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本来の目的地到着。そして…

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止まった場所20m程先から道が左に逸れており、後になってかなりギリギリだったんだと肝を冷やした。

この後、当初の目的地までは一切危険な事はせず大人しくティナの後に付いて行った。

超高速で突っ込みそうになったストレートエンドを抜けると道端が狭くなり若干の上り坂になった。

最初は緩やかだった坂道もいつの間にか完全な上り坂になり、右側はかなり急斜面な崖で
左にはゴツゴツと岩が剥き出しの山肌が迫っており、道もモアが通れるギリギリの道端しか無くなっていた。

「シー……ガッ……ティナさんや。」

「サザッ……なによ。」

「ザッ……ホントにこんな所に群生地あるの?」

「シー……ガッ……多分有るんじゃないの?流石に役所がガセネタ出さないでしょ?」

「ガッ……まぁ、そうだよな。それはそうとさ、硬竹って生えてるのすぐ分かるん?」

「ザザッ……分かるよ!だって銀色だもん。」

「ガッ……銀色?緑じゃないの?」

「ザザッ……そうだよ!銀色の竹が真っ直ぐ生えるの。あ、葉っぱは銀色じゃ無いけどね。」

「ザッ……なんで銀色なの?」

「ガッ……さぁ?よく分からないけど、死んだ魔虫とか魔獣とかそのままになった魔石の魔力を吸い上げて……って聞いた事有るけど。」

「ザッ……魔虫?て?(嫌な予感)」

「ザザッ……魔虫は魔虫だよ。私も魔虫は苦手だよ。」

「ザッ……やっぱでかいの?(震え声)」
(嫌な予感しかしない……やっぱ戦う事になるのか?無いわー…)

「シー……ガッ……中には大きいのも居るけど全部が全部大きい訳じゃないよ!掌サイズのも居るし。」

「ガガッ……え?(白目)掌サイズ?だと?えーと、それは大きい方で……?だよね?(裏声)」

「ザッ……あはは!そんな訳無いでしょ?小さい方で、だよ。種類とかにも依るけど、私が両手広げた位のパピヨンとか、またそれ系の幼虫が……あ~……想像したら鳥肌立ってきた……」

(オイ……ティナさんや。いまフラグ立てなかったかい?(ジト目)

「ガッ……地球ゴマの魔除け、魔虫にも効くんだよな……(イケボ)」
(サッと採ってサッと撤収しよう!)

「ザザッ…一応効くには効くけど、魔虫には全体的に効きが悪いのよね。魔獣には良く効くんだけど……何か構造が違うって言うかさ……」

「シー…………ザッ……理解したくないけど理解した。出来る限りサッと採ってサッと撤収しような。」

「ザザッ……うん。そうしよう!私も魔虫はちょっと……ね……」

そうこうしてるうちに内にティナが群生地を見つけたらしく、馬車等の行き違いをする為の待避所にモアを停めた。

「アレが硬竹だよ!」

谷の方の中腹を指差した先には銀色……と云うより鈍色の真っ直ぐな硬竹が密集して生えていた。

「ここ、降りるの?」

「降りなけりゃ採れないでしょ?」

下の方まで見える為、かなりの高さがある様に錯覚してしまう。
(いや、絶対高い。ダムを上から見てる感じだもん……つーか斜面ヤバイぞ。)

「わかった。じゃ取りに行くか!(白目)」

取り敢えず……とティナは地球ゴマの魔除けを回して腰にぶら下げる。

「硬竹は固いからコレで切ってね!」

渡された道具はジグソー的な物であった。

「……コレ、ジグソー?」

「え?ジグソー?て?」

「いや、前世にあった日曜大工の道具だよ。これ、バッテリー駆動なの?」

「バッテリー?て何?」
(そうかぁ~……電気が無いんだった!何か前世と似たような物があるの紛らわしいわ……)

「コレは魔石で動くんだよ!ギルドで借りてきた!一応魔石も変えたから今日1日はずっと使える筈。」

「ここ!」と言いながらティナがスイッチをスライドするとガガガガと音を立ててノコ刃が動く。

「刃先は硬竹用のに替えて有るから切るの宜しくね!(ニコッ)」

「わかった、やって見る。」

「あ、ちょっとまって!」
とモアに載せてある荷物からロープを取り出し腰に巻いてくれた。

「コレだけ生えてるのから、仮に脚を滑らせて落ちても引っ掛かるんだけど、もしもの時はモアが引っ張り上げるから心配しないで!」

「もしも……とは一体?」

「硬竹の栄養分ってさっき話したよね?」

「うん。」

「コレだけ密集してるって事は……」

「まさか……(ガクブル)」

「うん。(ヒューヒュー)」

「言わずもがな……(白目)」

「あ、切る時は谷側から刃物入れて切ってね!そうして倒してくれたら私が上で引き上げるから!(ニコッ)」

「あんな長いの引き上げれるん?」

そう思いティナに聞くと

「縛ってからモアのウインチ使うから大丈夫!」

「え?!今、ウインチ言ったか?ウインチって!(白目)」

「うん、言ったけど。」

「何処に付いてんの?」

「首輪んのとこ。」

モアのモフモフで殆ど見えないが、糸巻を横にしたようなウインチがそこにはぶら下がっていた。

「J○Fかよ!もう、毛の色、青と白で塗っちまえ!」

「何言ってんのか分かんないけど、宜しくね!」

「アイ!マン!」



ティナが受け取り易そうな硬竹の場所まで、恐る恐る急斜面を20mほど降りて行く。

硬竹を触ると冷たい。

「なんだ?コレ?鉄パイプか?」

余りにも鉄パイプに似ていたので軽く指で弾くと「キンッ」と金属のような音がした。

「取り敢えず切ってみるか……」
と意を決してジグソーのスイッチをONにして
直径約8センチ程の硬竹に刃物を当てる。

するとギャリギャリと派手な音と火花を散らせて切断されていった。

「ティナぁ~!これ、火花出てるんですけどぉ~っ!」
(絶対間違ってる!絶対間違ってる!こんなん竹じゃ無いわ!)

