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最後までなりすまします! アンジェラ
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「上手いこと立ち回っていたのになぁ……」
ろうそくの炎が揺らめく中、ソファの上でぼすぼすとクッションに左右の拳を沈めていたアンジェラは顔をあげた。
鍵がかけられていたはずのドアが開いており、ウィリアムがドア枠に寄りかかりながら、気だるそうに立っている。
「お父様……」
「ドレスも使用人たちも一人占めしてたのになぁ……」
ウィリアムの皮肉めいた言い方にアンジェラの顔がますます険しくなる。
お陰で、離れにある一室は険悪な雰囲気だ。
「アビゲイルは額を縫う怪我と右手足首の捻挫だったよ」
「わたし、やってませんわ」
真剣な目つきで答えても、ウィリアムは肩を竦めただけだ。
「すべては結果論だよ、アンジェラ・キャンベル」
ぐっと奥歯を噛み締めて、苛立たしい気持ちを我慢したアンジェラは、四つん這い気味になって乗っていたソファから立ち上がった。ウィリアムは、アンジェラに殴られて形が変わってしまったクッションをソファの上に置き直して座る。
「さて、どうしようか?」
「何がですか!」
ウィリアムは、はぁーと長いため息をつき、「婚約だよ、婚約」と投げやりに言った。
アンジェラは今、サイラスと婚約状態にある。だが、本当に結婚したいのはフィリップで、そのフィリップは姉であるアビゲイルの婚約者だ。
「認めません!」
「何を?」
ウィリアムの意地悪そうな笑みに虫酸が走る。この男はいつもそうだ。わかっていて、けしかけてくる。そして、人が悩み、苛立つ様子を楽しそうに見下ろしてくる。
「フィリップ様との婚約です! 何故アビゲイルなのですか!? わたしの方がふさわしいはずです! 今まで彼に働きかけてきたのはわたしです! わたしが会いにいき、わたしと親しくなりました! なのにどうしてアビゲイルなのです!?」
「残念ながらわたしの采配ではないのだよ。向こうがアビゲイルを指名したのだ」
「……なんですって」
先ほどまでの甲高いわめき声がウソのように、低い声でボソリと呟く。大きく見開いたサファイア色の目が小刻みに震え、力強く握り締めて筋が浮き上がった手も、色白で華奢な肩も、怒りで震えている。
「だが、今、話に出している婚約の件はフィリップ殿相手のものではない。サイラスとのだよ、アンジェラ」
「破棄してください……。受け入れる気はありません!」
「君の意に反しているかもしれないが、これは決定事項だ。ラッセル家に娘を嫁がせる、それは先代からの約束だからな」
「でしたら、再びアビゲイルでよろしいではないですか!?」
話にならん、と再びウィリアムは長いため息を吐いた。
「明日、サイラスが会いにくるそうだ。自分の部屋に戻るよう伝えるつもりできたが、反省の色がないようだな。明日はここで会いなさい。なんにせよ、自分で蒔いた種は自分で刈り取れ」
「今さら、なぜアビゲイルの肩をもつのです!」
「事情が変わった……。ただそれだけだ」
ウィリアムはそれだけ言うと、部屋から出ていった。
「事情が変わったですって!?」
何がどう変わったのか、アンジェラにはわからない。けれどもウィリアムのなかで、アビゲイルを守る、何か決定的なことがあったはずなのだ。部屋の隅から隅までをウロウロし、ここ最近の記憶を振り返る。些細なことでいい、今までの日常と違ったこと。
元々、ウィリアムとアビゲイル、アンジェラの三人と複数人の使用人で暮らしていたキャンベル家だ。ほかに領地から数人、タウンハウスに戻ってきた使用人がいるだけで、特に変化はみられなかった。強いていえば、家出をしていたアビゲイルを連れ戻したくらいで……。
「……記憶喪失?」
連れ戻したアビゲイルは記憶を失っていた。
でも、と薄紅色の唇をきゅっと結ぶ。記憶喪失だなんてウソっぱちだ。ウィリアムもそれを信じているわけではあるまい。だが、ウィリアムはあからさまに態度を変えた。
「記憶を失うと、贔屓してもらえる?」
「そんなバカな……」と嘲笑う。元々、気に入っている人物だったならまだしも、と考えたところで、弱みを握られたのかもと閃いた。それなら辻褄があう。怪我の詳細もフィリップとアビゲイルが婚約に至った経緯も、ウィリアムからしか聞いていない。怪我の状態も、フィリップがアビゲイルと指名したことも偽る理由。
「弱みね、弱みよ! 家出中にお父様の弱みを見つけて戻ってきたんだわ! あの女、やられてばかりじゃなかったのね」
爪を噛み、思考を巡らす。
明日、サイラスがこの離れにやってくる。フィリップも明日、再び見舞いに来ると使用人たちがこっそり話しているのを聞いている。この状況を上手いこと使って、自分の有利になる策を練っていく。
