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第十一章 代償行動
代償行動(6)
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お願いしたのはただの合理的な後始末。だから拒否されるはずがないと思っていた。
真白先生に監視されたEL-SPYを消すことはリスクを低減する措置に過ぎない。
それなのに香奈恵さんは否定する。――絶対に嫌だと。
「――どうして? お互いにもうEL-SPYを入れていてもリスクしかない。真白先生が香奈恵さんのスマートフォンにEL-SPYを忍ばせている以上、僕らの行動は真白先生に筒抜けになるんだ」
「でももう私たちの関係はバレちゃったんでしょう? ――じゃあ関係ないよ」
香奈恵さんは平然と返す。ミルクティーを美味しそうに傾けながら。
横顔は涼しい表情だった。左手で缶を揺らしながら、右手の指先に髪の毛を絡める。
「関係ないって……。でも僕と香奈恵さんの会話も、僕と他の人との会話も全部筒抜けになっちゃうんですよ? 動画だって。――関係なくないですよ」
「他の人との会話って、誰との会話? 明莉さんとの会話? それとも森さんって女の子との会話?」
「……なんで――森さんのことを?」
「なんでって。だって私たちは一心同体でしょう? EL-SPYで繋がれた絆。私はあなたの下僕で、あなたは私のご主人さま。それを繋ぐのがEL-SPYの鎖。――そういう関係じゃなくって? だから私はご主人さまの行動には毎日いつだって注意を払っていたのよ? 日曜日に森さんって子に呼び出されて街中へ飛び出していったのだって、昨日、彼女の家で二人っきりの時間を過ごしたのだって、ちゃんと私は見ていたのよ? ――ねぇ、秋翔くん」
彼女は不思議そうに首を傾げながらスマホを掲げて見せる。
開かれたEL-SPY VIEWERには地図が表示されていて、その中央に青い光が点灯していた。駅の近くの公園。――それが示すのは僕の存在位置だ。
子犬みたいに従順な表情。長い髪が頬にかかった彼女は綺麗で――どこか妖しくて。
「――森さんは関係ないよ……」
「関係ない? ……無くはないと思うけれど? 私の大切なご主人さまの親友で、肉体関係を持った女の子なんだから。私のご主人さまの寵愛を受けた? ――でも心配しないで、秋翔くん。私、何も彼女に危害を加えようとか、そういうつもりは全くないのよ? だって彼女は秋翔くんの大切なお友達なんでしょ?」
僕は頷く。彼女は僕の――親友だ。何でも話し合えて、身体も重ねあえる、親友。
なんとなく気付いてはいたけれど、香奈恵さんは僕のことを監視している。
だから今日だって居場所を聞くこともなく、とても自然にこの公園へと辿りついたのだ。
もちろん彼女は味方のはずだから、僕に危害を加えるつもりはないはずなのだが。
「――心配なんて何もいらないのよ? 私は秋翔くんの味方だもの。あなたを助けたいし、あたなの役に立ちたいと思っているのよ? EL-SPYを使ってあなたを脅そうとか、あの人に告げ口しようとか、そういうことは全然思っていないのよ?」
彼女は裏表のない素朴な思いを語る少女のように言葉を継ぐ。
「でもこのEL-SPYって素敵じゃない? お互いの大切なプライベート情報を繋いで、赤裸々にして、嘘偽りの無い関係性を作る。私たちは繋がりあって一つになる。EL-SPYって、とても素敵な紐帯だと思うの。――そうは思わない? ――悠木秋翔くん?」
真白香奈恵は恍惚とした表情を浮かべた。自らのその言葉に酔うように。
嘘のない関係。テクノロジーで繋がりあう関係。その恩恵を彼女は享受している。
「――でもそれじゃ、心が休まらない。いつも見られているみたいで」
心が軋む。胸が痛い。
人の目が――彼女の目が僕の周囲に浮かんで、絶え間ない緊張が身体を縛り上げる。
