかったし、夏休み初めの一週間くらいを、山や田んぼに囲まれた田舎で過ごすのも悪くはないだろう、と、俺はそれを承諾した。
母さんの実家は、過疎の進む雪国のとある村にある。何年か前に、家族でここにやってきたときには、田んぼのど真ん中にぽつんとある駅、という光景に、何とも奇妙な感慨を感じたものだったけれども。
再び訪れたこの場所は、前に来たときと、まったく印象が変わっていなかった。ぐるりと山に囲まれた、これ以上ないってくらいの盆地。そして、広大な田んぼ。
以前ここを訪れたのは、雪解けが始まったばかりの春だった。あのときの田んぼはまだ大部分が黒く汚れた雪で覆われていたけれども、夏真っ盛りの今は、青々とした稲で埋め尽くされている。
夏のじりじりとした太陽が容赦なく降り注いでいた。左手でひさしをつくって、ぐるりと辺りを見回す。
駅のすぐ前を右から左に、幅の広い道路が伸びている。その道路の端に、二桁の数字が書かれた、逆三角形の青い道路標識が立っていた。標識には「国道」という文字が書かれていたけれども、田舎町だからなのだろうか。国道という割には、それほど車通りは多くないようにも感じられる。
駅の前には数件の土産物屋が並び、国道を挟んだ向こう側には、食堂らしき建物とガソリンスタンド。そこからちょっと離れてしまえば、後は田んぼや畑が広がっているという、なんというか、いかにも片田舎然とした場所だった。
それにしても……暑い。
ここで待っていれば、おじさんが車で迎えに来てくれる手はずになっているのだけれども。
立っているだけでじっとりと汗がにじんでくる。左手で、額ににじんできた汗を拭う。ため息をつきながら、もう一度辺りを見回すと、近くに自動販売機が見えた。
これ幸いと自販機でスポーツドリンクを買う。プルタブを開けて中の飲み物を口の中へと流し込むと、多少なりとも暑さがマシになったような気がした。
そのまま一気に半分ほどを飲み干し、残りのドリンクをちびちびと飲み進めていると、一台の小豆色の車がやってきた。車は俺の目の前で止まり、その運転席から男の人が出てきた。
「久しぶりだね、将臣くん。遅くなって悪かったね」
和久おじさん。母さんのお兄さんにあたる人で、やはり兄妹だけあって、顔立ちなんかはよく似ている。いかにも「農業やってます」といった感じの、良く日に焼けた肌と、人の良さそうな笑顔を浮かべている人だ。
「どうも、お世話になります」
一礼すると、
「無理いってすまなかったね。家のじいちゃん、ものすごい頑固じじいでね。まあ、なんにもないところだけど、ゆっくりしていってくれ」
といって、車の運転席のほうに身をかがめた。がこん、と音がして車のトランクが少し開き、おじさんは車の後ろに回ると、トランクを大きく開いた。
「さ、荷物、積んじゃおう」
「あ、はい」
応えて、俺はおじさんに、持ってきた荷物を手渡した。
おじさんの家までは、車で十分ほど。
駅前の通りを抜け、田んぼの真ん中を貫く道を走らせながら、おじさんは「そうそう……」と、口を開いた。
「将臣くんは、家の娘たちのこと、覚えているかな?」
「はい」俺はうなずいた。「椿さんと、柊子ですねよ?」
椿さんは俺よりも二歳年上の大学生。柊子のほうは、俺よりも一つ年下の高校一年生のはずだ。以前、おじさんとおばさんがそれぞれ春と冬が好きで、それに「きへん」をくっつけた名前にした、というような話を聞いたことがあった。
「二人とも、将臣くんが来るのをすごく楽しみしていたんだ」
「えっ? そうなんですか?」
「うん。二人して、将臣くんをあっちこっちに引っ張り回す計画を立てていたよ」
おじさんの楽しそうな物いいに苦笑で応えた俺は、ふと、窓の外に目をやった。
……おじさんが車を走らせている道の、田んぼを挟んだ向こう側。
そこに、彼女がいた。
時速七十キロで、田舎道を走っていく車の中から。それに加えて、彼女との距離も、結構あったはずなのに。
なぜか俺は、彼女を間近で見ているかのように、彼女の細部までを見ることができた。
背中の中程まで届いている、艶やかな黒髪。「日焼け」という言葉を知らないかのような、真っ白な肌。形よく整った眉毛、そして長いまつげと、不思議な輝きを持った黒い瞳。すっきりとした鼻筋。大きすぎず、小さすぎず、絶妙なバランスを保っている唇。程良く引き締まった、ほほから顎にかけてのライン。
なぜか彼女は、この炎天下の中、真っ黒なセーラー服を身にまとっていた。にもかかわらず、彼女は暑そうな表情を見せることなく……むしろ涼しげな顔をして……そこにたたずんでいた。
