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前世の繋がり
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ティナの親父さんは銃で戦って居た事実を聞いて自分の理解が及ばない事に気付く。
「ティナ……お父さんはどんな格好してた?」
「え?茶色のマントして……ん~……ベージュのブーツ?んで白っぽい色々な緑の柄の服だったよ!あ、ポーチは胸とか腰とか沢山付けてたかも……」
(何か意味が解らん……どんな格好だ?)
「じゃ銃以外の武器は無かったの?」
「いつもマサキに渡してる薮払いだよ。」
「え?」と思い、立ち上がりそれを見に行く。
この二ヶ月、森に水汲みに行く時は必ず携帯させられたものだ。
グリップが木で造られていて、よくよく見ると刃の付け根には
ONTARIO KNIFE US
と刻印があった。
「うそだろ…………」
驚きと嬉しさで手が震える。自分は日本人だけど、こんなにも誇らしくUSの文字が見える日が来ようとは……前世に存在した物が、こんな所で出逢えるなんて……
「どうしたの急に…?マサキ……何で泣いてるの?」
ティナは不思議そうな顔をして覗き込む。
「ごべん……思わず感極まった……ごれ、俺が前住んでた前世の物だ……」
(いや~歳とると涙腺弱くなっちまうなぁ~!)
「え?そうなの!じゃまさかお父さんも異世界からってこと?」
「恐らくは……」
ティナの親父さんは多分在日米軍だ。着てた物も要はカモフラの軍服だ。実際何処の部隊かは分からないけど、俺と同じ災害でこっちに来た人間だろう……マチェットを持ってたという事は、何かしらの訓練中だったのか?でも時系列が合わないのは何でだ?仮に同じ災害に遭ったとして、十数年もタイムラグが起きるもんなのか?
マサキの中で色々な疑問が頭を駆け巡るが、取り敢えず痕跡が残って無いか調べる事にする。
「ティナ、他に親父さんが持ってた物って無い?」
(もしかしたら何らかの手掛かりが残ってるかもしれない。)
「ん~……どうだろう?いつも余り勝手に入るなって言われてたからなぁ……部屋に行けば何か有るかも。」
「見て良いか?」
「別に良いよ!いつもマサキそこで寝てるんだし(笑)」
「いや、ちょっと意味が違うだろ、ある意味と言うか、家探しだからなぁ……」
「良いよ!てか、私も一緒に探せば問題無いでしょ?」
「助かる!」
前世の人間がこっちに来ている!やっぱあの時言われた事は本当だったんだ。こんな世界でどうやって前世の人間を捜そうかと思って居たけど、何とかなるかも知れない……
ティナの父親の部屋はかなりシンプルである。机、ベッド衣装タンス、本棚、それだけである。
「ティナは机と本棚を探してみて!俺はクローゼットとベッドを探すから!」
旅の荷物もほっぽり出して夜の大捜索が始まった。
結果的に、クローゼットを開けても服しか無かった。(一瞬、何かライフル銃とか入って無いかな?とか思ったけど……)クローゼット下の引き出しも下着等の衣類しか入って無かった。(オヤジの下着見てもなぁ……)ベッドの布団を捲ったが何も出て来ず、ベッド下の引き出しも同様だった。
「何かあったぁ~?」
とティナが声を掛けて来た。
「いや、何も……そっちは?」
(何も隠して無いのかなぁ?)
「こっちも特には……」
と空振りの返答。
十数年もの間、どうやって銃で戦ってきたんだろう?消耗部品は?弾は?当然使いっぱなしでは不具合が出るので、メンテナンスに関わる道具や、ケミカル用品が必要となってくる。
「う~ん……維持の方法が思い付かん………」
とマサキが考えこんでいる時ティナが呼んだ。
「マサキ!これは?」
「なに!」
ティナが見つけた物は二十センチ四方の木の箱であり、表蓋にはアクリルの板が貼り付けられて居るようで、艶々としている。
(キタキタキタキタキター!)
