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【アサシン:暗殺者】時の魔導士 NO2 カトリーヌの思惑 

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突然、建設用の鉄骨が頭上から落下して来た。
「ガシャーン・・・」数トンの鉄骨がレンガ造り歩道を凄まじい音をたて抉(えぐ)った。
下敷きになれば当然、即死だが、アルコールが入っていているとはいえ、そこは人間離れした身体能力を持つ抗魔官達の事、危うかった一人を除いて難なく鉄骨が躱した。
現場近くにいた歩行者は様子から鉄骨が下を歩く人を巻き込み押し潰したと思ったに違いない。
だが、何故か避けられないと思われた惨劇は回避された。
それは多分、奇跡という言葉で表現される事であろう。

「あぶねえ、このところ不運がつきまとっていたので、死ぬかと思ったぜ・・・。
女神の加護があるブレスレットをしているとはいえ1000年に一度の100倍の凶を引いたこのタイガー様の不運はだてじゃないからな、うふふ・・・」タイガーは自分の不幸を誇らしげに言った。

「ハハハ・・・タイガー、大丈夫か?」

「おい、凛太朗、何を笑ってやがる。
幸運の加護がある凛太朗には憂うつな毎日を送るオイラの気持ちが分かるものか・・・」

「タイガー、運の女神に会った時、さては女神の話を聞いていなかったな⁈
魔族との戦いで『超災厄を発動』していないんじゃないのかい?」

「何?凛ちゃん、それはなんだ・・・?」

「タイガー、教えてやろう。運というのは使わなきゃ貯まるものなんだ。
それは俺の様なプラスの運だけじゃない。マイナスの運だって、同じだと考えている。
タイガーは頑強な身体能力で戦っているが、超災厄を魔族との戦いで使わなきゃ、マイナス運が溜まるだけ、それは怖い事に加護があるブレスレットをしていても少し漏れるらしい。
俺の持つ幸運も同じだから、何となく分かるんだが、例えば金持ちの近くでいればツキがやってくるし、ツキがないやつと付き合っているとアンラッキーな事が頻繁に起こるのと同じ事だ。考えて見ろ、何となく辻褄があっている気がしなかい?」

「へ~そうなんだ」タイガーは神妙な面持ちをした。
凛太朗の言った事をそのまま信じた様だ。

「凛太朗、今、言った事は本当なの?」デルフィーヌは珍しく聞き返した。

「ああ、少なくとも俺は運について、そう思っている」

「タイガー、凛太朗の言った事だから本当の話かも知れないけど、何事も鵜呑みにしちゃだめ、少しは疑いなさい」カトリーヌはそう言いながらタイガーの頭を叩いた。
カトリーヌ、それにデルフィーヌの二人は、その時、思った。
奴は、何も考えていない。やはり脳キンなんだ』と・・・。

「凛太朗、最近、オイラはツキがからしきない。
後生の頼みだ。今だけでいい。いい思いをさせてくれまいか・・・。」

「ふふふ・・分かった。
タイガー、いいか・・・運を分けてやる。
願いを思い浮かべるんだ。
女神の幸運、タイガーのラッキーポイントを5倍に・・・これでどうだ‼」

その瞬間、何故か?季節外れのつむじ風が突然、吹いた。

「キャー」カトリーヌとデルフィーヌの悲鳴がハモった。

強い風が吹き街路樹の落ち葉が舞い上がると同時に女性陣、二人のスカートがめくれあがった。
デルフィーヌはスカートを手で押さえたが、日傘を手にもっているカトリーヌはそうはいかない。
カトリーヌのゴスロリファッション用のスカートは見事に、めくれ上がりパンティが露わになった。
それは何時も死神に似合わない花柄やイチゴ柄のパンティを履いているカトリーヌにしては珍しいモテ力UP間違いないエロ可愛いセクシーランジェリーだった。
その下着を見れば世の男達の小男子達はきっといきり立ち歓喜するであろう。

何故、カトリーヌは今日に限って勝負下着を履いたのかって・・・?
それは少し話を遡って欲しい。
今日は凛太朗と二人で彼女は食事に行くつもりだったのだ。
死神カトリーヌは純潔であり、青春の尻尾を持つ初心な乙女心を持ってはいる事を前置きし、凛太朗の様な鈍感な男には分かる筈がないが、あわよくば結ばれたいという思いで一大決心をして勝負下着を履いて今日に臨んだのだろう。
二人で食事が出来なかった事で、カトリーヌの機嫌が悪くなった理由はそこにあった。

「でへへ、ウシシ・・・」タイガーは鼻の下を長くし涎を垂らしパラダイス(paradise:天国)モードになっていた。

それを見たカトリーヌは怒りに震える。

「エロタイガー、お前の願いはそれか? 一度死んでしまえ‼」

非情の日傘の刺突がタイガーのストマック(stomach:腹)に炸裂した。
タイガーは天国から地獄に落とされて泡を吹いて失神した。
だが、凛太朗にはタイガーの失神した顔が、それでも幸せそうな顔に見えたのは気のせいか・・・。

高層マンションからの落下物事故は事なきを得たが、それは始まりだった。

「おい、エロターガー何時まで寝ているんだ。帰るぞ!」
失神しているタイガーをカトリーヌは日傘で蔑んだ目で見ながら突きを入れ強引に起こした。
その時だった。

「ドン」という大きな衝突音がしたので、何事かと振り返る。
赤信号を無視、衝突事故を起こした10tトラックが、そのまま歩道に乗り上げ凛太朗達の方向に向かって来た。
コントロールを失い走る凶器となった大型トラックは悲惨な事故を目撃して呆然と佇んでいた女子高生を巻き込みそうになる。

『あぶない‼』凛太朗は咄嗟に助けに入った。
女子高生に覆いかぶさり能力、サイキックバリヤーを張りから彼女を守った。
総重量10tの大型トラックは、二人をタイヤで引いた。即死は間違いない。
何処かで悲鳴があがる。
トラックは、二人を引いた後、そのままビルに激突、炎上した。

だが、宇宙最強の戦士のバリヤーは凛太朗達に傷一つ負わすことが出来なかった。
バリヤーが間に合い凛太朗は暫くして何事も無かった様に立ち上がり少女を起こしてあげた。
そして、「大丈夫か?」と優しく声を掛けた。

「えぇ・・・助けてくれてありがとうございます」『可愛いい女子高生だ』
凛太朗の気づかいに少女が礼を言った時だった。

「へーこれは驚いた。魔法でも使ったのかい?
この場面では勇気のある若者が彼女の身代わりに事故に合って死亡するという落ちを狙って仕掛けたんだが・・・」

その声は肉声ではない。
神達の伝達方法、テレパシーの様に頭に直接響いた。

「何者だ・・・?」

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