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軍用モア練習機発進シークエンス

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先程からエイドリアンさんに練習機の起動方法をレクチャーして貰って居るがさっぱりわからん。何せ手順が多すぎだ。

「クラタナさん、取り敢えず起動方法だけ教えますのでしっかりと覚えて下さいね!」
(ま、覚えないと乗れないからなぁ……)

  その練習機は、最初から二人乗りの仕様になっており両方背もたれと腕置きが付いている。乗り込む際は左からと決まって居るらしく腕置きが後方へ倒れる様になっていた。
 取り敢えずレクチャーして貰うので前側に俺が乗り込み、後方にエイドリアンさんが乗った。

「シー……クラタナさん、先ずは左側の肘辺にある赤いMFSレバー(Magic Fuel Starter)を倒して傍にある赤い魔石スイッチを押して下さい。」

 背もたれがある為声が届かないのでレシーバーを付けての指導だ。

(肘にあるレバースイッチ?これか?)と左側に倒して赤い魔石スイッチを押す。
 するとジジジ……と音がして魔石が起動し始めた。
「ザッ……こ、これで良いんですか?」
 練習機とあって、今まで乗ったモアとは全く操作系が違っていた。今までただの腕置きと思っていた物は、実際には魔石のスイッチ等で埋め尽くされ、何がなんだか解らないでいた。

「ザザッ……はい。ではAPU(補助動力装置)のスイッチを入れて下さい。傍にありますよ。」
(どこだよ!APUって何なんだ?)

「ザッ……了解。」
 どうにか見付けてAPUのレバースイッチを倒す。
 するとシュイーイイイイイ~ンと音が甲高く鳴り出した。

キイイイイイ~ン……

「ザッ……ハイOKです。目の前にある左側の下に見える数字、解りますか?」

「シー……ハイ。なんかパーセントとか温度?とかのですよね。」

「ザッ……そうです、ソコの魔石使用率が20%を超えたらスタートスイッチを押して下さい。このモアは二つの魔石を使って居ますので片方づつ始動して行きます。」
 
 マサキは言われたままにスタートスイッチを押すと
ギュイイイイイ~ンと搭載されている魔石が起動を始めた。
(結構音でかいな……)
 魔石が起動すると、暗かったモニターや各部の燈が点灯を始める。

「ザザッ……そしたら、今見た場所の上の段の数値が18になるように魔力スロットルで調整してみて下さい。そこはスロットル開度の数値です……まぁスロットルと言っても今までの「鞭」の役割ですが、それがレバーになったと思って下さい。左側に有る大きいレバーですが、それも片方づつ上げて下さい。」

「ザッ……わかりました。」
(何これ……俺覚えれるのかな?)

「ザザッ……それで18%になった所で魔石の放熱温度を見て下さい。」
 (凄い勢いで数字が上昇している………)

「ザザッ……その温度が600度迄来たら最初に入れたレバースイッチを右に倒してもう片方の魔石も起動してみて下さい。」

(えっと……MFSレバーを右に倒して赤いボタン、でAPU始動……んで?20%超えたらスタートスイッチ?だったかな?)

キィィィ……イイイイイイイイイイ~ン……

 マサキは今言われた事を思い出しながら起動準備を進める。

「ザッ……両方の魔石が起動しましたね。ではMFSスイッチを切って下さいね。それではスロットル両方を半分まで動かして下さい。」
 グイっと左手でスロットルレバーを半分の位置まで動かす。

「ザザッ……では魔石仕様率が30%を超えたらスロットルレバーをIdle位置に戻して下さい。」

「ザッ……ハイ。」
(なんか色々手順あり過ぎで忘れそうだぞ!)

「ザッ……これで一応魔石は起動しました。次は各装置の起動をしていきます。」
(うえ~……まだあんの?)

「ザザッ……簡単に説明していきますと、AVIONICS POWERにあるINS(慣性航法装置)スイッチをノーマル設定して、FCC(火器管制装置) SMS(兵装管理装置) MAP(地図)等のスイッチを入れていきます。」

(ど、どこだ?つか慣性航法?どっかでジャイロがまわってんのか?)
 マサキはアビオニクスパワーの場所が解らなくてキョロキョロと探す。

「ザザッ……アビオニクスパワーは右手の肘あたりですよ!見付かったらINSのリセットボタンを押してトリムを合わせて下さい。トリム調整は左側の大きな画面に表示されるのでソコの横に有るスイッチで調整できます。」と意を察してか教えてくれる。
(なるほど…ここか。)

「ザザッ……本来ならこの後に、右の翼と左の翼のハードポイントのスイッチを入れたり火器管制とかの段取りが有るのですが略しますね!」

「ザザッ……助かります…取り敢えず動ければ良いので………あと質問なんですけど、どうして両方いっぺんに魔石を始動しないんですか?」

「ザザッ……いっぺんに動かせれないのは、APU(補助動力装置)の魔力が片方づつしか起動出来ない為なんですよね。二つAPUを積めば問題は無いのですが、魔石を動かすだけの装置の割に重いので……だから片方づつ動かす決まりになっています。取り敢えずは今やった魔石スタートまで覚えれば、軍用機は大抵動かせれますよ!」

「ザッ……そうなんですか?N700系とかもですか?」

「シー……若干スイッチの位置など違いますが、段取りはほぼおなじですよ。今やらなかった所は軍用機特有の部分なので、練習機ではどちらにせよ出来ないですね。」

(そう言えば、軍用機の払い下げが有るってジミさんが言ってたけど、こんなの買っても普通の人は動かせれないぞ?)

「ザッ……では少し走って見ますか?」

「ザザッ……是非、本部の周りを一周で構いませんので…」
(いきなりティナ乗っけては危険過ぎるわ……)

「ザザッ……では行きましょう!左側のパネルに有るブレーキスイッチをオフにして、街中なのでスロットルは50%で進んでみてください。」

「シー……了解。」
 パチッとブレーキスイッチをオフの位置にしてスロットルを上げると、魔石の使用率が上がり音が大きくなる。それに伴って放熱温度も上がり一定の所で止まった。

 ティナに、行ってくるの合図でサムアップすると、大きく手を振って返してくれた。

 ハンガーからゆっくりと練習機のモアは移動を始め、大通りに続く見通しの良い道を走った。

「ザッ……大通りにでたら50%以上は絶対に開けないで下さいね!」

「シー……了解です。」
(最初、一緒に走った時位で良いんだよな……)


 こうして、どうにか練習機とは言え軍用機を動かせれるようになったマサキであった。




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