不意に。
彼女と俺と、目があった。
彼女はにこりと俺に微笑みかけた……ような気がした。
もしかしたら、それは全て俺の頭が作り出した想像……あるいは妄想……だったのかもしれない。普通に考えれば、あの距離で彼女の細かなディティールまで見えるはずもないのだ。だから当然、彼女と目があったこともわからないはずだし、彼女が俺に微笑みかけたなんてことも、見えるはずはない。
けれども俺は、そこにじっとたたずんで、俺のほうをじっと見つめている彼女の姿が視界から消えてしまうまで、彼女から目をそらすことができなかった。
そして。
彼女が視界から消えて少したってから、おじさんが「どうした?」と、声をかけてきた。
「え? ああ……」
俺はおじさんのほうへ顔を向けた。「延々と田んぼだなぁ、って思って……」
おじさんは、あはは、と、苦笑した。「そりゃ、県下でも有数の稲作地帯だからな」応えるおじさんに、
「そういえば」と、俺は顔を向けた。
「なんだい?」
「このあたりに、セーラー服の学校って、あるんですか?」
「セーラー服の学校?」問い返してきたおじさんに、俺はさっき、セーラー服を着た女の子の姿が見えたことを告げ、「ちょっと気になったから」と、付け加えた。
「うーん、どうだったかなぁ?」
おじさんは首をかしげた。「椿か柊子に聞けばわかるだろうから、家についたら聞いてごらん……ほら、もうすぐ家につくよ」
おじさんの言葉で、車の進行方向に目を向ける。田んぼの景色が途切れ、住宅街が見えた。その住宅街のすぐ向こうには、山が見える。
もともと、このあたりは典型的な盆地で、おじさんの家は、ちょうどその山際の集落にあるのだ。
住宅街に入ってすぐの十字路で、おじさんは車を左折させた。そこから少しいったところにある家。そこが、おじさんの家だった。
おじさんが車を家の中に入れると、玄関先で犬をかまっていた女の子が立ち上がった。柊子だ。柊子は、俺が車から降りるなり、こちらに駆け寄ってきた。
「いらっしゃい、将臣くん。久しぶりだね」
柊子はにこにこと、俺に声をかけてきた。しばらくぶりに見る柊子は、当時長かった髪をばっさり切り落としていて、「活発な女の子」というイメージが強くなっていた。
「おう、久しぶり」
挨拶を返して、俺はトランクを開けているおじさんのほうへと歩み寄っていった。トランクから荷物を出し、それを抱えて家のほうへ歩いていくと、玄関から、二人の女の人が出てきた。
克美おばさんと、柊子の姉さんの椿さんだ。
「いらっしゃい、よく来てくれたわね」
にこにこと微笑みながら、おばさんがいった。「どうも、お世話になります」俺は一礼して、椿さんのほうへ目を向けた。椿さんは何もいわなかったけれども、こちらも穏やかな微笑みを浮かべて俺のほうを見ている。
そして俺は、さっきまで柊子がかまっていた犬に目を向けた。前に来たときはころころとしていたチビ犬も、今では立派な成犬になっている。
「ゴンベエは、元気だったか?」
問うと、ゴンベエは「あうん!」と、返事を返してきた。
「俺のこと、覚えてるか?」もう一度問うと、「あん!」と、元気のいい返事。「よーし、偉いぞ」と、俺はゴンベエの頭を撫でてやった。
と、そうこうしていると、おばさんが
「いつまでも暑いところにいないで、家の中で、ちょっと休みなさい」
それを聞きつけた柊子が
「あ。じゃあ、あたし、お茶いれるね」
と、家の中へぱたぱたと駆けていく。その後ろ姿を見ながら、俺たちも家の中へと向かった。
畳敷きの茶の間は水冷式のクーラーが動いていて、心地よい涼しさだった。俺は荷物の中から、母さんからあずかっていたおみやげ……ビスケットの詰め合わせ……を取り出した。
「これ、母さんから」と、それを渡すと、おばさんは「まあまあ、そんな気を使わなくてもいいのに」と、それを受け取った。
おばさんがその包みを開けていると、「おまたせー」と、柊子がお盆を抱えてやってきた。お盆の上には、氷がたっぷりと入っている、見るからに冷たそうな茶色の飲み物……麦茶か何かだろう……が注がれたグラスが人数分、用意されていた。
そのグラスを、俺、おじさん、おばさん、椿さん、の順に手渡していき、最後に柊子は自分の分のグラスを持って、空いていた場所……俺の隣……に腰を下ろした。
「じゃ、頂きます」と、俺はグラスの中身をごくごくとのどに流し込んだ。
……な、なんだぁ?
