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【赤い悪魔】死闘
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人類は最新鋭の破壊・核兵器を投入し異次元の魔族と果敢に戦った。
だが、その健闘も虚しく魔族が人間の怒り、憎しみ、恨み、不信感など負の感情をコントロールし指導者達を操る事で人類に自滅とも言える核戦争を引き起こさせた為、地球規模で死の灰が降り注ぎ人類は滅亡の危機に陥った。
核シェルターや地下に隠れて生き残った人々も人間狩りに合い捕まれば家畜になる運命を辿る。更に難を逃れた少数の人々は異界からの魔の波動によって、心を無くし大都会東京は背徳の都市に変貌した。
そんな状況下、凛太朗達は時神から最後の審判までに少しの猶予を貰ったが、既に対策を講じる手段はなく凛太朗達、抗魔執行官は時の部屋から帰って数ヶ月、不毛とも言えるレジスタンス(抵抗運動)に身を投じる困難な戦いを強いられていた。
凛太朗は倒壊したビルの陰に身を伏せ魔物達が現れるのを待った。
そこに凶暴そうな大小の漆黒の魔物や四足獣の群れが現れる。
その魔獣達に向けて殺傷力の強い車両搭載用のHMG(ヘビーマシンガン)をイメージした幻想銃のトリガーを絞る。
歩兵には到底扱えないが、筋力を強化した凛太朗だからこそ扱える武器だ。
『ドドド・・・ドドド・・・』
射撃はマシンガンが、オーバーヒートしない様に断続的に行う。
必殺の死霊弾はマシンガンから飛び出し軌道を変えながらも魔物達に確実にヒットする。魔物達は悲鳴に近い鳴き声をあげ黒い血肉を撒き散らした。
魔物の生体は、未だ、はっきり分かっていないが、使い魔のアンナがいた魔界とは違う異次元からやって来た未知の侵略者だ。
魔物達は押し並べて戦闘力が高く、なかには再生能力を持つ者も少なくなかったが、凛太朗の幻想銃が放つ死霊弾は通常弾と違い魔物達の再生を許さなかった。
抗魔執行官二人一組でチームを組んでいるエルフのチェリーも瘴気が漂う土地では魔法エネルギーのマナが少なく大掛かりな超魔法を紡ぐ事ができず中級魔法での攻撃を余儀なくされていたが、近くのビルの陰から精霊魔法を使い幻想銃に合わせて波状攻撃した。この攻撃は一度の攻撃で凡そ二、三百匹の魔獣や魔物を仕留めたが、数千、万単位の魔物の群れには二人の攻撃では多勢に無勢であり出来る限り正面切っての戦闘を避けた。
凛太朗達は攻撃地点は魔物達に見つかっても逃げ切れるだけ標的迄の距離を取った。
圧倒的な数の力に、あくまで正面から戦う事は避けてゲリラ作戦に徹する。
それに攻撃出来る時間は限られている。辺りに漂う毒の瘴気が急激に体力を奪い必要以上に長居すれば毒気にやられる事になるからだ。
エルフのチェリーは妖精が飛び交う大自然の中で生きる森の民だ。
魔法で結界を空気を浄化しているが、攻撃の最中は瘴気を遮断するには限界があった。
少し顔色が悪いチェリーを先に管理局に帰還させる事にした。
「チェリー、今日はこれ位で帰るんだ」 「凛太朗は?」
「俺はもう少し偵察してから帰還する」 「分かったわ・・・」
「エルザ、帰還する次元の扉を開いてくれ・・・」
思念の伝達で執行官の次元管理局にいるアンドロイドのエルザに連絡を取った。
抗魔執行官の活動拠点は麹(こうじ)町にあった円城寺ビルに置いていたが、異次元に通じるゲートが出来た時に破壊されたため多次元の狭間を彷徨う浮遊島に移していた。
次元移動の能力を持たない凛太朗達は次元の扉を開いて貰う必要があった。
「チェリー、ご苦労様、次元の扉を開くからナビで扉の位置を確認してね。
他のメンバーも帰っているわ・・・」
次元の扉開く位置まで、チェリーは転移した。
その時だった。
「フフフフ・・・」不気味な笑い声が辺りに響き、突然、何者かが現れた。
「ナマイキナマネヲシテクレル、ダガ、ココマデダ・・・ワガケンゾクヲ、コロシタムクイヲ、ミヲモッテウケルガイイ」
その魔物は頭に双頭の角を持ち尻尾と羽根を持つ紅蓮のマントを着た赤い悪魔だった。
耳障りな声ではあるが人間の言葉を喋る。