「あら? それは秋翔くんが私にかけた鎖でしょう? 何を今更? ――それにこれは監視なんかじゃないわ。言ってみれば――見守り。そしてこれは絆――私と秋翔くんを繋ぐ絆なの。私は約束するわ。あの人とのことがどうなっても、私はあなたを見守り続けるって。愛し続けるって。――ねぇ? 私はあなたの下僕なのよ? だから――私たちを繋ぐこの鎖を……私から外さないで?」
彼女はおねだりする少女のように唇を尖らせる。
そして紅茶の缶を両手で抱えて、上目遣いに僕を見つめた。
可愛い女の子が高価なバッグを買ってもらうお願いをするみたいに。
雌犬が自らの飼い主に向けて尻尾を振るみたいに。
「……わかりました。ではEL-SPYはアンインストールしないでおきます」
しばらくの逡巡の後、僕は説得が不可能であることを悟った。
「でも僕は真白先生に情報を抜かれたくはない。できるだけ真白先生にお願いして、香奈恵さんのスマートフォンからEL-SPYをアンインストールしてもらうようにしてください。――もし難しかったら、僕はスマートフォンのOS自体をリセットするかもしれない」
僕は妥協ラインを設定する。その実現可能性は不透明だが。
香奈恵さんと真白先生の夫婦関係がどうなっているのかは分からない。
真白先生がEL-SPYを香奈恵さんの携帯から素直に削除してくれるとも思えない。
その場合は僕の方でスマートフォンのOSリセットを行い、EL-SPYアプリを消すしか仕方ないだろう。EL-SPY単体のアンインストールはその管理者権限がないと出来ないから。
「――うん、分かったわ。一応、あの人に聞いてみる。……でもね秋翔くん。私の入れたEL-SPYをあなたのスマートフォンから、あなたが勝手に消すのなら、それは私との絶縁を意味すると思ってね? それを――忘れないでね?」
十歳年上の彼女は、僕に向けて目を細める。
「私は何も特別なお願いをしているわけじゃいないのよ? 私はあなたと確かな絆で繋がっていたい。お互いに全てをさらけ出して愛し合えるそんな理想の関係を、あなたとなら作れるんじゃないかなって思っているの? だから――私はEL-SPYを消さないの。だから――あなたもEL-SPYを消さないで。私を捨てないで。――私をあなたの下僕でいさせて?」
真白香奈恵は自動販売機の側面に背を預けて、僕を上目遣いに見る。
厚ぼったくて悪戯っぽい唇。端の垂れた目。
彼女は僕に甘えている、彼女の存在を僕に寄りかからせている。
難破船の柱に鎖を掛けて、しがみつくみたいに。
「――わかりました」
それから一度だけキスをして、僕らは公園で別れた。
最後のキスは今までと少しだけ違う味がした。真白香奈恵という人間の味がした。
☆
彼女が公園を去ってから少しだけ時間を潰した。二人とも学校の最寄り駅で電車に乗って帰るのだ。駅では学校の友人や関係者に合う可能性が大変高い。そんなところに彼女と二人でいる所を誰かに見られては、またあらぬ噂をたてられるかもしれない。
彼女が真白先生の奥さんだと気づく生徒は居ないだろうが、それでも流言はどういう変貌を遂げるか分かったものではないのだ。――一年前のように。
僕は時間を潰すついでに、ショッピングセンターの本屋に立ち寄ることにした。
公園を横切って西出口から道路へと出る。駅と逆方向にぐるりと回るとショッピングセンターの前に出る。エスカレーターで二階に上がると、時々立ち寄る書店へと足を向けた。
蛍光灯で照らされた店内は、いつもどおりの客足だった。混んでいるとも空いているとも言えない感じ。各通路に一人づつくらいのお客さんが書籍を物色している感じだった。
雑誌やコミックスの通路を抜けて、文芸コーナーへ向かう。
ちょくちょく読むライト文芸の棚に向かう。
少し気になっていた作者の新刊が出ている頃だと思うのだ。
その通路に入ったところで、僕は先客を発見した。
書棚の前で文庫本を開いている少女。
茶色い髪を肩まで伸ばして、その先はくるくると巻かれている。
華奢な身体――でも脱ぐとやっぱり女の子で、気持ちの良い肌触りの女の子。