てっきり麦茶だと思って飲んだその飲み物は、麦茶とはまったく別物だった。俺は思わず、奇妙な味と香りのするその飲み物をまじまじと見つめた。
「柊子……」俺は柊子の方に目を向けた。「なんだ、これ?」
「おいしいでしょ? やっぱり、夏は冷たいアール・グレイに限るよね」
にやにやしながら柊子は応え、自分の分のグラスを傾ける。
「あーるぐれい?」
「紅茶の種類」
柊子はやっぱりにやにやしながら応えた。……紅茶? 紅茶って、こんな味だっけ? 首をかしげていると、
「柊子ったらね、最近紅茶にこり始めちゃって」
椿さんが苦笑しながら教えてくれた。えへへ、と柊子は笑い、「この間ね、すごくおいしいのを買ったんだ。夜にでもいれてあげるね」
俺は苦笑混じりに「そりゃ楽しみだな」と応えた。そして、俺は「そうだ」と、椿さんと柊子に、このあたりにセーラー服の学校があるかどうか、聞いてみた。
「セーラー服の学校?」
「うん」と俺はうなずき、この家に行く道で、ちらりとセーラー服を着ている女の子が見えたことを話した。さすがに、その女の子が、まるで間近で見てるかのように目鼻立ちまではっきりと見えた、なんてことまではいえなかったけれども。
「それで、この暑いのに、よく長袖なんて着ていられるな、って思ってさ」
柊子と椿さんは顔を見合わせ、一言二言、言葉を交わしあった。そのあと、二人を代表して、姉の椿さんが口を開いた。
「単純にセーラー服、っていうんだったら、隣町の西中学が確かセーラー服だったけど……」
黒じゃないのよね、と、椿さんは付け足した。
「将臣くんみたいに、この町に遊びに来ている人なんじゃないの? 夏休みなんだし」 「そう……だな」柊子の言葉に、俺はあまり納得はいっていなかったけれども、うなずきを返した。
「なに? その人、美人だったの?」
からかうような柊子の問いに、
「結構距離があったんだ。美人かどうかなんて、わかるわけないだろ」
なぜだろう。俺は、その顔がはっきり見えた……ましてそれがとびきりの美人だった……ことを、この場で話す気になれなかった。
と。
「あ、そうだ」と、おばさんが声を出した。「椿。おじいちゃん、呼んできて。将臣くん、ついたよ、って」
「はい」
応えて、椿さんは立ち上がった。……ああ、そうか。よくよく考えたら、じいちゃんが「孫の顔が見たい」といったから、俺はここに来ることになったんだっけ。それなら、じいちゃんに顔は見せないとまずいだろう。
部屋の奥にあったドアから部屋を出ていく椿さんの後ろ姿を見送り、俺はおじさんに目を向けた。
「じいちゃんは、元気ですか?」
「元気元気。元気すぎて持て余しちゃってるくらいなんだから」
苦笑混じりに柊子が応えるのと同時に、椿さんが消えたドアの向こう側から、どたどたという足音が聞こえてきた。
ばん! と、勢いよくドアを開け、「おーっ、将臣くん、元気だったかぁ?」
はつらつとした声とともに、じいちゃんが現れた。じいちゃんはにこにこ笑いながら、「何年ぶりだ? 三年か? そのくらいじゃなかったかなぁ」などといいながら、俺のほうへ歩み寄ってくる。
そのじいちゃんの様子に気圧されながら、俺が「ど、どうも。お世話になります」と頭を下げると、じいちゃんはかかか、と笑った。
「いやあ、いい男になりよったなぁ。そのくらいいい男なら、引く手あまた選り取りみどり、ってなもんじゃろ?」
「おじいちゃん!」
困り顔で、柊子が声を出した。ふと気づくと、椿さんが苦笑を浮かべながら部屋に入ってくるところだった。
「おー、すまんすまん。いや、将臣くんがあんまりいい男なもんで、ついな」
……なんというか。
じいちゃんって、こんなパワフルだったっけ? 俺は記憶の中にあるじいちゃんの姿を思い出してみたけれども、その当時はさほど気にしてもいなかったのだろう。あまり記憶には残っていなかった。
じいちゃんは俺の近くに「どっこいしょ」と腰を下ろすと、
「柊子、じいちゃんにも茶を一杯持ってきてくれ」
はいはい、と苦笑しながら、柊子が立ち上がった。その柊子と入れ替わるようにして、椿さんが部屋の隅のほうに腰を下ろした。
「ごめんね。祭りが近いものだから、おじいちゃん、いつにも増して元気なのよ」
微笑混じりに椿さんはいった。
「祭り?」
「ええ。今週の土曜日なんだけど。たしか将臣くん、ここにいるのって、来週の月曜日までよね? 一緒に見に行きましょうね」
うふふ、と笑った椿さんに「あ、はい」俺はうなずきを返した。……祭り、かぁ。