古(いにしえ)の時代から伝わる黒装束を纏った悪魔とは姿形はよく似ているが、
冷酷というより大きく裂けて牙が生える口や風貌は血に飢えた殺人鬼という雰囲気を持っていた。
赤い悪魔は瘴気を集め手に剣を召喚した。剣からは邪気を含んだ炎が立ち上がる。
凛太朗は尋常でない殺気を赤い悪魔から感じた。同時に危険を知らせる予知能力の警笛がなる。
だが、既に逃げられないだろうと判断した凛太朗は呼吸を整え闘気を体に纏い戦う。更に村正を召喚し闘気を流し構えた。
『速い』赤い悪魔は身の丈5メートルはあろうかと思える化物じみた大きさだが、一瞬で間合いに入って剣を振り下ろして来た。
直線的な打ち込みだが、速さと圧倒的なパワーを兼ね備えた凄まじい剛剣だ。
打ち合う衝撃音が何度も鳴り響く。奴は剣を受け流されたためなのか、怒りを顕わにしながら炎が立ち上がる剣を何度も振るう。
これ以上、正攻法で剣を合わせば危険だと判断した凛太朗は身体能力をMAXまで上げ瞬間移動で剣を躱す。奴には残像しか見えないに違いない。
そして、隙を見た凛太朗は必殺剣を赤い悪魔に振るった。
手応えがあり悪魔を肩から袈裟懸けに切り裂くが、致命傷になる筈の傷も直ぐに再生し元に戻る。
凛太朗は隙を見て村正をサブマシンガン、H&K MP5に造形能力で変える。
口径は9MMだが命中精度が高く短距離で使えるが特長だ。
トリガーを絞り赤い悪魔に打ち続ける。死霊弾が全弾命中するが奴は怯む様子もない。
奴を倒すには強力な武器が必要だった。
「ナカナカヤルナ、ワガカラダニ、キズヲツケタノハ、ハジメテダ、ナラバワレモ、ミセヨウ・・・」
赤い悪魔は、そう言いながら再び剣に瘴気を集める。
すると剣は形を変え一層燃え上がった。
「シネ」
悪魔が剣を振った瞬間、紅蓮の炎が数頭の炎の魔獣になって凛太朗を襲った。
赤い悪魔の剣は魔剣だった。
凛太朗はデルフィーヌが持つ「炎の剣」ティソナデルシドを見た事があったが、躱し切れず全身に深手を負う。
女神の加護が働いているのか、即死にはならなかったが、立ち上がる事さえ出来なくなった。
意識をチェリーに向ける。彼女の気配は近くにはない。無事逃げられた様だ。
凛太朗はチェリーの無事を確認し辛うじて動く手で時の部屋で仙人に貰った不死鳥の血が入った瓶を取り出し飲み干した。
だが、その健闘も虚しく魔族が人間の怒り、憎しみ、恨み、不信感など負の感情をコントロールし指導者達を操る事で人類に自滅とも言える核戦争を引き起こさせた為、地球規模で死の灰が降り注ぎ人類は滅亡の危機に陥った。
核シェルターや地下に隠れて生き残った人々も人間狩りに合い捕まれば家畜になる運命を辿る。更に難を逃れた少数の人々は異界からの魔の波動によって、心を無くし大都会東京は背徳の都市に変貌した。
そんな状況下、凛太朗達は時神から最後の審判までに少しの猶予を貰ったが、既に対策を講じる手段はなく凛太朗達、抗魔執行官は時の部屋から帰って数ヶ月、不毛とも言えるレジスタンス(抵抗運動)に身を投じる困難な戦いを強いられていた。
凛太朗は倒壊したビルの陰に身を伏せ魔物達が現れるのを待った。
そこに凶暴そうな大小の漆黒の魔物や四足獣の群れが現れる。
その魔獣達に向けて殺傷力の強い車両搭載用のHMG(ヘビーマシンガン)をイメージした幻想銃のトリガーを絞る。
歩兵には到底扱えないが、筋力を強化した凛太朗だからこそ扱える武器だ。
『ドドド・・・ドドド・・・』
射撃はマシンガンが、オーバーヒートしない様に断続的に行う。
必殺の死霊弾はマシンガンから飛び出し軌道を変えながらも魔物達に確実にヒットする。魔物達は悲鳴に近い鳴き声をあげ黒い血肉を撒き散らした。
魔物の生体は、未だ、はっきり分かっていないが、使い魔のアンナがいた魔界とは違う異次元からやって来た未知の侵略者だ。
魔物達は押し並べて戦闘力が高く、なかには再生能力を持つ者も少なくなかったが、凛太朗の幻想銃が放つ死霊弾は通常弾と違い魔物達の再生を許さなかった。
抗魔執行官二人一組でチームを組んでいるエルフのチェリーも瘴気が漂う土地では魔法エネルギーのマナが少なく大掛かりな超魔法を紡ぐ事ができず中級魔法での攻撃を余儀なくされていたが、近くのビルの陰から精霊魔法を使い幻想銃に合わせて波状攻撃した。この攻撃は一度の攻撃で凡そ二、三百匹の魔獣や魔物を仕留めたが、数千、万単位の魔物の群れには二人の攻撃では多勢に無勢であり出来る限り正面切っての戦闘を避けた。
