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第110話 モアと魔法の関係

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 その後、事情を説明して四人分の食事代をティナに払って貰い、他愛の無い世間話をしながら歩いていると思いの外、早くギルドに併設されているモアのハンガーに到着したのである。

 モア搬入口の大扉は開きっぱなしにしてあり、内部は煌々と明かりが灯り、所狭しと見た事の無い軍用モアが整然と並べられてり、或る意味殺気だった雰囲気を醸し出して居たのであった。
 反射的にマサキはその光景に圧倒して、ズカズカと入って行く勇気が無く……いや、勇気では無く無遠慮な神経を持っておらず、他の三人も同様に作業の邪魔にならない様、扉の外から中の様子をコッソリと伺っていたのだった。

「こ、これは凄いな……普段の倍以上の数が駐機してるぞ!」
 (こっちに来て数週間、毎日此処へは来てないけど、通常営業を知ってるとヤバいな……この数……)

 当然それに伴い、整備班の人間も増えており、あちこちから怒号が飛び交ってちょっとしたパニック状態になっていたのだった。

「こんな所でお前さん方は何をしとるんじゃ?」

 突然後ろから声を掛けてきた人間は、模擬戦の後とこの街に乗ってきたヘビーモアの修理に携わってくれたフランクであった。

「あ、こんばんは!」
 マサキを始め他のメンバーも軽く会釈をして挨拶をした。

「よぅ!アグレッサーの嬢ちゃん達も一緒かい?両手に余る華で羨ましいのぅ!ワハハ!」

 ハンガー内の喧騒にも負けない威勢の良いオッサンである。
 (いつも元気良いなぁ……このオッサン。フランク君!何かいい事あったのかい?とか言いたくなるけど、ネタを知らん人に言ったら唯の失礼になっちゃうからヤメテオコウ……)

「ええ、さっき認定式の関係で、普段は見ることの出来ない各地のモアがハンガーにいっぱいだって、この達に話を聞いたので、少し様子を見に来ました。」
 とマサキはシャーロットとロリ子の方へ視線を向けたのだった。
 (悪い事してる訳じゃないのに、何故かしら言い訳がましくなるのは何でだろう……?)

 「なるほどのぅ。まぁ、見ての通りこのザマだ!
 既にハンガーのキャパオーバーしとる、しかもその殆どが機密満載の機体ばかりじゃ。」

 「凄いですね……」
 (アレだな、この一角だけ昔行った米軍基地祭みたいになってるよ。)

 「あ、な、何か可愛いモアが居るですね!」

 そうロリ子が言った視線の先には茶トラ……と言うよりデザート迷彩と言った方が似つかわしいモアが駐機しており、その横には一風変わったロービジリティーなヒョロいモアが並んでいたのであった。
 (デザート迷彩が可愛いか……確かに色合いは可愛いのかもだけど……)

 「何か栄養失調みたいなモアも居ますねぇ。」
 とシャーロットは、他のモアとは明らかに違うヒョロい上に華奢なモアを見ていたのである。

 「どれどれ?」
 とマサキやティナもそのモアに視線を向けると、確かに細い。毛も他のモアよりも短く……てか栄養失調でガリガリになってると言われても仕方の無い様な貧相なモアであった。

 「ありゃ餌やってないのか?
 そんなに台所事情が厳しい支部もあるんだな……」

 「まぁ、一応ギルドは営利団体の体はしてますけど薄給ですからねぇ……
 中にはそんなモアが居ても仕方ないです。」
 とシャーロットは「やれやれ」とでも言う風に、肩を落としながら話したのである。

 散々な感想をそれぞれ口にしていたのだが

 「お前さん方、頼むから本人の前で絶対にそんな事言わんでくれよ!」
 と真面目な表情でフランクが口にしたのである。

 (オッサン怖い怖い!)

