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【竜鬼との戦い】NO2
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「竜鬼様だ‼」
「おおおー、竜鬼様が現れたぞ!」
ゴブリンやオーク達が口々に竜鬼様と呼んだ生き物が穴から這い上がってきた。
その生き物の頭には二本の角が生えており目が少し飛び出し短い腕が4本と尻尾があった。
殆ど首がなく体型は大きな腹をしたガマ蛙似の50m程ありそうな巨大な魔物だ。
背中から尻尾に掛けて、赤いまだら模様で、所々にイボらしい突起があった。
竜鬼は鬼族でありながら地獄の鬼達とは似ても似つかぬ不格好で悍(おぞ)ましい姿をしていた
「何、何だ、あれが竜鬼か・・・」凛太朗は姿形の異様さもあるが、大きさにびっくりした。
出て来た穴より大きく見えるのは目の錯覚なのか・・・。
「タイガー、あれはやばいぞ‼」
「ガゥーガゥー(ああ、分かっている)」
竜鬼はゴブリン達の雄叫びと血の匂いに誘われて地表に現れた様だ。
凛太朗達に倒されて転がっているゴブリンを数匹、掴んで短い手で大きな口に運んで呑み込んだ。
それを上手そうにむしゃむしゃ、ボリボリ骨を噛み砕き食べる。
それから一瞬、間があって、ゲップと「ぶりぶりプーブブブー」と大きなおならをした。
もしかしたら中身も少し出たかも知れないが、おならをした後、竜鬼がスッキリした様な顔になった。
辺りにガスが充満する。
「うぅうぅ・・・臭い、何だ、この匂いは?鼻がもげそうだ」
タイガーは匂いを嗅いで、肉球の付いている前足で鼻を擦っている。
ゴブリン達も匂いに昏倒し戦闘どころではない。
竜鬼は、ただの愚鈍なガマ蛙の化物では無かった。
発達した足の大腿筋を使って空高く跳躍し重力を利用し標的を圧殺する攻撃を仕掛けて来た。
凛太朗は竜鬼に幻想銃を放つが、マシンガンに使われる小火器用の死霊弾(7.62x51mm)では大きく膨らんだ弾力のある肉鎧に弾かれて通じない。
効果がないと判断した凛太朗は竜鬼から少し距離を取り、幻想銃を強力なスナイパーライフルに変形させて、再びターゲットを的確に捉えるが、それでもダメージを与える事ができなかった。
竜鬼の肉鎧には死霊弾のソウル(soul:霊)エネルギーや運動エネルギーを弾力性のある脂肪で吸収・弾く力がある様だ。
タイガーはタイミングを見計らって必殺のタックルを仕掛けたが、ウエイトが違い過ぎた。
竜鬼は尻尾を器用に使ってそれを叩き落とし、そればかりが尻尾をタイガーに巻き付け捕まえる。
それを大きな口に運び飲み込もうとする。
タイガーが竜鬼に丸呑みされると思った時だった。
空間を切り裂きカトリーヌとチェリーが現れ助けに入った。
カトリーヌは日傘を持ったゴスロリファッションから髑髏顔、黒のローブの戦闘モードに瞬間的に変身し、大鎌を振り下ろし尻尾を切断した。
タイガーは尻尾と共に落下する。地面にこのまま激突するかと思われたが、流石に彼は猫科の大虎である。猫の宙返りならぬ虎返りで見事に地上に着地した。
「もう、タイガー何をしているのよ!
うぅうぅ・・・何、この臭い、鼻が捥げそうだわ・・・。
凛太朗、タイガー、これを飲みなさい。
それは毒消しのポーションよ!
腐界に棲む竜鬼は毒の塊り、当然、匂いに毒が含まれているからこのままでは危ないわ・・・。
チェリー、こうなったら加勢して全力で竜鬼を倒しに掛かるわよ!」
タイガーが竜鬼に食べられそうになったのを見た凛太朗は女神の加護を施す。
「女神よ!我らに運の力を寄こすんだ!