そういえばここ何年か、そういう行事って、いったことがなかったなぁ。椿さんたちと一緒にいけるのなら、それはそれで楽しいかもしれない。そんなことを思いながら、俺は
「でも、なんかおもしろい時期に祭りをするんですね。普通だと、お盆とか、そのくらいじゃないんですか?」
「それなんだけどね。おもしろい由来があるんだよ」
応えたのはおじさんだった。おじさんは少し声を潜め、
「この町のこのあたりの地区の人はね、みんな、鬼の血を引いているんだ」
おじさんはホラーっぽい調子を出そうとして、わざとおどろおどろしい声を出している様子だったけれども、お世辞にもそれは成功しているとはいいかねた。
「鬼の血?」
うむ、とうなずいたのは、じいちゃんだった。
「もう、何百年も昔の話しじゃあ」
そうして、じいちゃんが語ってくれた話の内容は、ざっと次のようなものだった。
その昔。この地区がまだ一つの村だった頃。この村にほど近い山に、鬼の隠れ里、というものがあった。その鬼は、人間とさほど変わることのない容貌を持ち、穏やかで争いを好まない種族だったという。
村の者たちは、博識で心優しいこの鬼たちを敬い、また、鬼たちも自分たちに敬意を持って接してくれる村の人間たちと、穏やかな交流を続けていた。
けれども。
世の中が乱れ始めた(じいちゃんの口振りから想像するに、これはたぶん戦国時代のことをいっているのだろうと思われる)頃から、鬼たちに変化があらわれてきた。「乱世」という時代の空気のせいなのか、本来穏やかな性質であったはずの鬼たちの間に生まれてくる子どもたちが、攻撃的な性格になっていったのだ。
事態を憂えた鬼たちがとったのは二つの道だった。一つは、人間たちと交わることで、その攻撃的な性格の発現を最小にくい止める方法。そしてもう一つは、鬼の里を、完全に人間の世界と隔離して、その影響をシャットアウトする、という方法。
その、人間の世界と隔離された鬼の里がどうなったのかは伝わってはいないのだけれども、この村の人間たちと交わる道を選んだ鬼たちのその後は伝わっている。
鬼と人間の間に産まれた子供のほとんどは、なんら他の人間と変わるところがなかったという。けれども、ごくまれに、鬼の血を色濃く引いた子供が産まれることがあった。そのような子供は、人間には出すことのできない力を出すことができたり、人間には見ることができないほど遠くを見ることができたり、人間では聞こえないような音を聞くことができた、という。
けれどもそのような、化け物じみた能力を持った子供が生まれたのも一代限りだったという。それ以後は、鬼の血が完全に薄まってしまったのか、産まれてくる子供は、ごく当たり前の「人間」だけだった、ということだった。
一瞬。俺の背中を冷たいものが走った。「人間には見ることができないほど遠くを見ることができる」という言葉が、ひどく重く俺にのしかかってくる。
「まあ、どこまでが本当でどこからが嘘なのかはわからないんだけどね。こういう伝承が残っているから、この村の人はみんな、『鬼の血を引いている』ってことになっているんだ」
じいちゃんの話を、おじさんが笑いながら締めくくった。
「それで、その鬼たちが人間と交わることを決めたのが、今度の土曜日、七月の二十八日なんだって。で、鬼と人が交わったことを記念して行われるようになったのが、二十八日の里降り祭り、ってことなんだ」
おじさんの言葉は、俺の耳を素通りしていた。作り笑いを浮かべて、「ふうん、そうなんですか」なんて相づちを打ちながらも、俺の心は、じいちゃんの語った鬼の話しで占められていた。
そうだ。母さんは、この村の出身で、つまりこの村の血……鬼の血……を受け継いでいる。つまりそれは、俺も鬼の血を受け継いでいる、ということになりはしないだろうか。
その鬼の血が、何らかの影響で表に出たのが、あのセーラー服の女の子の目撃「事件」なのだとしたら。
……。
けれどもすぐに、俺はそれがばかばかしいおとぎ話だ、ということに気づいた。化学万能のこのご時世に、鬼の血だのなんだのと、そんなばかな話しがあってたまるものか。あのとき、あのセーラー服の女の子の姿がはっきり見えたのも、俺の勘違いにすぎない。……そのはずだ。
自分自身にいい聞かせながらも、俺は、「人と同じ姿をした鬼」に対して、何かいい知れぬ感情を抱いている自分に気づいていた。
「ぜひに」とお願いされ、俺は母方の祖父の家……要するに母さんの実家……に泊まりにいくことになった。
なんでも、じいちゃんが「死ぬ前にもう一度だけでいいから、孫たちの顔を見ておきたい」といい出したのが、そもそもの始まりらしい。