 「え?それってどう云う……?」
 マサキ他三名が突然のその言葉に疑問を持ったようで、言葉を発した方へ視線を向けたのである。

 「まぁ、知らんで当然なんじゃがの、さっきも言った様に今ここにるモアは機密満載の各支部ギルマス専用機なんじゃよ。
 での、場所が違えば気候も違うでなその土地に合う仕様にする訳よ。
 お前さん方が今、栄養失調って言ったモアはロードランドに有るガビルデム支部のギルマス機じゃよ!」

「あ、ロ、ロードランドって、わ私の実家の方です。」

 こう云った場面では、何時もなら聞き役に徹するロリ子が珍しく口を挟んで来たのである。

 「おお、嬢ちゃんは北の育ちかい?なら知ってるだろうが、向こう一年を通して寒さが厳しい土地じゃからの、通常兵装でアーマージャケットを着せて動かしとるんじゃよ。
 で、こっちに来るに当たってジャケットを外しとるからそんな印象何じゃよ。
 その装備のまま来たらモアがオーバーヒートするでの。
 装甲板も外しとるしアレは素体じゃて。」

 「あ~……む、向こうは寒いですからねぇ……た、確かに気温差は大きいかもです。」

 なるほど……とマサキはフランクの話を聞いて、そのジャケットと装甲板を外したモアを再度視線に入れて納得したのだった。
  (装甲板ねぇ……)

 「そう言えばの……」とフランクはマサキに向き直り言葉を続けた。

 「お前サンの新しいモアが来とるよ!」
とハンガーの奥に置かれている大きな箱を指さした。

 「マジっすか?!」
 思いがけないフランクの言葉により思わず嬉々とするマサキ。

 「ああ。模擬戦の時の300系はお前サンがお釈迦にしてくれたからの。( ̄▽ ̄)ニヤリッ あんなにされちゃ再生も出来んて、そこで、だ、再使用出来る部品だけ剥ぎ取ってファクトリーに新造して貰った訳だ。」

 「おお!」
 (真打登場か?SE〇Dで言う所のエー〇スト〇イクガン〇ムからフ〇ーダムに乗り換える感じだよな!)

 「500系に乗っとるそこの嬢ちゃんなら解るだろうが、500系有りきの700系だ。そして700系有りきのN700系な訳よ。」

 フランクは長年調整と開発に携わって来たシャーロットに配慮して経緯の説明をした。

 「ええ。まぁそれは解ります。」
 と冷静に応えては居るが、内心はどんな最新のモアなのか気が気で無いマサキである。

 「での、そのN700系も来年、再来年で引退なんじゃけどの、その後継機をお前サンのモアで試す事にしたんじゃよ。形式もまだ何も決まっとらんがの、一応N700系をベースに先の模擬戦の時のデータを軸に動力系やら色々強化したでな。」

 「おお!マジモンのプロトタイプ!」
 (プロトタイプって何処までがプロトタイプなんだ?エ〇ァで云えば零号機?いや……どうなんだろ?初号機はテストタイプだけど試作とテストの違いの定義がイマイチ解らんぞ?プロトタイプではテストしないのかな?プロトってモックアップ的な位置付けなのか?)

 「おうよ!だもんで、暫くはコイツの調整に付き合って貰うつもりで居てくれよ!」

 「てか、観ても良いっすか?」
 早く中身が見たいマサキであった。

 「因みに……」

 「ん?」

 「量産型プロダクトモデルの初号機は嬢ちゃんに任すからの。」
とフランクはシャーロットにウインクをかました(笑)

  まぁ、順当だろう。幾らシャーロットが乗っている500系の中身が最新式に近いとは言え、二世代前ベースのモアで今まで来た訳だ。流石に最新鋭との差を技術で埋めるには大き過ぎるからなぁ……てか、逆に考えれば今までが凄かったのか?二世代の差を技術で埋めるシャーロット侮り難し……

 「ふふん!当然です。」

 「おーい!そこの者!コイツに見せるんで箱開けてやっとくれ」

 フランクは慌ただしく行き来している目に付いた整備士に声を掛けた。

 「あ、ちょ、ちょっと待ってて下さい!一人では無理なので他の者連れて来ますんで!」
 そう言って少しの間その場を立ち去り、数人を連れて戻ってきた。

 (これって開封の儀……ワロス!)