「そうだわ!」
ぱぁっと花を咲かせたように微笑んだアンジェラは、窓辺に近づき厚手のカーテンを開けた。空には冷ややかな色をした細い月が浮かんでいた。
ろうそくの炎が揺らめく中、ソファの上でぼすぼすとクッションに左右の拳を沈めていたアンジェラは顔をあげた。
鍵がかけられていたはずのドアが開いており、ウィリアムがドア枠に寄りかかりながら、気だるそうに立っている。
「お父様……」
「ドレスも使用人たちも一人占めしてたのになぁ……」
ウィリアムの皮肉めいた言い方にアンジェラの顔がますます険しくなる。
お陰で、離れにある一室は険悪な雰囲気だ。
「アビゲイルは額を縫う怪我と右手足首の捻挫だったよ」
「わたし、やってませんわ」
真剣な目つきで答えても、ウィリアムは肩を竦めただけだ。
「すべては結果論だよ、アンジェラ・キャンベル」
ぐっと奥歯を噛み締めて、苛立たしい気持ちを我慢したアンジェラは、四つん這い気味になって乗っていたソファから立ち上がった。ウィリアムは、アンジェラに殴られて形が変わってしまったクッションをソファの上に置き直して座る。
「さて、どうしようか?」
「何がですか!」
ウィリアムは、はぁーと長いため息をつき、「婚約だよ、婚約」と投げやりに言った。
アンジェラは今、サイラスと婚約状態にある。だが、本当に結婚したいのはフィリップで、そのフィリップは姉であるアビゲイルの婚約者だ。
「認めません!」
「何を?」
ウィリアムの意地悪そうな笑みに虫酸が走る。この男はいつもそうだ。わかっていて、けしかけてくる。そして、人が悩み、苛立つ様子を楽しそうに見下ろしてくる。
「フィリップ様との婚約です! 何故アビゲイルなのですか!? わたしの方がふさわしいはずです! 今まで彼に働きかけてきたのはわたしです! わたしが会いにいき、わたしと親しくなりました! なのにどうしてアビゲイルなのです!?」
「残念ながらわたしの采配ではないのだよ。向こうがアビゲイルを指名したのだ」
「……なんですって」
先ほどまでの甲高いわめき声がウソのように、低い声でボソリと呟く。大きく見開いたサファイア色の目が小刻みに震え、力強く握り締めて筋が浮き上がった手も、色白で華奢な肩も、怒りで震えている。
「だが、今、話に出している婚約の件はフィリップ殿相手のものではない。サイラスとのだよ、アンジェラ」
「破棄してください……。受け入れる気はありません!」
「君の意に反しているかもしれないが、これは決定事項だ。ラッセル家に娘を嫁がせる、それは先代からの約束だからな」
「でしたら、再びアビゲイルでよろしいではないですか!?」
話にならん、と再びウィリアムは長いため息を吐いた。
「明日、サイラスが会いにくるそうだ。自分の部屋に戻るよう伝えるつもりできたが、反省の色がないようだな。明日はここで会いなさい。なんにせよ、自分で蒔いた種は自分で刈り取れ」
「今さら、なぜアビゲイルの肩をもつのです!」
「事情が変わった……。ただそれだけだ」
ウィリアムはそれだけ言うと、部屋から出ていった。
「事情が変わったですって!?」
何がどう変わったのか、アンジェラにはわからない。けれどもウィリアムのなかで、アビゲイルを守る、何か決定的なことがあったはずなのだ。部屋の隅から隅までをウロウロし、ここ最近の記憶を振り返る。些細なことでいい、今までの日常と違ったこと。
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「……記憶喪失?」
連れ戻したアビゲイルは記憶を失っていた。
でも、と薄紅色の唇をきゅっと結ぶ。記憶喪失だなんてウソっぱちだ。ウィリアムもそれを信じているわけではあるまい。だが、ウィリアムはあからさまに態度を変えた。
「記憶を失うと、贔屓してもらえる?」
「そんなバカな……」と嘲笑う。元々、気に入っている人物だったならまだしも、と考えたところで、弱みを握られたのかもと閃いた。それなら辻褄があう。怪我の詳細もフィリップとアビゲイルが婚約に至った経緯も、ウィリアムからしか聞いていない。怪我の状態も、フィリップがアビゲイルと指名したことも偽る理由。
「弱みね、弱みよ! 家出中にお父様の弱みを見つけて戻ってきたんだわ! あの女、やられてばかりじゃなかったのね」
爪を噛み、思考を巡らす。
明日、サイラスがこの離れにやってくる。フィリップも明日、再び見舞いに来ると使用人たちがこっそり話しているのを聞いている。この状況を上手いこと使って、自分の有利になる策を練っていく。
「そうだわ!」
ぱぁっと花を咲かせたように微笑んだアンジェラは、窓辺に近づき厚手のカーテンを開けた。空には冷ややかな色をした細い月が浮かんでいた。
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