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第8章
リスト
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怪我などで移動が困難なため欠席した以外の者が集まった2回目の会合は、様々なリストを検討するものであった。
幻獣士の兼業または専属の候補は2枚と少なかった。元々幻獣使いだった者は既に仕事が安定しており、新たな挑戦をする可能性が低い者が多くいたため。
現状薬師であるがまだそれだけでは安定しない者やレナードの様に自ら採取する者が兼業候補として、幻獣が居なかった幻獣使いの中で職業として定着していない者が専属契約候補として載っていた。その中にはアイシャとフィンリーの名もあった。
薬草や毒の濃縮する種族に関する家族または一族のリストはそれぞれが作成したため膨大な数だった。エルフ連合とドワーフは互いに検証し合い厳選されていたし、竜人族は元々治療や薬師など非戦闘職の従事者が少ないため厳選されていた。
人族はそれぞれが山の様なリストを持ってきたが、重複していた分や他の支部に名を告げただけで問題ありと指摘を受けた分だけで半分に減った。参加して日が浅い支部ほど基準が甘い傾向があった。
今回はピュードルやコナーなどに付いている中精霊以外にも多くの中精霊も参加している。この時点で全てのリストアップされた家族や一族の元へ、調査のために飛び立っていった。人族が議論の末に更に半数に減らした頃には戻って来ていた。
リストはその場で再編され、問題なしとされたものと要検討と要調査に分けられた。精霊ジャッジによると要調査は全部、要検討は半数が資格なしとされた。
再編するために一旦休憩にしていて、精霊付き者と精霊王に会った者達だけでその報告を聞いた。
「リストの再編が完了しましたが、残念ながら要調査は資格無しということになり、今から要検討分の話し合いをしたいと思います」
「横暴だ」
「誰が勝手に決めたんだ」
と該当リストを提出した支部からの声に
「もちろん中精霊様方です」
とエドウィンが平然と告げた。
どういうことだ?とか聞いてないぞとか大声をあげる者がいる中で毅然とした態度で説明する。
「残念ながらこの計画の趣旨を分かっていらっしゃらない方々がいる様ですが、他の事案と違いこの計画はあくまで幻獣ファーストです。そのため我々幹部会員だけでルールを決める訳ではなく、最も権限のあるのは精霊王様方です」
最後の言葉でギルド長でも有能な者達は理解したが、無能な者達は不満を口にした。
「異議がある方はお立ち下さい」
言われるままに5人が椅子を引いて立った。
「計画参加の際に説明したはずですが、ご理解いただけてなかったのですか?」
「我々が話し合いで決めた事を交渉に行くのだと理解していたゾ」
「やはりしっかりと聞いてなかった様ですね。精霊王様方とは交渉ではなく、相談して妥協点を話し合うという説明をしたはずです」
「しかし妥協点と言うからには交渉ではないか!」
「いえ、相談というよりお願いのが正しいですかね?とにかく精霊王様方とは根本的な考えと力が違うのですよ。だから納得いただいた事は協定として守ってくださいますが、それはあくまでもこちらが精霊王様方の約束を守ればこそ」
「それは交渉では?」
「必死になって説明を繰り返し、頼み込むのが交渉と言うのならそうですね」
ようやく精霊王のが上だと理解した様で黙り込んだ。
「さて、今お立ちの皆様は幹部会員のリストから外れていただきますのでお帰り下さい」
にっこり笑うエドウィン。
慌てて着席しようとするが、喜び勇んで駆けつけた妖精達に盛大に悪戯をされて床に転がされた。警備の者が入室し、着席していない者を連れ出した。
「もう一度言います。精霊様方が最終選定者です。我々は許された範囲内でのみ決定権を持ちます。許可された者以外に公表していない事を、肉親や片腕となる部下でさえ話してはいけません。幻獣は何処にでも居ます。うっかりでも彼等に知られたら悪戯されるとご承知下さい」
その後はスムーズに進んだ。
幻獣士の兼業または専属の候補は2枚と少なかった。元々幻獣使いだった者は既に仕事が安定しており、新たな挑戦をする可能性が低い者が多くいたため。
現状薬師であるがまだそれだけでは安定しない者やレナードの様に自ら採取する者が兼業候補として、幻獣が居なかった幻獣使いの中で職業として定着していない者が専属契約候補として載っていた。その中にはアイシャとフィンリーの名もあった。
薬草や毒の濃縮する種族に関する家族または一族のリストはそれぞれが作成したため膨大な数だった。エルフ連合とドワーフは互いに検証し合い厳選されていたし、竜人族は元々治療や薬師など非戦闘職の従事者が少ないため厳選されていた。
人族はそれぞれが山の様なリストを持ってきたが、重複していた分や他の支部に名を告げただけで問題ありと指摘を受けた分だけで半分に減った。参加して日が浅い支部ほど基準が甘い傾向があった。
今回はピュードルやコナーなどに付いている中精霊以外にも多くの中精霊も参加している。この時点で全てのリストアップされた家族や一族の元へ、調査のために飛び立っていった。人族が議論の末に更に半数に減らした頃には戻って来ていた。
リストはその場で再編され、問題なしとされたものと要検討と要調査に分けられた。精霊ジャッジによると要調査は全部、要検討は半数が資格なしとされた。
再編するために一旦休憩にしていて、精霊付き者と精霊王に会った者達だけでその報告を聞いた。
「リストの再編が完了しましたが、残念ながら要調査は資格無しということになり、今から要検討分の話し合いをしたいと思います」
「横暴だ」
「誰が勝手に決めたんだ」
と該当リストを提出した支部からの声に
「もちろん中精霊様方です」
とエドウィンが平然と告げた。
どういうことだ?とか聞いてないぞとか大声をあげる者がいる中で毅然とした態度で説明する。
「残念ながらこの計画の趣旨を分かっていらっしゃらない方々がいる様ですが、他の事案と違いこの計画はあくまで幻獣ファーストです。そのため我々幹部会員だけでルールを決める訳ではなく、最も権限のあるのは精霊王様方です」
最後の言葉でギルド長でも有能な者達は理解したが、無能な者達は不満を口にした。
「異議がある方はお立ち下さい」
言われるままに5人が椅子を引いて立った。
「計画参加の際に説明したはずですが、ご理解いただけてなかったのですか?」
「我々が話し合いで決めた事を交渉に行くのだと理解していたゾ」
「やはりしっかりと聞いてなかった様ですね。精霊王様方とは交渉ではなく、相談して妥協点を話し合うという説明をしたはずです」
「しかし妥協点と言うからには交渉ではないか!」
「いえ、相談というよりお願いのが正しいですかね?とにかく精霊王様方とは根本的な考えと力が違うのですよ。だから納得いただいた事は協定として守ってくださいますが、それはあくまでもこちらが精霊王様方の約束を守ればこそ」
「それは交渉では?」
「必死になって説明を繰り返し、頼み込むのが交渉と言うのならそうですね」
ようやく精霊王のが上だと理解した様で黙り込んだ。
「さて、今お立ちの皆様は幹部会員のリストから外れていただきますのでお帰り下さい」
にっこり笑うエドウィン。
慌てて着席しようとするが、喜び勇んで駆けつけた妖精達に盛大に悪戯をされて床に転がされた。警備の者が入室し、着席していない者を連れ出した。
「もう一度言います。精霊様方が最終選定者です。我々は許された範囲内でのみ決定権を持ちます。許可された者以外に公表していない事を、肉親や片腕となる部下でさえ話してはいけません。幻獣は何処にでも居ます。うっかりでも彼等に知られたら悪戯されるとご承知下さい」
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