特別それを断る理由もなかったし、夏休み初めの一週間くらいを、山や田んぼに囲まれた田舎で過ごすのも悪くはないだろう、と、俺はそれを承諾した。
母さんの実家は、過疎の進む雪国のとある村にある。何年か前に、家族でここにやってきたときには、田んぼのど真ん中にぽつんとある駅、という光景に、何とも奇妙な感慨を感じたものだったけれども。
再び訪れたこの場所は、前に来たときと、まったく印象が変わっていなかった。ぐるりと山に囲まれた、これ以上ないってくらいの盆地。そして、広大な田んぼ。
以前ここを訪れたのは、雪解けが始まったばかりの春だった。あのときの田んぼはまだ大部分が黒く汚れた雪で覆われていたけれども、夏真っ盛りの今は、青々とした稲で埋め尽くされている。
夏のじりじりとした太陽が容赦なく降り注いでいた。左手でひさしをつくって、ぐるりと辺りを見回す。
駅のすぐ前を右から左に、幅の広い道路が伸びている。その道路の端に、二桁の数字が書かれた、逆三角形の青い道路標識が立っていた。標識には「国道」という文字が書かれていたけれども、田舎町だからなのだろうか。国道という割には、それほど車通りは多くないようにも感じられる。
駅の前には数件の土産物屋が並び、国道を挟んだ向こう側には、食堂らしき建物とガソリンスタンド。そこからちょっと離れてしまえば、後は田んぼや畑が広がっているという、なんというか、いかにも片田舎然とした場所だった。
それにしても……暑い。
ここで待っていれば、おじさんが車で迎えに来てくれる手はずになっているのだけれども。
立っているだけでじっとりと汗がにじんでくる。左手で、額ににじんできた汗を拭う。ため息をつきながら、もう一度辺りを見回すと、近くに自動販売機が見えた。
これ幸いと自販機でスポーツドリンクを買う。プルタブを開けて中の飲み物を口の中へと流し込むと、多少なりとも暑さがマシになったような気がした。
そのまま一気に半分ほどを飲み干し、残りのドリンクをちびちびと飲み進めていると、一台の小豆色の車がやってきた。車は俺の目の前で止まり、その運転席から男の人が出てきた。
「久しぶりだね、将臣くん。遅くなって悪かったね」
和久おじさん。母さんのお兄さんにあたる人で、やはり兄妹だけあって、顔立ちなんかはよく似ている。いかにも「農業やってます」といった感じの、良く日に焼けた肌と、人の良さそうな笑顔を浮かべている人だ。
「どうも、お世話になります」
一礼すると、
「無理いってすまなかったね。家のじいちゃん、ものすごい頑固じじいでね。まあ、なんにもないところだけど、ゆっくりしていってくれ」
といって、車の運転席のほうに身をかがめた。がこん、と音がして車のトランクが少し開き、おじさんは車の後ろに回ると、トランクを大きく開いた。
「さ、荷物、積んじゃおう」
「あ、はい」
応えて、俺はおじさんに、持ってきた荷物を手渡した。
おじさんの家までは、車で十分ほど。
駅前の通りを抜け、田んぼの真ん中を貫く道を走らせながら、おじさんは「そうそう……」と、口を開いた。
「将臣くんは、家の娘たちのこと、覚えているかな?」
「はい」俺はうなずいた。「椿さんと、柊子ですねよ?」
椿さんは俺よりも二歳年上の大学生。柊子のほうは、俺よりも一つ年下の高校一年生のはずだ。以前、おじさんとおばさんがそれぞれ春と冬が好きで、それに「きへん」をくっつけた名前にした、というような話を聞いたことがあった。
「二人とも、将臣くんが来るのをすごく楽しみしていたんだ」
「えっ? そうなんですか?」
「うん。二人して、将臣くんをあっちこっちに引っ張り回す計画を立てていたよ」
おじさんの楽しそうな物いいに苦笑で応えた俺は、ふと、窓の外に目をやった。
……おじさんが車を走らせている道の、田んぼを挟んだ向こう側。
そこに、彼女がいた。
時速七十キロで、田舎道を走っていく車の中から。それに加えて、彼女との距離も、結構あったはずなのに。
なぜか俺は、彼女を間近で見ているかのように、彼女の細部までを見ることができた。
背中の中程まで届いている、艶やかな黒髪。「日焼け」という言葉を知らないかのような、真っ白な肌。形よく整った眉毛、そして長いまつげと、不思議な輝きを持った黒い瞳。すっきりとした鼻筋。大きすぎず、小さすぎず、絶妙なバランスを保っている唇。程良く引き締まった、ほほから顎にかけてのライン。