LP UP! 10倍 100倍 MAX 無限大!」
自らは幻想銃を妖刀村正に戻し竜鬼に立ち向かった。
タイガーも獣人の姿を解き戦士姿に戻りクレイモア(大剣)を構える。
「チエリー、援護射撃、離れた場所から魔法で竜鬼の力を削ぐのよ!
アンナ、この近くにいるのでしょう?
あなたには人形使い技を見せて貰うわ・・・屍術師(Necromancer:ネクロマンサー)の力で、転がっているゴブリン使い、僕らの邪魔をさせない様にゴブリン兵と同士討ちをさせなさい」
「マスター、分かった」
アンナはカトリーヌの指示を受けて、女型の悪魔体に戻った。
悪魔体になった彼女の背丈は三メートル近くありタイガーより一回り大きい感じがする。
頭部には双頭の角を生やし背中には蝙蝠の羽根と尻尾がある。
凛太朗の無限大のLPの力と幻想銃に敗れはしたが強大な戦闘力を持っている。
本来なら自分より弱い者に使われるなら適当に使い魔としての役目さえ果たせばいいと思っていたが、戦闘モードになったカトリーヌの妖気に舌を巻いていた。
アンナは死神姿のカトリーヌの中に恐ろしい何かが潜んでいる事を感じ取った。
それは決して逆らってはならないものだ。
アンナはネクロマンサーとしての力を使い、倒れているゴブリンやオークを自らが操る人形にしてゴブリン軍と戦わせた。
チェリーは神魔晶石の指輪からマナを借り土の精霊魔法でゴーレムを数体作る。
大きさや力は竜鬼に恐らく及ばないが、それでも足枷になる。
合わせて火炎魔法を使った。
LVは中級程度の業火の矢であるが、遠くから狙っても確実にヒットするからである。
同時に違う属性魔法を使うのは高度な技と力が必要だが、必要なマナの供給を指輪から受けられる様になったからこそ使える技である。
凛太朗とタイガーは闘気を漲らせ妖刀村正やクレイモアで足元や胴体に取りつき刺突や斬撃を放った。
ゴーレムは強力なパンチを繰り出した。
チェリーの放った業火の矢は竜鬼の太鼓腹に突き刺さる。
アンナは暗黒魔術を使って精神攻撃をしながら高い戦闘能力を生かして飛翔し鉤爪で竜鬼の肉を切り裂いた。
連続攻撃により竜鬼は、かなりダメージを受けている筈だが、それでも未だ平然としている。
そればかりか大鎌で切られた尻尾が何時の間にか再生している。厄介な事に竜鬼には再生能力があった。
「ふん、やはり簡単には倒せないか・・・。
皆、少しの間、頑張って・・・僕が何とかするから」そう言いながらカトリーヌは徐々に自らの妖力を高めた。
それがMAXになった時、髑髏顔は夜叉(やしゃ)の顔に変貌、竜鬼に負けず劣らずの大きさ迄、カトリーヌは巨大化した。
竜鬼の攻撃はアンナの精神攻撃と凛太朗の女神の加護が働いて空振りしているが、「ぷふぁ~ぷふぁ~」「ぶりぶりプー」上からも下からも毒ガスを撒き散らしながら暴れ回る。
もしかしたらではない。
確実に中身が飛び出しゴブリンの町は泥沼、いやウンチ泥だらけになった。
普通の汚泥ではない。
数千年万年の間、地獄から滴り落ちた汚泥である。
殆どのゴブリンやオークは毒にやられて息も絶え絶えになっている。
抗魔官のメンバーは毒消しのポーションを飲んでいるが、この状況では、そう長くは持たない。
カトリーヌ自身、匂いに鼻が捥げそうで、辟易し我慢の限界が近づいていた。
大鎌に妖力を流し竜鬼に斬り掛かった。
腕を斬り落とし袈裟斬りに致命傷にも成り得る深い傷を与えたが、それでも竜鬼は直ぐに再生した。
「かなり厄介だな・・・」カトリーヌはポツリ一言いって、既に限界に近づいている妖力の限界に挑戦した。
これ以上、妖力を高める事は暴走を招く危険があったが、必殺技を使うためにはどうしても必要だった。
「竜鬼、きさまの最後だ。
