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出発

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出発のギリギリになって、役場に直接来ないとギガントモアを借りられ無い事を知り大急ぎで来た。

「遅よーございます(小声)」

既に太陽は真上の位置にある。
借りる時間を大幅に遅刻した為
ティナは遠慮がちに受け付けの人に声を掛けた。


「いらっしゃいませ~!こんにちは~!あ、やぁ、ティナさん!こんにちは!今日はもう来ないと思って仕舞いましたよ!」

そう答えた人は、役所内のレンタモア店で店長をしているダレルと言う小柄なオッサンである。
ちなみにハゲであるwww

「すみません~……朝からバタバタしてて遅れて仕舞いました…」

「いや~もう直ぐに出発ですか?」

「はい!すぐ出るつもりですが、あのですね……」

二人である程度の予定は組んで居たのだが、朝出る予定が結局昼になってしまったので借りる期間を伸ばす手続きをしようと思った。

「なんでしょうか?」

「ギガントモアのレンタルを明後日返却では無く明明後日の四日後に変更したいんですが……ソレって出来ますか?」

「あ~……ちょっと待って下さいね。」

そう言いながらダレルは貸し出し予定表を眺めた。

大丈夫かな?と思いつつ後ろを見ると
マサキは入口の商談スペースに座ってお茶を出して貰い上機嫌だ。

(何やってんだか……)

マサキがこちらに気付いてVサインしてきた。

(ハイハイ……)
一応サムアップして返した。

「お待たせしました!」
ダレルが戻ってきた。

「あ、はい。」

表を見ながらレンタルの予定を教えてくれる。

「1日延長ですよね?それなら大丈夫です。こちらのお店は日暮れまでの営業となっておりますが、ギルドの係員に返して頂ければ結構ですよ!」

「わかりました!じゃ、宜しく御願いします!」

「あ、レンタル期日が変更になったので、此方の書類の日付の所を横棒2つ引いて
日数の変更をしてから名前を書いて下さい!」

「わかりました!」

「乗り方とか説明要りますか?」

「馬と同じですよね?」

「基本的には同じですが、ムチを入れた時は振り落とされない様に気を付けて下さい。暴力的な加速しますから!
それと、返却の際は餌を与えてからで宜しく御願いしますね!
モアは外に出してあるのでそのまま乗って頂いて結構ですよ。

こちらがキーになります。」

首輪と、このキーには冒険者カードにも埋め込まれていた小さな魔石が付いていて双方認証しないと
魔獣なので頭に繋がる魔力供給が遮断れていてモアは動いてくれないようになっている。

「わかりました!ではお借りしますね!」

「お気をつけて!良い旅を!」

(帰って急いでパッケージングしないと……(白目)

 「マサキ~!手続き終わったよ!もう直ぐ乗れるって!」

「おおお!あれだろ?」
と窓を指す。

今回借りたのはギガントモアと言ってモア種最大の大きさを誇るダチョウの様な鳥のオバケ版である。

マサキは少しワクワクしながらモアの鍵を受け取り
赤い魔石を押すと
「カチャっ!ピピッ」
と音がしてモアが眼を開けた。

「デカっ!鳥……なのか?キリン並の大きさあるじゃん!」

首の後半分から羽根の表は焦げ茶色っぽい色で覆われているが
胸の辺りから脚、尻尾に掛けてはグレーになっている。
前から見たら殆どグレーの鳥に見える。

「私も久しぶりに見たけどやっぱ大きいねぇ!」

ティナも、いつもの日常と違う旅に出る出発前の高揚感もあってか
微妙にテンションが高い。

「マサキは乗った事……と言うか運転した事ないよね。無理そうなら牽引して行くけどどうする?」

「勿論乗る!!!乗った事無いけど!」

「ん~……なら馬は乗ったことある?」

「まぁ、馬なら多分普通に操れると思うけど。」
(実は、前世でかなり昔に乗馬クラブに入会して居た時期が有り
結構頻繁に海岸を走ったりした経験があるのだ。)

「操作は馬と同じだから!あ、そうそう、ムチ入れる時は気を付けてって!暴力的な加速するんだって!ちょっと怖いね(笑)」

「( ✧Д✧) カッ!!(暴力的な加速……だと?)」


「馬を操れるなら大丈夫かな?馬よりは揺れないけど気をつけてね!」

(暴力的な加速……暴力的な加速……)

「こいつさ、飛ぶの?」
恐る恐る触るとモフモフしてる。

「暖かい……」

「基本的には飛ばないけど、どうなんだろ?飛んでるのは見た事無いかな?そりゃ魔獣とは言え生きてるんだもの。」

「コレ羽根なんだよね?」

座っているギガントモアの羽根の辺りを指差す。

後ろに長く伸びた羽根は、胴部分のモフモフとは異なり普通の鳥の様な羽根である。
(なんかバランス変じゃね?ダチョウに鳩とか鴉みたいな羽根ついてんのって……)


「うん、けど羽根広げる時って急制動の時が殆どだよ。後は旋回時?かな」

(ふむふむ……エアブレーキの役割を果たすのか………)

「ならさ、羽ばたかせるにはどうすれば良いの?」

「両足でギューッと。」

「ギューッと?どうするの?」
(説明が漠然としていて全く要領を得ない。)

「だから、ギューッと。」

「締める感じ?」

「いや、鐙(あぶみ)をギューッと踏み込む感じかな?あ、でもここではやらないでね!風が凄いから。」

「解った。後さ、踏み込んだ時って羽ばたくの?」

「踏み込んだだけでは羽ばたかないよ!踏み込んでからムチ入れないと。と言うかマサキ何考えてるの?危ない事はしないでよね!冗談じゃ済まなくなるから……お願いだよ!」

「解ったるって(噛んだ)てるって!」
(そうか、踏み込んでムチ入れると羽ばたくのか。)

「今噛んだよね(ジト目)」

「かみま……いや、噛んでないよ。」
(やべ、癖で例のフレーズ言いそうになったわ)

「まだ聞きたいことあるんだけどさ、こいつジャンプってできるの?」

「ジャンプ?障害物を飛び越える時とかはジャンプするけど、何でジャンプ?」

「いや、助走無しでジャンプってできるの?」

「踏み込みながら鐙(あぶみ)の位置を両足後の方にやって手綱を一瞬だけ強くひけば羽根を広げてジャンプするけど………マサキ、絶対変な事企んでるでしょ?(ジト目)」

(なるほど……鐙(あぶみ)の位置と手綱か……引いて鞭入れとか出来るかな……?)

「話してるんだから、私の話を聞けぇぇ~!!」




この後一度自宅に戻り荷物をギガントモアにパッケージングして漸く出発となった。

時刻は14時過ぎ。


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