「何か魔法で鍵が掛けてあるね……」
と覗き込んでいるティナが話す。
「開ける方法解る?」
「ん~……多分これかな……?」
と表蓋の透明な部分に指を触れると文字が浮かび上がってきた。
(アメリカの首都は?)
「え……?」
二人同時に声が出た。
(シンクロ率四百パーセントですぞ!ティナタソ!)
指を離し、もう一度触ると
(キャンプ・シュワブはどこの国の何県?)
「なにこれ……なぞなぞ?」
「マサキ、これどう言う意味なの?」
意味が分からず困惑気味でティナが聞いてくる。
「これは、俺が前世に居た世界の情報だなぁ……」
(前世に居た人間じゃないと知り得ない事だぞ!)
今度はティナに代わってマサキが触ってみると違う質問が出て来た。
(TOP GUNで一躍有名になった俳優は?)
「…………おい……」
「私は出てる意味が全然解らないんだけど、マサキは意味が解るの?」
「まぁ……なんだ……一応はなぁ……」
(何かこの質問、馬鹿にされてる感が有るのは気のせいかな?)
「じゃ開けられるね!」
「まぁそうかも何だけど、どうやって?」
「ん~……答える~……んじゃないの?……かな?ほら、ダンジョンとかの宝箱も解錠の詠唱するでしょ?」
「いや、ほら!とか言われても、俺やった事ないし……」
「大丈夫だって!流石に解錠失敗しても罠があるとかじゃ無いし!多分……」
「爆発とかしないよな?最後の、多分ってのが怖いけど……」
と何回か指で触って行くと、最初の質問に戻ったのでそこから始める。
(アメリカの首都は)
(ワシントンだよなぁ)
すると最初の質問が消えて次の質問が浮かび上がる。
(キャンプ・シュワブはどこの国何県?)
(日本国の沖縄県)
こうやって幾つかの質問を解いて行くと、何事も無かったの様に表蓋が少し浮いて箱が開いた。
「開いた!」
箱の中には、手紙と一丁の小さなリボルバー、そして弾薬が入っていた。
「ティナ……お父さんはどんな格好してた?」
「え?茶色のマントして……ん~……ベージュのブーツ?んで白っぽい色々な緑の柄の服だったよ!あ、ポーチは胸とか腰とか沢山付けてたかも……」
(何か意味が解らん……どんな格好だ?)
「じゃ銃以外の武器は無かったの?」
「いつもマサキに渡してる薮払いだよ。」
「え?」と思い、立ち上がりそれを見に行く。
この二ヶ月、森に水汲みに行く時は必ず携帯させられたものだ。
グリップが木で造られていて、よくよく見ると刃の付け根には
ONTARIO KNIFE US
と刻印があった。
「うそだろ…………」
驚きと嬉しさで手が震える。自分は日本人だけど、こんなにも誇らしくUSの文字が見える日が来ようとは……前世に存在した物が、こんな所で出逢えるなんて……
「どうしたの急に…?マサキ……何で泣いてるの?」
ティナは不思議そうな顔をして覗き込む。
「ごべん……思わず感極まった……ごれ、俺が前住んでた前世の物だ……」
(いや~歳とると涙腺弱くなっちまうなぁ~!)
「え?そうなの!じゃまさかお父さんも異世界からってこと?」
「恐らくは……」
ティナの親父さんは多分在日米軍だ。着てた物も要はカモフラの軍服だ。実際何処の部隊かは分からないけど、俺と同じ災害でこっちに来た人間だろう……マチェットを持ってたという事は、何かしらの訓練中だったのか?でも時系列が合わないのは何でだ?仮に同じ災害に遭ったとして、十数年もタイムラグが起きるもんなのか?