死神奥義『心 滅』」カトリーヌは大鎌を振り下ろした。
「おおおー、竜鬼様が現れたぞ!」
ゴブリンやオーク達が口々に竜鬼様と呼んだ生き物が穴から這い上がってきた。
その生き物の頭には二本の角が生えており目が少し飛び出し短い腕が4本と尻尾があった。
殆ど首がなく体型は大きな腹をしたガマ蛙似の50m程ありそうな巨大な魔物だ。
背中から尻尾に掛けて、赤いまだら模様で、所々にイボらしい突起があった。
竜鬼は鬼族でありながら地獄の鬼達とは似ても似つかぬ不格好で悍(おぞ)ましい姿をしていた
「何、何だ、あれが竜鬼か・・・」凛太朗は姿形の異様さもあるが、大きさにびっくりした。
出て来た穴より大きく見えるのは目の錯覚なのか・・・。
「タイガー、あれはやばいぞ‼」
「ガゥーガゥー(ああ、分かっている)」
竜鬼はゴブリン達の雄叫びと血の匂いに誘われて地表に現れた様だ。
凛太朗達に倒されて転がっているゴブリンを数匹、掴んで短い手で大きな口に運んで呑み込んだ。
それを上手そうにむしゃむしゃ、ボリボリ骨を噛み砕き食べる。
それから一瞬、間があって、ゲップと「ぶりぶりプーブブブー」と大きなおならをした。
もしかしたら中身も少し出たかも知れないが、おならをした後、竜鬼がスッキリした様な顔になった。
辺りにガスが充満する。
「うぅうぅ・・・臭い、何だ、この匂いは?鼻がもげそうだ」
タイガーは匂いを嗅いで、肉球の付いている前足で鼻を擦っている。
ゴブリン達も匂いに昏倒し戦闘どころではない。
竜鬼は、ただの愚鈍なガマ蛙の化物では無かった。
発達した足の大腿筋を使って空高く跳躍し重力を利用し標的を圧殺する攻撃を仕掛けて来た。
凛太朗は竜鬼に幻想銃を放つが、マシンガンに使われる小火器用の死霊弾(7.62x51mm)では大きく膨らんだ弾力のある肉鎧に弾かれて通じない。
効果がないと判断した凛太朗は竜鬼から少し距離を取り、幻想銃を強力なスナイパーライフルに変形させて、再びターゲットを的確に捉えるが、それでもダメージを与える事ができなかった。
竜鬼の肉鎧には死霊弾のソウル(soul:霊)エネルギーや運動エネルギーを弾力性のある脂肪で吸収・弾く力がある様だ。
タイガーはタイミングを見計らって必殺のタックルを仕掛けたが、ウエイトが違い過ぎた。
竜鬼は尻尾を器用に使ってそれを叩き落とし、そればかりが尻尾をタイガーに巻き付け捕まえる。
それを大きな口に運び飲み込もうとする。
タイガーが竜鬼に丸呑みされると思った時だった。
空間を切り裂きカトリーヌとチェリーが現れ助けに入った。
カトリーヌは日傘を持ったゴスロリファッションから髑髏顔、黒のローブの戦闘モードに瞬間的に変身し、大鎌を振り下ろし尻尾を切断した。
タイガーは尻尾と共に落下する。地面にこのまま激突するかと思われたが、流石に彼は猫科の大虎である。猫の宙返りならぬ虎返りで見事に地上に着地した。
「もう、タイガー何をしているのよ!
うぅうぅ・・・何、この臭い、鼻が捥げそうだわ・・・。
凛太朗、タイガー、これを飲みなさい。
それは毒消しのポーションよ!
腐界に棲む竜鬼は毒の塊り、当然、匂いに毒が含まれているからこのままでは危ないわ・・・。
チェリー、こうなったら加勢して全力で竜鬼を倒しに掛かるわよ!」
タイガーが竜鬼に食べられそうになったのを見た凛太朗は女神の加護を施す。
「女神よ!我らに運の力を寄こすんだ!
LP UP! 10倍 100倍 MAX 無限大!」
自らは幻想銃を妖刀村正に戻し竜鬼に立ち向かった。
タイガーも獣人の姿を解き戦士姿に戻りクレイモア(大剣)を構える。
「チエリー、援護射撃、離れた場所から魔法で竜鬼の力を削ぐのよ!