なぜか彼女は、この炎天下の中、真っ黒なセーラー服を身にまとっていた。にもかかわらず、彼女は暑そうな表情を見せることなく……むしろ涼しげな顔をして……そこにたたずんでいた。
不意に。
彼女と俺と、目があった。
彼女はにこりと俺に微笑みかけた……ような気がした。
もしかしたら、それは全て俺の頭が作り出した想像……あるいは妄想……だったのかもしれない。普通に考えれば、あの距離で彼女の細かなディティールまで見えるはずもないのだ。だから当然、彼女と目があったこともわからないはずだし、彼女が俺に微笑みかけたなんてことも、見えるはずはない。
けれども俺は、そこにじっとたたずんで、俺のほうをじっと見つめている彼女の姿が視界から消えてしまうまで、彼女から目をそらすことができなかった。
そして。
彼女が視界から消えて少したってから、おじさんが「どうした?」と、声をかけてきた。
「え? ああ……」
俺はおじさんのほうへ顔を向けた。「延々と田んぼだなぁ、って思って……」
おじさんは、あはは、と、苦笑した。「そりゃ、県下でも有数の稲作地帯だからな」応えるおじさんに、
「そういえば」と、俺は顔を向けた。
「なんだい?」
「このあたりに、セーラー服の学校って、あるんですか?」
「セーラー服の学校?」問い返してきたおじさんに、俺はさっき、セーラー服を着た女の子の姿が見えたことを告げ、「ちょっと気になったから」と、付け加えた。
「うーん、どうだったかなぁ?」
おじさんは首をかしげた。「椿か柊子に聞けばわかるだろうから、家についたら聞いてごらん……ほら、もうすぐ家につくよ」
おじさんの言葉で、車の進行方向に目を向ける。田んぼの景色が途切れ、住宅街が見えた。その住宅街のすぐ向こうには、山が見える。
もともと、このあたりは典型的な盆地で、おじさんの家は、ちょうどその山際の集落にあるのだ。
住宅街に入ってすぐの十字路で、おじさんは車を左折させた。そこから少しいったところにある家。そこが、おじさんの家だった。
おじさんが車を家の中に入れると、玄関先で犬をかまっていた女の子が立ち上がった。柊子だ。柊子は、俺が車から降りるなり、こちらに駆け寄ってきた。
「いらっしゃい、将臣くん。久しぶりだね」
柊子はにこにこと、俺に声をかけてきた。しばらくぶりに見る柊子は、当時長かった髪をばっさり切り落としていて、「活発な女の子」というイメージが強くなっていた。
「おう、久しぶり」
挨拶を返して、俺はトランクを開けているおじさんのほうへと歩み寄っていった。トランクから荷物を出し、それを抱えて家のほうへ歩いていくと、玄関から、二人の女の人が出てきた。
克美おばさんと、柊子の姉さんの椿さんだ。
「いらっしゃい、よく来てくれたわね」
にこにこと微笑みながら、おばさんがいった。「どうも、お世話になります」俺は一礼して、椿さんのほうへ目を向けた。椿さんは何もいわなかったけれども、こちらも穏やかな微笑みを浮かべて俺のほうを見ている。
そして俺は、さっきまで柊子がかまっていた犬に目を向けた。前に来たときはころころとしていたチビ犬も、今では立派な成犬になっている。
「ゴンベエは、元気だったか?」
問うと、ゴンベエは「あうん!」と、返事を返してきた。
「俺のこと、覚えてるか?」もう一度問うと、「あん!」と、元気のいい返事。「よーし、偉いぞ」と、俺はゴンベエの頭を撫でてやった。
と、そうこうしていると、おばさんが
「いつまでも暑いところにいないで、家の中で、ちょっと休みなさい」
それを聞きつけた柊子が
「あ。じゃあ、あたし、お茶いれるね」
と、家の中へぱたぱたと駆けていく。その後ろ姿を見ながら、俺たちも家の中へと向かった。
畳敷きの茶の間は水冷式のクーラーが動いていて、心地よい涼しさだった。俺は荷物の中から、母さんからあずかっていたおみやげ……ビスケットの詰め合わせ……を取り出した。
「これ、母さんから」と、それを渡すと、おばさんは「まあまあ、そんな気を使わなくてもいいのに」と、それを受け取った。
おばさんがその包みを開けていると、「おまたせー」と、柊子がお盆を抱えてやってきた。お盆の上には、氷がたっぷりと入っている、見るからに冷たそうな茶色の飲み物……麦茶か何かだろう……が注がれたグラスが人数分、用意されていた。
そのグラスを、俺、おじさん、おばさん、椿さん、の順に手渡していき、最後に柊子は自分の分のグラスを持って、空いていた場所……俺の隣……に腰を下ろした。
「じゃ、頂きます」と、俺はグラスの中身をごくごくとのどに流し込んだ。
……な、なんだぁ?