凛太朗達は攻撃地点は魔物達に見つかっても逃げ切れるだけ標的迄の距離を取った。
圧倒的な数の力に、あくまで正面から戦う事は避けてゲリラ作戦に徹する。
それに攻撃出来る時間は限られている。辺りに漂う毒の瘴気が急激に体力を奪い必要以上に長居すれば毒気にやられる事になるからだ。
エルフのチェリーは妖精が飛び交う大自然の中で生きる森の民だ。
魔法で結界を空気を浄化しているが、攻撃の最中は瘴気を遮断するには限界があった。
少し顔色が悪いチェリーを先に管理局に帰還させる事にした。
「チェリー、今日はこれ位で帰るんだ」 「凛太朗は?」
「俺はもう少し偵察してから帰還する」 「分かったわ・・・」
「エルザ、帰還する次元の扉を開いてくれ・・・」
思念の伝達で執行官の次元管理局にいるアンドロイドのエルザに連絡を取った。
抗魔執行官の活動拠点は麹(こうじ)町にあった円城寺ビルに置いていたが、異次元に通じるゲートが出来た時に破壊されたため多次元の狭間を彷徨う浮遊島に移していた。
次元移動の能力を持たない凛太朗達は次元の扉を開いて貰う必要があった。
「チェリー、ご苦労様、次元の扉を開くからナビで扉の位置を確認してね。
他のメンバーも帰っているわ・・・」
次元の扉開く位置まで、チェリーは転移した。
その時だった。
「フフフフ・・・」不気味な笑い声が辺りに響き、突然、何者かが現れた。
「ナマイキナマネヲシテクレル、ダガ、ココマデダ・・・ワガケンゾクヲ、コロシタムクイヲ、ミヲモッテウケルガイイ」
その魔物は頭に双頭の角を持ち尻尾と羽根を持つ紅蓮のマントを着た赤い悪魔だった。
耳障りな声ではあるが人間の言葉を喋る。
古(いにしえ)の時代から伝わる黒装束を纏った悪魔とは姿形はよく似ているが、
冷酷というより大きく裂けて牙が生える口や風貌は血に飢えた殺人鬼という雰囲気を持っていた。
赤い悪魔は瘴気を集め手に剣を召喚した。剣からは邪気を含んだ炎が立ち上がる。
凛太朗は尋常でない殺気を赤い悪魔から感じた。同時に危険を知らせる予知能力の警笛がなる。
だが、既に逃げられないだろうと判断した凛太朗は呼吸を整え闘気を体に纏い戦う。更に村正を召喚し闘気を流し構えた。
『速い』赤い悪魔は身の丈5メートルはあろうかと思える化物じみた大きさだが、一瞬で間合いに入って剣を振り下ろして来た。
直線的な打ち込みだが、速さと圧倒的なパワーを兼ね備えた凄まじい剛剣だ。
打ち合う衝撃音が何度も鳴り響く。奴は剣を受け流されたためなのか、怒りを顕わにしながら炎が立ち上がる剣を何度も振るう。
これ以上、正攻法で剣を合わせば危険だと判断した凛太朗は身体能力をMAXまで上げ瞬間移動で剣を躱す。奴には残像しか見えないに違いない。
そして、隙を見た凛太朗は必殺剣を赤い悪魔に振るった。
手応えがあり悪魔を肩から袈裟懸けに切り裂くが、致命傷になる筈の傷も直ぐに再生し元に戻る。
凛太朗は隙を見て村正をサブマシンガン、H&K MP5に造形能力で変える。
口径は9MMだが命中精度が高く短距離で使えるが特長だ。
トリガーを絞り赤い悪魔に打ち続ける。死霊弾が全弾命中するが奴は怯む様子もない。
奴を倒すには強力な武器が必要だった。
「ナカナカヤルナ、ワガカラダニ、キズヲツケタノハ、ハジメテダ、ナラバワレモ、ミセヨウ・・・」
赤い悪魔は、そう言いながら再び剣に瘴気を集める。
すると剣は形を変え一層燃え上がった。
「シネ」
悪魔が剣を振った瞬間、紅蓮の炎が数頭の炎の魔獣になって凛太朗を襲った。
赤い悪魔の剣は魔剣だった。
凛太朗はデルフィーヌが持つ「炎の剣」ティソナデルシドを見た事があったが、躱し切れず全身に深手を負う。
女神の加護が働いているのか、即死にはならなかったが、立ち上がる事さえ出来なくなった。
意識をチェリーに向ける。彼女の気配は近くにはない。無事逃げられた様だ。
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