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第七章 白山女子寮連続パンツ失踪事件-前編

第五話 男の娘の女子寮潜入どぴゅどぴゅ天国♡

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翌日の朝のことである。

目を覚ました一冴は、尿意を感じて部屋を出た。

トイレの前まで来ると、早くに目を覚ました寮生が集まっていた。床へと目をやり、何かをささやきあっている。一冴は首をかしげ、近づいた。

「一体、どうしたの?」

寮生の一人が、恐る恐る床を指をさす。

「いや――あれ。」

その先へ視線を向ける。

途端に、目が冴えた。

床に落ちていたのは薄い本であった。表紙には、白濁した液を散らしながら交わる男女の姿が描かれている。しかも男は女の格好をしていた。

『男の娘の女子寮潜入どぴゅどぴゅ天国♡』千右京香

それがタイトルと作者名であった。

キャッチコピーもある。「男の娘になった俺氏、女子寮でハーレムになって射精が止まらない」と表紙の下に書かれていた。

背筋が冷たくなる。

「一体、何の騒ぎです?」

寮生に連れられてきて、朝美が姿を現す。

寝起きらしく、白い襦袢のままだ。

「あの、先生、あれ――」

寮生が指さす先へと、朝美は目をやる。

そして、顔を引きつらせた。

「な――何ですか! これは?」

薄い本を摘まみ上げ、ページをめくり始める。

「何ですか、何ですか、この漫画は? 何ですか、どぴゅどぴゅって? 何がどぴゅどぴゅなるんですか? ま、ま、まあっ――! 何ですか、何で女の子にこんなものが生えてるんですか? 何ですか何ですか。何ですか、こっ、こっ、この過激な描写は? 何で、こっ、こんなものを咥えて、汚らしいっ、きぃ!」

そのくせして目はページに釘づけとなっていた。

蛇口をひねったように鼻から血が流れ始め、白い襦袢を染める。

やがて、一つのページで朝美の手は止まった。

白濁した粘液が一面についている。

朝美の手はべったりとその粘液に触れたところであった。

「げえっ!」

白い糸を引きながら薄い本から朝美は手を放す。

しかし、一冴は気づかざるを得なかった――朝美の手についた粘液は、まるで白い潤滑剤か木工用ボンドのようだ。少なくとも、あそこまで大量には出ないし、極端な粘性も持たない。朝美も大人ならば気づいていなければならないのだが、今は恐慌状態に陥っているようだ。

襦袢を真紅まっかに染め、白い粘液のついた手を突き出す。

「今すぐ持ち物検査です!」

そして寮生たちに駈け寄った。

「げぇっ!」

「わぁっ!」

「ぎゃーっ!」

逃げる寮生を追いかけながら、朝美は廊下を駆け始める。

襦袢を振り乱し、半狂乱となって絶叫した。

「今すぐ持ち物検査です! みんなを起こすのでーす!」
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