 整備士達はサクサクと天板を外し側板を開封していった。

 やがて銀色がかった白いモアが姿を現した。
 降着姿勢で底板にワイヤーで固定されているソレは、金色のクチバシに、白一色かと思いきや、首筋と羽根の先端に向けて水色のグラデーションが掛かっているモアであった。

 「まだ装甲板も何も付いとらんから素体だがな。」

 「おお!正しく白い悪魔(笑)」
 (素体!まさか封印されて地下で眠って居たとかじゃないよな(笑)

 「また、マサキは意味不明なバカな事を……全く……」
 久しぶりに口を開いたかと思えば、容赦無いツッコミをしたティナであった。

 まぁ、そうだよな。この世界に来て初めて乗ったギカントモアはダチョウに鞍載っけただけみたいな感じだったけど、ヘビーモアとかは既に鞍以外に色々付いてたしな……軍用モアに至っては首と羽根と尻尾位しか見えなかったし……

 「魔石の出力系はN700系と同じでプリとパワーで分けられておって六系統、十二種類で出力出来るぞ。後、魔石スロットも増やしとるし、センドリターンも三系統あるからどうにでもなるワイ。ま、その分調整がちと大変じゃがの……」

 若干呆れつつフランクはそう言った。

 (ん~……センドリターン?俺にはこのオッサンが何を言っているのか全く解らん……が、何か凄そうなのは理解出来た。)

 「六系統?!」
 とシャーロットとロリ子が目を見開いて思わず声を漏らした。

 「え?」とマサキとティナは驚きを隠せない二人に振り返ったのだが、何に驚いて居るのか全く理解出来なかった。

 「そ、そんなに何か凄い事なの……?」
 (六系統とか言われても全く解らん……それの何処が凄いのか想像すらも出来ん……当然ティナもちんぷんかんぷんの御様子で……)

 「当然ですよっ!」
  
 食い付いてきたのは何時に無く主張の少ないロリ子であった。

 「い、良いですか?クラタナさん。ろ、六系統と言うのは六つの属性の魔法が使えるです。さ、最新鋭の、え、N700系でも三系統しか使えないです。と言うのもモアの素体に三つ迄しか魔石を搭載出来なかったからです。そ、それが倍になったのですよ!凄い事ですよ!わ、私達のモアは基本的に自分と相性の良い属性の魔石をモアに搭載してるです。なのでほぼ専用機と言っても過言ではありません。も、もし、わ、私がシャーロットのモアに乗っても上手く行動出来ないのはそこにあります。そ、それは、わ、私とシャーロットの魔法属性の相性が違うからです。い、一応それを補う為にパワーパック等のオプション装備があるのですが……で、でも六系統有れば相性関係なく、殆どの人が乗れる様になるです!」

 (ロリ子はスペック厨なのか?まぁ、説明わかり易いけどね……うん。長文有難う!)

 「嬢ちゃん……長々話させて申し訳無いんじゃが……」

 眼をキラキラさせて話していたロリ子ことアリシアに、申し訳無さそうにフランクが割って入った。

 「はいです?」
 突然の事にキョトンとしてロリ子はフランクに視線を向けた、

 「もうコイツはN700系とは基本概念が違うんじゃよ。」

 「……と言いますと?」
 真面目な口調でシャーロットが今度はフランクに質問をした。
(はい、目の色変わったァ!シャーロットさん本気まじモードっすよ!)

 「どこから説明して良いのやら……今まではその属性に振り回されて来たんじゃがの、今回からはそうでは無いんじゃよ。」
と、ティナの太もも程あろう太さの腕を組んで考え込んでいる。

  (俺が何故ティナの太ももの太さが分かるのかとか云う話は置いといて、最新鋭のモアですら三つしか魔石は搭載出来ない。その三つの魔石は乗り手の魔法の相性で決まる……だよな。でも今回は違うって意味わからん。普通に考えれば三つ迄しか搭載出来なかった魔石をどうにか六つにしたって感じだけど……)

 「魔石の搭載数はN700系と同じ三つなんじゃがの、それを分けたんじゃよ。それで六つ、六系統。」

(なんかすげ~単純な事だった(笑))

