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役場に来ました。

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「おはようございます~」

今日はティナに連れられて町役場まで来ている。

昔(前世)から役所という所は余り好きでは無い。
国保の手続きやら住民税の手続き、なんだかんだでめんどくさい思い出しかないからだ。
ついでに言うと、免許更新の警察署も嫌いだし確定申告の為の税務署も嫌いだ。

世界は違えど役所の雰囲気は何処も似たりよったりな感じがした。

「早く帰りたい……」

実はこの町役場、実際ギルドだった。

冒険者からはギルドと呼ばれ、町人には役場と呼ばれていた。

大きな街になれば冒険者ギルドが役所とは離れて独立した建物になってるらしいが、片田舎のこんな小さな町では役場がギルドも兼ねているらしい。
町人に対して冒険者登録も少ないらしいし…。

「冒険者ギルドってバーがあってちょっとした食事処があってさ、ちょっとした事で揉め事とか起きるのがセオリーなんじゃないの?」
小声でティナに聞いてみたが

「それ、どんなセオリー?」
と首を傾げて続けた。

「大体何処の冒険者ギルドもスキル、ステータスの検査と冒険に対しての安全のしおりをくれるだけだよ!」

「( ゚д゚)ハッ!」
(まるで、車の免許更新みたいじゃマイカ……俺の脳内イメージの憧れを返せ!)

「どうしたの?何か悔しそうな顔してるけど。」

(俺のロマンを返せ~!)

「あ、呼ばれた!行ってくるね」

ティナは入口で渡された木製の番号札が呼ばれ冒険者登録の窓口に向かった。

自分の番号札には16焼き印がされている。
窓口に向かって並べられた木製のベンチシートには何かの手続きに来た人がチラホラ座っている。

「なんで役所って無駄に天井高いんだろう?」
(つーか、待つの長いよ……(イライラ)

マサキは先に上げた他に病院も嫌いであった。
理由は「待ち時間長い」から。

(まだ前世はスマホとかあったからマシだったけど、無いからどうすりゃ良いのさ……)

ティナを見ると登録の為に何か書類に書き込んでいる。

(あ、何か機械の前に移った。何してんだアレ?)

棒の先に紐みたいのが何本かくっ付いて押したり引いたりしてる。

「16番の方~!」

「あ、俺だ。」

「こんにちは、今日はどの様な御要件でしょうか?」
(冒険者ギルドには人気がある受付のおねータソがいて、偶然にもその受付に呼ばれて、そして他の冒険者から嫉妬の嵐で受付終わったら呼び出し食らう!てのがテンプレなんじゃ無かったのかよ!)

受付には普通の愛想の良いおばはんがいた。(エプロンして)

(俺の異世界ロマンを返せ~!)

「えっと……冒険者登録で(ボソボソ)」

何か色々と逆カルチャーショックを受けマサキはヤル気ナッスィング。

「こちらへの登録は初めてでしょうか?」

「ハイ(ボソ)」

「では、まず初めにコチラの書類の太枠の中の記入をあちらでお願い致します。」

言われるがまま書類記載。(解らない所はティナに教えて貰い)

書類に記入が終わり受付に出す時に
「登録料が今回初回の為に3000円(円?YEN?円なの?)そして、冒険者孤児の寄付金で2000円募っておりますがどうなされますか?」

「えーー……(白目)」

思考停止してる俺の横からティナが
「寄付金も含めての金額で!」

「おい!(白目)」

「畏まりました!では登録料と寄付金を合わせて5000円になります。
 それで、寄付のお礼としてコチラの冒険者カードのケースを進呈しているのですが、何色になさいますか?」

とズラリとカラフルにカード入れが並べられてるケースを見せてくれる。

赤とか青とか緑とかピンクとか黒とか……見覚えがある様なデジャブ……

「何色でも良いよ…(白目)」

「じゃ、青で!」
とティナが決めた。

「コチラで宜しかったでしょうか?」

(もう、あちらでもどちらでもいいから、早く帰りたいってば……)

「あ、それで良いです。」

「では手続きの方進めさせて頂きますね。」

「はい(白目)」

この後
変な機械の前で木の棒を言われた様に動かし、ヘッドホン的なのを付けて何か聴こえたら札を上げて下さいと言われ、石版の上に手を置いて何かを測り、最後に「冒険の危険性」という紙芝居を見て終わりとなった。

「疲れた……コレなら水汲み行った方がマシだわ……」

ぐったりしているマサキにティナは
先程貰った丸い団扇でパタパタと扇いであげている。

「もう少しだから頑張ろ?」

(倍以上の歳下に慰められてる俺氏……なるべく目立たない様にしてるつもりだが、某〇蓮団のジャージは目立ちすぎる。ヒソヒソと噂の声が耳に入って来る。)

「15番、16番の方~こちらへどうぞ~」

「呼ばれたよ!行こっ!」

「う~~……。めんどくさいう~……」

「行~く~のぉ~!(冷笑)」

ゾクッ!と自分の危機管理能力が警告を発した為、速攻で立ち上がり
「サーイエッサー!」
とティナの後を追った。

「15番、コチラのお名前で間違い御座いませんでしょうか?」

ティナが名前やらステータス、スキルを無言で確認してから

「はい」

と返事をして冒険者のカードを受け取った。

(やっぱ名前とか言わないんだよな……この世界にも個人情報保護法とかプライバシーポリシーとか、あるのかな?ま、似たようなのはあるんだろうなぁ……バレればいきなり決闘申し込まれたり暗がりで殺られたり、とか有りそうだもんなぁ……)

「では16番の方、こちらのお名前で間違い御座いませんでしょうか?」

プラスチックっぽい板に名前が掘ってある。
今住んでる所の住所も掘ってあり
下には現在のレベルと属性の表があって何個か丸がしてあった。

そして7段階評価で冒険者のランクは何故かDランクである。
(歳取ってると、生きてる年数分経験を詰んでるので
よっぽどの事が無い限りDランクから始まるそうだ。そしてティナは若い分Fランクだった。)

「大丈夫です。」

と言って冒険者カードを俺も受け取った。

さっきティナが決めた冒険者カードを入れる青いケースとセーフティーアドベンチャーなる栞を貰った。

(ガッデム!免許更新かよっ!)

「冒険者登録の手続きは以上となります。出発の手配、冒険に必要な物品購入はソコの角を右折して、正面にある7番、8番窓口からお願い致します。」

(異世界に居て異世界らしい内容の事もしてるのに、ちっとも異世界な気分がしねぇ~……)

「ティナタソ……もう、帰りたい……」

「まだ準備のもの買わないと行けないでしょ?だからサッと買ってサッと帰ろ?」

「アイ!マン!」
(多分これ以上俺がグズるとヤバい事が起きると、察知したので大人しくする事にした。)

ティナはこの後、旅に必要な道具やアイテムを購入して、ギガントモアのレンタル手続きをサクッと終わらせ町も見ずに速攻で帰ってきた。

「お疲れ様っしたぁ~!」
(実は途中からティナのイライラが眼に見えるようで、かなりガクブルしていた。)

「もぅ、ほんとに疲れたわよ~……」

ホントに疲れたようで、帰って直ぐ食卓に突っ伏したままだ。

「マサキさん……?いい歳してあんな我儘もう言わないで下さいね!(無表情)」

ゾクッ!
「はい……。(裏声)」


こうしてどうにか2人の冒険者登録は終わったのであった。






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