少しギャルっぽい容姿だけれど、図書委員で本好きの女の子。
「――森さん?」
「……あれ? 秋翔くん?」
文庫本から顔を上げた森美樹は、驚いたようにぽかんとした表情を浮かべた。
真白先生に監視されたEL-SPYを消すことはリスクを低減する措置に過ぎない。
それなのに香奈恵さんは否定する。――絶対に嫌だと。
「――どうして? お互いにもうEL-SPYを入れていてもリスクしかない。真白先生が香奈恵さんのスマートフォンにEL-SPYを忍ばせている以上、僕らの行動は真白先生に筒抜けになるんだ」
「でももう私たちの関係はバレちゃったんでしょう? ――じゃあ関係ないよ」
香奈恵さんは平然と返す。ミルクティーを美味しそうに傾けながら。
横顔は涼しい表情だった。左手で缶を揺らしながら、右手の指先に髪の毛を絡める。
「関係ないって……。でも僕と香奈恵さんの会話も、僕と他の人との会話も全部筒抜けになっちゃうんですよ? 動画だって。――関係なくないですよ」
「他の人との会話って、誰との会話? 明莉さんとの会話? それとも森さんって女の子との会話?」
「……なんで――森さんのことを?」
「なんでって。だって私たちは一心同体でしょう? EL-SPYで繋がれた絆。私はあなたの下僕で、あなたは私のご主人さま。それを繋ぐのがEL-SPYの鎖。――そういう関係じゃなくって? だから私はご主人さまの行動には毎日いつだって注意を払っていたのよ? 日曜日に森さんって子に呼び出されて街中へ飛び出していったのだって、昨日、彼女の家で二人っきりの時間を過ごしたのだって、ちゃんと私は見ていたのよ? ――ねぇ、秋翔くん」
彼女は不思議そうに首を傾げながらスマホを掲げて見せる。
開かれたEL-SPY VIEWERには地図が表示されていて、その中央に青い光が点灯していた。駅の近くの公園。――それが示すのは僕の存在位置だ。
子犬みたいに従順な表情。長い髪が頬にかかった彼女は綺麗で――どこか妖しくて。
「――森さんは関係ないよ……」
「関係ない? ……無くはないと思うけれど? 私の大切なご主人さまの親友で、肉体関係を持った女の子なんだから。私のご主人さまの寵愛を受けた? ――でも心配しないで、秋翔くん。私、何も彼女に危害を加えようとか、そういうつもりは全くないのよ? だって彼女は秋翔くんの大切なお友達なんでしょ?」
僕は頷く。彼女は僕の――親友だ。何でも話し合えて、身体も重ねあえる、親友。
なんとなく気付いてはいたけれど、香奈恵さんは僕のことを監視している。
だから今日だって居場所を聞くこともなく、とても自然にこの公園へと辿りついたのだ。
もちろん彼女は味方のはずだから、僕に危害を加えるつもりはないはずなのだが。
「――心配なんて何もいらないのよ? 私は秋翔くんの味方だもの。あなたを助けたいし、あたなの役に立ちたいと思っているのよ? EL-SPYを使ってあなたを脅そうとか、あの人に告げ口しようとか、そういうことは全然思っていないのよ?」
彼女は裏表のない素朴な思いを語る少女のように言葉を継ぐ。
「でもこのEL-SPYって素敵じゃない? お互いの大切なプライベート情報を繋いで、赤裸々にして、嘘偽りの無い関係性を作る。私たちは繋がりあって一つになる。EL-SPYって、とても素敵な紐帯だと思うの。――そうは思わない? ――悠木秋翔くん?」
真白香奈恵は恍惚とした表情を浮かべた。自らのその言葉に酔うように。
嘘のない関係。テクノロジーで繋がりあう関係。その恩恵を彼女は享受している。
「――でもそれじゃ、心が休まらない。いつも見られているみたいで」
心が軋む。胸が痛い。
人の目が――彼女の目が僕の周囲に浮かんで、絶え間ない緊張が身体を縛り上げる。
「あら? それは秋翔くんが私にかけた鎖でしょう? 何を今更? ――それにこれは監視なんかじゃないわ。言ってみれば――見守り。そしてこれは絆――私と秋翔くんを繋ぐ絆なの。私は約束するわ。あの人とのことがどうなっても、私はあなたを見守り続けるって。愛し続けるって。――ねぇ? 私はあなたの下僕なのよ? だから――私たちを繋ぐこの鎖を……私から外さないで?」