 「そ、それだったら……」

 「解っとる、魔石の質じゃろ?そこは日進月歩の世界じゃて、圧縮技術でクリアしたワイ。しかも魔石のゲインも魔力のゲインもお前サン方なら変えられるじゃろて……それに伴ってパワー魔石の方も改良をくわえたがの。で、本題はココからじゃ。今までは乗り手の相性の良い魔石がセオリーだったんじゃが無属性の魔石を使う事で何種類もの属性を使える様にしたんじゃよ。」

 「え、でもそれって……」

 「基本的な質と出力が下がる、じゃろ?言いたい事は理解出来るがの、その考え方自体が古いんじゃよ。」

 (オッサンに言われたくねぇ!(笑)てか、今まではどうやったって属性の相性の問題で「質」と「出力」が下がるカラクリだったのか……)

 「さっき嬢ちゃんはこっちの嬢ちゃんのモアだと上手く行動出来んというたじゃろ?」
 とロリ子に視線を移してフランクは話し始めた。

 「は、はいです。」

 「それはこっちの嬢ちゃんと得意な魔法の属性が違ってて、その為に専用機になっとるのが現状よの?」

 「で、です。」

 「でも、それが無属性の魔石が積んであったらどうじゃ?」

 「あ、扱え無くは無いですけど……専用よりは扱えるって感じでしょうか?マ、マイナスがゼロに近付く感じ?で、でも精々その程度です。」

 「まぁ、そうじゃろうの。」

(そうなのかい!だから敢えてわざわざ「質」と「出力」を下げてまでオールラウンドに使える様な事はしなかったのか。だから無属性魔石は初心者向けって扱いだったんだな……)

 「今まではの。じゃがその魔石が嬢ちゃんの得意な属性に変わればどうじゃ?」

 「そ、それはもう専用機なのでは……」
  (確かに(笑)それは既に専用機の域になっちゃうよなぁ……)

 「いやいやそうじゃなくての……」

(まさか俺の知ってる……このオッサンの言いたい事は〇EEDのフ〇イズシステムの事とか言い出さんよな……キ〇・〇マトとカ〇リがスト〇イクに乗ると色が違うアレの事……とか……)

 「魔法を発動させるに魔石との相性が存在するのは解っとるがそうでは無いんじゃよ。差し当って嬢ちゃんはこっちの嬢ちゃんの魔法は使えるかい?」

 「む、無理です。と、得意ジャンルがちがうのです。」

 そう。そう言った事があってアグレッサーの機体は専用機になっている。他の兵士も専用機では無いにしろある程度自分の属性との相性でモアを選んどる。じゃがあらかじめ魔石に魔力を注げばこっちの嬢ちゃんの魔法が使えるとしたらどうじゃ?」

 (何か俺のイメージと違って来たな……ガン〇ムのフェ〇ズシステムでは無いと?魔力自体をトリガーにするって事だよな……属性関係無く……)

 「そ、そんな無茶な事が……わ、私達の本質の属性は変えれません。天性の物ですから。なので基本属性以外の魔法は発動出来ないです。」

 「それが古いんじゃよ。」

(またか!言われたくねぇ!) 

 「魔石の精製性能技術も上がっとる。さっきも言ったように日進月歩の世界じゃからの。今回からはの魔法自体をプロファイルするんじゃよ。じゃから乗り手の属性関係無し。コレが新しい技術でお前サンが担当じゃ!」

 ニヤッと不気味(失礼)な笑みを浮かべてフランクは
マサキを見たのであった。

 その笑みに引き攣りながらも苦笑でマサキは応え、内容を脳内だ整理してみた。

 話がややこしくなって来た……乗り手の得意とする魔法と属性がモアに搭載される魔石に重要に関わって居るのは解る。だが、今回からはその属性は関係無く自分の得意とする魔法を発動できるようになる。いや、得意としない魔法も発動できるようになる。この時点でフ〇イズシステム説は破綻だ。アレは自分専用に変える物だから。プロファイルとか言ってたよな……何か引っ掛かる……何処かでこんな物を見た気がするんだが……

 フランクは引き攣るマサキを無視するかの如く
 「魔法出力も今までは直列でしか発動出来んかったが、並列で出力できる様にしたでな!」
 と畳み掛けるように新型モアのスペックを披露していた。

 (先ず直列と並列の魔法出力に関して説明頂きたい!)