マサキの中で色々な疑問が頭を駆け巡るが、取り敢えず痕跡が残って無いか調べる事にする。
「ティナ、他に親父さんが持ってた物って無い?」
(もしかしたら何らかの手掛かりが残ってるかもしれない。)
「ん~……どうだろう?いつも余り勝手に入るなって言われてたからなぁ……部屋に行けば何か有るかも。」
「見て良いか?」
「別に良いよ!いつもマサキそこで寝てるんだし(笑)」
「いや、ちょっと意味が違うだろ、ある意味と言うか、家探しだからなぁ……」
「良いよ!てか、私も一緒に探せば問題無いでしょ?」
「助かる!」
前世の人間がこっちに来ている!やっぱあの時言われた事は本当だったんだ。こんな世界でどうやって前世の人間を捜そうかと思って居たけど、何とかなるかも知れない……
ティナの父親の部屋はかなりシンプルである。机、ベッド衣装タンス、本棚、それだけである。
「ティナは机と本棚を探してみて!俺はクローゼットとベッドを探すから!」
旅の荷物もほっぽり出して夜の大捜索が始まった。
結果的に、クローゼットを開けても服しか無かった。(一瞬、何かライフル銃とか入って無いかな?とか思ったけど……)クローゼット下の引き出しも下着等の衣類しか入って無かった。(オヤジの下着見てもなぁ……)ベッドの布団を捲ったが何も出て来ず、ベッド下の引き出しも同様だった。
「何かあったぁ~?」
とティナが声を掛けて来た。
「いや、何も……そっちは?」
(何も隠して無いのかなぁ?)
「こっちも特には……」
と空振りの返答。
十数年もの間、どうやって銃で戦ってきたんだろう?消耗部品は?弾は?当然使いっぱなしでは不具合が出るので、メンテナンスに関わる道具や、ケミカル用品が必要となってくる。
「う~ん……維持の方法が思い付かん………」
とマサキが考えこんでいる時ティナが呼んだ。
「マサキ!これは?」
「なに!」
ティナが見つけた物は二十センチ四方の木の箱であり、表蓋にはアクリルの板が貼り付けられて居るようで、艶々としている。
(キタキタキタキタキター!)
「何か魔法で鍵が掛けてあるね……」
と覗き込んでいるティナが話す。
「開ける方法解る?」
「ん~……多分これかな……?」
と表蓋の透明な部分に指を触れると文字が浮かび上がってきた。
(アメリカの首都は?)
「え……?」
二人同時に声が出た。
(シンクロ率四百パーセントですぞ!ティナタソ!)
指を離し、もう一度触ると
(キャンプ・シュワブはどこの国の何県?)
「なにこれ……なぞなぞ?」
「マサキ、これどう言う意味なの?」
意味が分からず困惑気味でティナが聞いてくる。
「これは、俺が前世に居た世界の情報だなぁ……」
(前世に居た人間じゃないと知り得ない事だぞ!)
今度はティナに代わってマサキが触ってみると違う質問が出て来た。
(TOP GUNで一躍有名になった俳優は?)
「…………おい……」
「私は出てる意味が全然解らないんだけど、マサキは意味が解るの?」
「まぁ……なんだ……一応はなぁ……」
(何かこの質問、馬鹿にされてる感が有るのは気のせいかな?)
「じゃ開けられるね!」
「まぁそうかも何だけど、どうやって?」
「ん~……答える~……んじゃないの?……かな?ほら、ダンジョンとかの宝箱も解錠の詠唱するでしょ?」
「いや、ほら!とか言われても、俺やった事ないし……」
「大丈夫だって!流石に解錠失敗しても罠があるとかじゃ無いし!多分……」
「爆発とかしないよな?最後の、多分ってのが怖いけど……」
と何回か指で触って行くと、最初の質問に戻ったのでそこから始める。
(アメリカの首都は)
(ワシントンだよなぁ)
すると最初の質問が消えて次の質問が浮かび上がる。
(キャンプ・シュワブはどこの国何県?)
(日本国の沖縄県)
こうやって幾つかの質問を解いて行くと、何事も無かったの様に表蓋が少し浮いて箱が開いた。
「開いた!」
箱の中には、手紙と一丁の小さなリボルバー、そして弾薬が入っていた。
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