彼女はおねだりする少女のように唇を尖らせる。
そして紅茶の缶を両手で抱えて、上目遣いに僕を見つめた。
可愛い女の子が高価なバッグを買ってもらうお願いをするみたいに。
雌犬が自らの飼い主に向けて尻尾を振るみたいに。
「……わかりました。ではEL-SPYはアンインストールしないでおきます」
しばらくの逡巡の後、僕は説得が不可能であることを悟った。
「でも僕は真白先生に情報を抜かれたくはない。できるだけ真白先生にお願いして、香奈恵さんのスマートフォンからEL-SPYをアンインストールしてもらうようにしてください。――もし難しかったら、僕はスマートフォンのOS自体をリセットするかもしれない」
僕は妥協ラインを設定する。その実現可能性は不透明だが。
香奈恵さんと真白先生の夫婦関係がどうなっているのかは分からない。
真白先生がEL-SPYを香奈恵さんの携帯から素直に削除してくれるとも思えない。
その場合は僕の方でスマートフォンのOSリセットを行い、EL-SPYアプリを消すしか仕方ないだろう。EL-SPY単体のアンインストールはその管理者権限がないと出来ないから。
「――うん、分かったわ。一応、あの人に聞いてみる。……でもね秋翔くん。私の入れたEL-SPYをあなたのスマートフォンから、あなたが勝手に消すのなら、それは私との絶縁を意味すると思ってね? それを――忘れないでね?」
十歳年上の彼女は、僕に向けて目を細める。
「私は何も特別なお願いをしているわけじゃいないのよ? 私はあなたと確かな絆で繋がっていたい。お互いに全てをさらけ出して愛し合えるそんな理想の関係を、あなたとなら作れるんじゃないかなって思っているの? だから――私はEL-SPYを消さないの。だから――あなたもEL-SPYを消さないで。私を捨てないで。――私をあなたの下僕でいさせて?」
真白香奈恵は自動販売機の側面に背を預けて、僕を上目遣いに見る。
厚ぼったくて悪戯っぽい唇。端の垂れた目。
彼女は僕に甘えている、彼女の存在を僕に寄りかからせている。
難破船の柱に鎖を掛けて、しがみつくみたいに。
「――わかりました」
それから一度だけキスをして、僕らは公園で別れた。
最後のキスは今までと少しだけ違う味がした。真白香奈恵という人間の味がした。
☆
彼女が公園を去ってから少しだけ時間を潰した。二人とも学校の最寄り駅で電車に乗って帰るのだ。駅では学校の友人や関係者に合う可能性が大変高い。そんなところに彼女と二人でいる所を誰かに見られては、またあらぬ噂をたてられるかもしれない。
彼女が真白先生の奥さんだと気づく生徒は居ないだろうが、それでも流言はどういう変貌を遂げるか分かったものではないのだ。――一年前のように。
僕は時間を潰すついでに、ショッピングセンターの本屋に立ち寄ることにした。
公園を横切って西出口から道路へと出る。駅と逆方向にぐるりと回るとショッピングセンターの前に出る。エスカレーターで二階に上がると、時々立ち寄る書店へと足を向けた。
蛍光灯で照らされた店内は、いつもどおりの客足だった。混んでいるとも空いているとも言えない感じ。各通路に一人づつくらいのお客さんが書籍を物色している感じだった。
雑誌やコミックスの通路を抜けて、文芸コーナーへ向かう。
ちょくちょく読むライト文芸の棚に向かう。
少し気になっていた作者の新刊が出ている頃だと思うのだ。
その通路に入ったところで、僕は先客を発見した。
書棚の前で文庫本を開いている少女。
茶色い髪を肩まで伸ばして、その先はくるくると巻かれている。
華奢な身体――でも脱ぐとやっぱり女の子で、気持ちの良い肌触りの女の子。
少しギャルっぽい容姿だけれど、図書委員で本好きの女の子。
「――森さん?」
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