 「あ、あの……」
 とフランクのドヤ顔説明に水を指すようにマサキが口を開いた。

 「なんじゃ?」
 ギロっとフランクはマサキに視線を向けて返答した。

 「直列とか並列とか言ってる意味が……」

 「今までそんなことも知らんで乗っとったんか!?」

 「ええ……すみません。イマイチ魔法の事はよく分かってなくて……」

 「仕方ないですねぇ……私が簡単に説明してあげますよ……」
とシャーロットが間を持ってくれた。
(助かる……)

 「先ずクラタナさんが魔法を発動させようとするじゃないですか。」

 「うん。」

 「その魔力信号が出力と考えるんですよ。今は話がややこしくなるのでこの際は属性とかは考えないで下さい。」

 「うん。」

 「例えば、フレアバーストって魔法ですが、あれは炎属性の魔力出力で魔石に魔力を注入してるんですよ。で、魔石で増幅して魔法として発動させてます。」

 「うん。」

「モアには三つ魔石が搭載されてますが……あ、三つと言っても
プリ魔石の事ですよ。パワー魔石は別です。それは直列で繋がれていて居るので「炎」「土」「風」と並んで居たとしますと「風魔法」を使いたい時は「炎」「土」の魔石を通り「風」の魔石だけに魔力が注入されるんです。それにはどうしても他の魔石を通過しての魔力注入なのでノイズが含まれてしまうんですよ。まぁ、バッファとかの関係も有るのでマイナス面だけでは無いんですけど。」

「バッファ?」

 「いや、すみません。バッファは取り敢えず忘れて下さい。え~っと……そう、直列だと発動したい魔法とは関係無い所を通過するので発動した魔法にノイズが乗るんですよ、それを回避するのに魔石を並列で繋げるんです。魔力が直で発動したい魔石に注入出来ますから。ただ、若干出力が直列より劣るんです。ほんの少しですが。その辺は個人の感覚と言うか、ノイズが載っても出力重視とか、出力下がってもノイズが嫌だとか、人によって様々ですけどね。」

 「直で繋いでるのに出力が劣るとはこれ如何に……」

 「でも私達のモアは専用機ですので、直列でもトゥルーバイパスでそれぞれに魔力を注入できる様になってます。」

 「トゥルーバイパス?聞いたそのままの意味か?」

 「はい。入力された魔力信号がそのまま通過する意味です。ただ私達ならそれで良いんですが、それを扱えるにはそれなりの魔力が必要なんですよ。元々の入力される魔力信号が小さいとどうしようもないので……実際その為のバッファなんですが……」

 「ん~……」
 (バッファってなんだ?そんなに重要な物なのか?)

 「その為の策としてパワーパックがあるんですが、それは種類が違うと言うか……三つのプリ魔石の前にセンドリターンってのがあってループしてからプリ魔石に入力されるんですよ。……」

 「意味がわからん……汗……でも出力が小さいならゲインがどうのこうのって言ってたじゃん?」

 「ええ、入力の魔力信号が小さくても魔石のゲインを上げれば質は上がりますが総合的な出力は上がりません。基本的には己の魔力と魔石とのバランスが上手く行っての魔法発動ですから。」

 「なるほど……」

 「クラタナさんの場合は逆でしたけどね(笑)」

 「逆?」

 「ええ、魔力に対して魔石のキャパオーバーって感じです。モアを通じての魔法発動の頭打ちとでも言うべきですかね?なので模擬戦の最後の最後にモアを介さずファイヤーブレードを発動したのだと……ただ、幾ら魔力が強くても個人の力では決定的に戦局を変える事はできません。」

 「まぁ、そうだよな。」
 (ニュー〇イプのア〇ロでも一人で戦局を変えた訳では無いからなぁ……とはいえ、俺って戦略兵器って言われたっけ……)


 等と思いつつ、これから新しい相棒となるモアに視線を向けたマサキであった。
 
 

 
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