アンナ、この近くにいるのでしょう?
あなたには人形使い技を見せて貰うわ・・・屍術師(Necromancer:ネクロマンサー)の力で、転がっているゴブリン使い、僕らの邪魔をさせない様にゴブリン兵と同士討ちをさせなさい」
「マスター、分かった」
アンナはカトリーヌの指示を受けて、女型の悪魔体に戻った。
悪魔体になった彼女の背丈は三メートル近くありタイガーより一回り大きい感じがする。
頭部には双頭の角を生やし背中には蝙蝠の羽根と尻尾がある。
凛太朗の無限大のLPの力と幻想銃に敗れはしたが強大な戦闘力を持っている。
本来なら自分より弱い者に使われるなら適当に使い魔としての役目さえ果たせばいいと思っていたが、戦闘モードになったカトリーヌの妖気に舌を巻いていた。
アンナは死神姿のカトリーヌの中に恐ろしい何かが潜んでいる事を感じ取った。
それは決して逆らってはならないものだ。
アンナはネクロマンサーとしての力を使い、倒れているゴブリンやオークを自らが操る人形にしてゴブリン軍と戦わせた。
チェリーは神魔晶石の指輪からマナを借り土の精霊魔法でゴーレムを数体作る。
大きさや力は竜鬼に恐らく及ばないが、それでも足枷になる。
合わせて火炎魔法を使った。
LVは中級程度の業火の矢であるが、遠くから狙っても確実にヒットするからである。
同時に違う属性魔法を使うのは高度な技と力が必要だが、必要なマナの供給を指輪から受けられる様になったからこそ使える技である。
凛太朗とタイガーは闘気を漲らせ妖刀村正やクレイモアで足元や胴体に取りつき刺突や斬撃を放った。
ゴーレムは強力なパンチを繰り出した。
チェリーの放った業火の矢は竜鬼の太鼓腹に突き刺さる。
アンナは暗黒魔術を使って精神攻撃をしながら高い戦闘能力を生かして飛翔し鉤爪で竜鬼の肉を切り裂いた。
連続攻撃により竜鬼は、かなりダメージを受けている筈だが、それでも未だ平然としている。
そればかりか大鎌で切られた尻尾が何時の間にか再生している。厄介な事に竜鬼には再生能力があった。
「ふん、やはり簡単には倒せないか・・・。
皆、少しの間、頑張って・・・僕が何とかするから」そう言いながらカトリーヌは徐々に自らの妖力を高めた。
それがMAXになった時、髑髏顔は夜叉(やしゃ)の顔に変貌、竜鬼に負けず劣らずの大きさ迄、カトリーヌは巨大化した。
竜鬼の攻撃はアンナの精神攻撃と凛太朗の女神の加護が働いて空振りしているが、「ぷふぁ~ぷふぁ~」「ぶりぶりプー」上からも下からも毒ガスを撒き散らしながら暴れ回る。
もしかしたらではない。
確実に中身が飛び出しゴブリンの町は泥沼、いやウンチ泥だらけになった。
普通の汚泥ではない。
数千年万年の間、地獄から滴り落ちた汚泥である。
殆どのゴブリンやオークは毒にやられて息も絶え絶えになっている。
抗魔官のメンバーは毒消しのポーションを飲んでいるが、この状況では、そう長くは持たない。
カトリーヌ自身、匂いに鼻が捥げそうで、辟易し我慢の限界が近づいていた。
大鎌に妖力を流し竜鬼に斬り掛かった。
腕を斬り落とし袈裟斬りに致命傷にも成り得る深い傷を与えたが、それでも竜鬼は直ぐに再生した。
「かなり厄介だな・・・」カトリーヌはポツリ一言いって、既に限界に近づいている妖力の限界に挑戦した。
これ以上、妖力を高める事は暴走を招く危険があったが、必殺技を使うためにはどうしても必要だった。
「竜鬼、きさまの最後だ。
死神奥義『心 滅』」カトリーヌは大鎌を振り下ろした。
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