てっきり麦茶だと思って飲んだその飲み物は、麦茶とはまったく別物だった。俺は思わず、奇妙な味と香りのするその飲み物をまじまじと見つめた。
「柊子……」俺は柊子の方に目を向けた。「なんだ、これ?」
「おいしいでしょ? やっぱり、夏は冷たいアール・グレイに限るよね」
にやにやしながら柊子は応え、自分の分のグラスを傾ける。
「あーるぐれい?」
「紅茶の種類」
柊子はやっぱりにやにやしながら応えた。……紅茶? 紅茶って、こんな味だっけ? 首をかしげていると、
「柊子ったらね、最近紅茶にこり始めちゃって」
椿さんが苦笑しながら教えてくれた。えへへ、と柊子は笑い、「この間ね、すごくおいしいのを買ったんだ。夜にでもいれてあげるね」
俺は苦笑混じりに「そりゃ楽しみだな」と応えた。そして、俺は「そうだ」と、椿さんと柊子に、このあたりにセーラー服の学校があるかどうか、聞いてみた。
「セーラー服の学校?」
「うん」と俺はうなずき、この家に行く道で、ちらりとセーラー服を着ている女の子が見えたことを話した。さすがに、その女の子が、まるで間近で見てるかのように目鼻立ちまではっきりと見えた、なんてことまではいえなかったけれども。
「それで、この暑いのに、よく長袖なんて着ていられるな、って思ってさ」
柊子と椿さんは顔を見合わせ、一言二言、言葉を交わしあった。そのあと、二人を代表して、姉の椿さんが口を開いた。
「単純にセーラー服、っていうんだったら、隣町の西中学が確かセーラー服だったけど……」
黒じゃないのよね、と、椿さんは付け足した。
「将臣くんみたいに、この町に遊びに来ている人なんじゃないの? 夏休みなんだし」 「そう……だな」柊子の言葉に、俺はあまり納得はいっていなかったけれども、うなずきを返した。
「なに? その人、美人だったの?」
からかうような柊子の問いに、
「結構距離があったんだ。美人かどうかなんて、わかるわけないだろ」
なぜだろう。俺は、その顔がはっきり見えた……ましてそれがとびきりの美人だった……ことを、この場で話す気になれなかった。
と。
「あ、そうだ」と、おばさんが声を出した。「椿。おじいちゃん、呼んできて。将臣くん、ついたよ、って」
「はい」
応えて、椿さんは立ち上がった。……ああ、そうか。よくよく考えたら、じいちゃんが「孫の顔が見たい」といったから、俺はここに来ることになったんだっけ。それなら、じいちゃんに顔は見せないとまずいだろう。
部屋の奥にあったドアから部屋を出ていく椿さんの後ろ姿を見送り、俺はおじさんに目を向けた。
「じいちゃんは、元気ですか?」
「元気元気。元気すぎて持て余しちゃってるくらいなんだから」
苦笑混じりに柊子が応えるのと同時に、椿さんが消えたドアの向こう側から、どたどたという足音が聞こえてきた。
ばん! と、勢いよくドアを開け、「おーっ、将臣くん、元気だったかぁ?」
はつらつとした声とともに、じいちゃんが現れた。じいちゃんはにこにこ笑いながら、「何年ぶりだ? 三年か? そのくらいじゃなかったかなぁ」などといいながら、俺のほうへ歩み寄ってくる。
そのじいちゃんの様子に気圧されながら、俺が「ど、どうも。お世話になります」と頭を下げると、じいちゃんはかかか、と笑った。
「いやあ、いい男になりよったなぁ。そのくらいいい男なら、引く手あまた選り取りみどり、ってなもんじゃろ?」
「おじいちゃん!」
困り顔で、柊子が声を出した。ふと気づくと、椿さんが苦笑を浮かべながら部屋に入ってくるところだった。
「おー、すまんすまん。いや、将臣くんがあんまりいい男なもんで、ついな」
……なんというか。
じいちゃんって、こんなパワフルだったっけ? 俺は記憶の中にあるじいちゃんの姿を思い出してみたけれども、その当時はさほど気にしてもいなかったのだろう。あまり記憶には残っていなかった。
じいちゃんは俺の近くに「どっこいしょ」と腰を下ろすと、
「柊子、じいちゃんにも茶を一杯持ってきてくれ」
はいはい、と苦笑しながら、柊子が立ち上がった。その柊子と入れ替わるようにして、椿さんが部屋の隅のほうに腰を下ろした。
「ごめんね。祭りが近いものだから、おじいちゃん、いつにも増して元気なのよ」
微笑混じりに椿さんはいった。
「祭り?」
「ええ。今週の土曜日なんだけど。たしか将臣くん、ここにいるのって、来週の月曜日までよね? 一緒に見に行きましょうね」
うふふ、と笑った椿さんに「あ、はい」俺はうなずきを返した。……祭り、かぁ。