「あ~……固いからねぇ!仕方ないよ!火花にも気を付けてねぇ~!」

(固い言うレベルじゃ無いだろ?これ金属だろ、切断じゃなくて切削だよな…)

前世風に言うと、地中から生えた鉄パイプをジグソーで切断すると言う、全く意味の分からない作業を暫くの間続けた。

俺が切って、上でティナがウインチを使って引き上げ、次の硬竹を切ってる間に持ち運び出来るサイズに切ると言うラインで2人黙々と作業した。
(それにしても腰に来る……)


暫くすると上の方で悲鳴があがった。

「きゃぁ!マサキ~!虫が!いやぁー!虫が~!」

魔虫がどっかから出たらしい。
かなりテンパってる声が上の方で聞こえて来る。

「取り敢えず上げて~!」

ウインチの力を使って急斜面を駆け上がると有り得ない光景が広がっていた。

ティナは上で持ち運び出来るように20mの硬竹を5m程の長さに揃えて切る作業をしていた。

直ぐ移動出来るようにと束にして置いて居たのだが、その束の硬竹の切り口から
ニョロニョロと肌色の節の付いた物体が何十も顔を出していた。

「なんじゃこれ~!!(優○ボイス)」

「マサキー!いやぁ~!マサキー!虫がぁー!いやぁ~!」
(俺が嫌かい、ハイソウデスカ……なんか声だけ聞いてるとハァハァしてきたぉ……)

うにょうにょ……うにょうにょ……

「てかっ!キショっ!キショっ!なんか硬竹から出てきてるぞ!」
(マジキショっ!こんなん悪夢だ!)

「マサキー!虫がぁー!いやぁ~!コッチ来ないでぇ~!」
(ティナタソハァハァ……そうだ!こういう時は眼を瞑ろう……そう、声だけ聴くのだ!考えるな!感じろ!だ)

ティナはガクブルして完全に腰が引けてる。

ニョロニョロ……モゾモゾ……

「取り敢えず、コレどうすれば良いんだ?あんなん近く行きたく無いぞ!(白目)」

ニョロニョロ……
(移動速度が遅いのが幸いだわ……つかデカっ!何の幼虫よ!キショっ!)

「燃やして!もう燃やして!ファイヤー!」
(もう、あかん……この人……(白目)恐怖で眼がグルグルだわ……)

(そうか、燃やせば良いのか。)

「おい!ティナ!俺のファイヤーって打ち出すこと出来るの?」

「ファイヤー!ファイヤー!燃やせー!燃やせー!焼き尽くせー!」
(頭の中ヒャッハーになってやがる……)

「ティナ!俺の話を聞けぇ!」
(5分だけでも良いからァ~とは繋がる余地も無い。)

「なに?(涙目)虫が!」

「いや、俺のファイヤーは打ち出せるのかって聞いてんの!(イラッ)」

「打ち出そうと思えば打ち出せれるわよ…そうよ!打ち出して燃やしてしまーへ!ファイヤー!焼き払えたまへ~!」

「ファイヤーは良いからどうやって!」

「ドットファイヤー。火の玉飛ぶから。(涙目)」

「ドットファイヤーな!やり方はいつものイメージパターン?(焦)」

ニョロニョロ……ニョロニョロ

無数の子供の腕位ある大きさの、肌色で節の付いた艶のある幼虫が地面を這いずり回っている。

「そう!早く!早く!ドットファイヤー!早く!マサキ!早く!」

「わかったって、出来るかわからんけど……」

「もう、何でもいいから!早く!早く!」

銃を構えるように指で銃を作り、沢山蠢いている辺りに狙いを定める。

(あれ?これ、レ○ガン?俺死んじゃってるから正に○助じゃん!)

この状況でもそんな事を考え、火の玉が発射されるイメージを思い描く。

(ドットファイヤー。)

「シポッ!」

火の玉が指先から放たれ幼虫に命中する。
だが、1発では燃やせない倒せない(笑)

(なにこの「シポッ!」っての。手持ちの20連花火かよ!)

(ドットファイヤー。)
「シポッ!」
(ドットファイヤー。)
「シポッ!」
(ドットファイヤー。)
「シポッ!」

「ちょ~……ティナこれどうにかならんの?」

モゾモゾ蠢く幼虫の数が減り少し冷静になったティナに聞いてみる。

「なんか威力弱いね。」

ソレを言われてハッと気付く。

(dot fire。)
「シュボフッ!」

「おっ!」
(まさかの発音?)

(dot fire。)
「シュボフッ!」

「威力あがったじゃん!行けー!そのまま焼き尽くせー!」

ジュワジュワと体液が蒸発して煙があがる幼虫達。
(キショっ!キッショッ!)

(あ、そうだ!(ニュータイプ音)Fireの部分を複数形っぽくしたらどうなるんだ?)

(dot fires。)
「シュボボボボボ!」

(うはっ!連射や!連射や!)

(dot fires。)
「シュボボボボボ!」
(ヒャッハー!ファイヤーズマンセー!)

「マサキー!行けー!焼き尽くせー!」


1時間後、道は真っ黒に炭化した子供の腕くらいある幼虫の墓場と化したのであった。




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