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【ダンジョン:女性の敵 スライム】

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岩場を過ぎて、遠くに見えていた大きな洞窟に入った。
洞窟は暗く先が見えなかったが、ヴァルガー老師が、火球を浮かべ、それを頼りにしながら進んだ。

『どうも、この洞窟はありふれたダンジョンじゃと思ったが、厄介なことに「魔法の迷宮」になっているようだ』
ヴァルガー老師は誰に聞かせる訳でもなくつぶやいた。

『ヴァルガー老師、魔法の迷宮って何なの?』老師の言葉に反応したイレーネ姫が素朴な疑問を投げかけた。

『姫様はダンジョンと呼ばれる洞窟にはモンスターやトラップなど障害があるのは知ってなさるかな?
魔法の迷宮は、加えて構造が変わる不思議なダンジョンのことですじゃ。
その代わりに最下層まで行って、ボスモンスターを倒すと、目が眩(くら)むような財宝などが手に入るそうですじゃ』

『モンスターやトラップに気を付けろ!』二人の話を聞いていたブルーノ騎士長は騎士たちに注意喚起した。

洞窟を降りて行くと、そこは大きな空洞になっていた。
ダンジョンの一層に入ったのだ。
足元は粘性(ねんせい)を帯びたが物が、所々に水溜まりのようにあった。
突如、水たまりが膨らんだと思うと、丸みを帯びた透き通った物が、あちら、こちらから飛びついて来た。
飛びつかれた騎士が、慌てて剣で切るが、二つに切られても次の瞬間にはまた一つに戻って、再び飛びついてきた。

『きゃ~』姫が悲鳴を上げた。

見ると姫の胸当て部分の鎧にスライムが貼り付いていた。
姫は慌てて、剥がそうとするが、なかなか剥がす事が出来なかった。
竜馬が手伝って、何とか剥がしたが、再び『きゃ~』と姫からの悲鳴が洞窟に響いた。
何と、スライムに貼り付かれた片方の胸あてが部分的に溶けて、姫の下乳があらわになり掛けていたのである。

『もう、何よ!誰も見ないで・・・見たものは不敬罪にするわよ!』

『誰か、布切れで隠すんだ!早くしろ』ブルーノ騎士長が叫んだ。

『早く、このやらしい生き物を何とかしなさい』姫は怒った命令口調だった。

『ここは儂の出番かな?』ヴァルター老師が、手の平に火の玉を浮かべ玉投げのように、次から次へと、ねばねばした生き物に投げつけた。
火の玉は見事に、ねばねばに当たったかと思うと、水蒸気となって消えてしまった。

『カ、カ、カ、面白いのう』老師は奇妙な笑いをした。

『老師が退治した、やらしい、あのぬるぬるは何なの?』姫はブルーノ騎士長に聞いた。

『姫は、ご存知なかったのですか?あれはスライム(slime)ですよ。
ダンジョンでは粘土や泥などが、核になるマスターから漏れ出す魔力によって、生き物になった魔物です。
攻撃力は殆どないのですが、変わった習性があり、スライムは鉄を食し、特に何故か?女子の鎧の鉄が好きなようです。
女の冒険者には油断は禁物の魔物です。姫も気を付けて下さい』

『もう、嫌な魔物ね・・・でも、さすが、元Sランクの冒険者、よく知っているわね!』姫は尊敬した眼差しで騎士長を見た。

ブルーノ騎士長は王国に騎士として雇われるまでは、森やダンジョンにいる魔物を狩って、生計を立てていた凄腕の冒険者だった。
冒険者のランクは魔物を狩る力に加え、ハンターギルドへの貢献した者に、Eランクから始まりDCBAとランク付けされていた。
そして数少ない冒険者に最上級のSランクが与えられていた。
彼は冒険者として最上級のSランクを持っていたが、危険な魔物討伐の仕事で、力を帝国に認められ騎士となる機会を得た。
そして戦場での、手腕が認められ、騎士としての最高位の騎士長まで上り詰めたのだ。
エストランド帝国は皇帝を元首として頂き、公候拍子男の爵位持ちが、大小の領地と常駐の軍隊を持っている。
王直属の騎士は爵位持ちの三男や四男などの子息が多くいたので、荒事に向かない者も少なからずいた。
イレーネ姫が今回、聖剣を見つけ出す旅に連れて来た騎士は、ブルーノ騎士長の眼鏡にかなった者たちでエストランドでは精鋭だと言えた。
騎士長は若い騎士を戦闘の教練では厳しく鍛えたが、日頃から面倒見がよかったため、親父のように慕われていた。
イレーネにはそんな騎士長に絶大の信頼を置いていたのは言うまでもない。
まさに、騎士長は「たたきあげ」であるが、騎士達に好かれる大漢(男の中の男)だった。

竜馬は布で隠される前のイレーネ姫の下乳を覗き見した。
とても張りのあるおっぱいがに思えたが・・・残念ながら〇〇を見ることができなかった。
鎧を食べる魔物だと知っていたら、もう少し鎧から引っぺがすのを遅らせたのにと思うのだった。
スライムを退治して大きな空洞を進んで行くと、徐々に空洞が狭まり、更に進むと少しずつ降りて行っている感じがした。
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