そういえばここ何年か、そういう行事って、いったことがなかったなぁ。椿さんたちと一緒にいけるのなら、それはそれで楽しいかもしれない。そんなことを思いながら、俺は
「でも、なんかおもしろい時期に祭りをするんですね。普通だと、お盆とか、そのくらいじゃないんですか?」
「それなんだけどね。おもしろい由来があるんだよ」
応えたのはおじさんだった。おじさんは少し声を潜め、
「この町のこのあたりの地区の人はね、みんな、鬼の血を引いているんだ」
おじさんはホラーっぽい調子を出そうとして、わざとおどろおどろしい声を出している様子だったけれども、お世辞にもそれは成功しているとはいいかねた。
「鬼の血?」
うむ、とうなずいたのは、じいちゃんだった。
「もう、何百年も昔の話しじゃあ」
そうして、じいちゃんが語ってくれた話の内容は、ざっと次のようなものだった。
その昔。この地区がまだ一つの村だった頃。この村にほど近い山に、鬼の隠れ里、というものがあった。その鬼は、人間とさほど変わることのない容貌を持ち、穏やかで争いを好まない種族だったという。
村の者たちは、博識で心優しいこの鬼たちを敬い、また、鬼たちも自分たちに敬意を持って接してくれる村の人間たちと、穏やかな交流を続けていた。
けれども。
世の中が乱れ始めた(じいちゃんの口振りから想像するに、これはたぶん戦国時代のことをいっているのだろうと思われる)頃から、鬼たちに変化があらわれてきた。「乱世」という時代の空気のせいなのか、本来穏やかな性質であったはずの鬼たちの間に生まれてくる子どもたちが、攻撃的な性格になっていったのだ。
事態を憂えた鬼たちがとったのは二つの道だった。一つは、人間たちと交わることで、その攻撃的な性格の発現を最小にくい止める方法。そしてもう一つは、鬼の里を、完全に人間の世界と隔離して、その影響をシャットアウトする、という方法。
その、人間の世界と隔離された鬼の里がどうなったのかは伝わってはいないのだけれども、この村の人間たちと交わる道を選んだ鬼たちのその後は伝わっている。
鬼と人間の間に産まれた子供のほとんどは、なんら他の人間と変わるところがなかったという。けれども、ごくまれに、鬼の血を色濃く引いた子供が産まれることがあった。そのような子供は、人間には出すことのできない力を出すことができたり、人間には見ることができないほど遠くを見ることができたり、人間では聞こえないような音を聞くことができた、という。
けれどもそのような、化け物じみた能力を持った子供が生まれたのも一代限りだったという。それ以後は、鬼の血が完全に薄まってしまったのか、産まれてくる子供は、ごく当たり前の「人間」だけだった、ということだった。
一瞬。俺の背中を冷たいものが走った。「人間には見ることができないほど遠くを見ることができる」という言葉が、ひどく重く俺にのしかかってくる。
「まあ、どこまでが本当でどこからが嘘なのかはわからないんだけどね。こういう伝承が残っているから、この村の人はみんな、『鬼の血を引いている』ってことになっているんだ」
じいちゃんの話を、おじさんが笑いながら締めくくった。
「それで、その鬼たちが人間と交わることを決めたのが、今度の土曜日、七月の二十八日なんだって。で、鬼と人が交わったことを記念して行われるようになったのが、二十八日の里降り祭り、ってことなんだ」
おじさんの言葉は、俺の耳を素通りしていた。作り笑いを浮かべて、「ふうん、そうなんですか」なんて相づちを打ちながらも、俺の心は、じいちゃんの語った鬼の話しで占められていた。
そうだ。母さんは、この村の出身で、つまりこの村の血……鬼の血……を受け継いでいる。つまりそれは、俺も鬼の血を受け継いでいる、ということになりはしないだろうか。
その鬼の血が、何らかの影響で表に出たのが、あのセーラー服の女の子の目撃「事件」なのだとしたら。
……。
けれどもすぐに、俺はそれがばかばかしいおとぎ話だ、ということに気づいた。化学万能のこのご時世に、鬼の血だのなんだのと、そんなばかな話しがあってたまるものか。あのとき、あのセーラー服の女の子の姿がはっきり見えたのも、俺の勘違いにすぎない。……そのはずだ。
自分自身にいい聞かせながらも、俺は、「人と同じ姿をした鬼」に対して、何かいい知れぬ感情を抱いている自分に気づいていた。
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