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第8章
事務局
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変異種育成計画の暫定事務局は現在リベルタにある。リベルタの商業ギルドと冒険者ギルドの職員の中から幻獣を含む動物全般が好きな者か、幻獣に好かれる者で、真面目で根気強さがある者達が主力メンバーだ。現在はリベルタ周辺地域で研修を終えた両ギルドの職員が少しずつ増えて来ている。
地域案件としての実証実験で十分な成果とデータが集まり、本部へ報告する準備を進めていたのだが、精霊王や幻獣王が関わっているため慎重にルールや運営を行なっていたところへ、突然の未確認の幻獣の幼体などの情報が入り、大慌てで正規の書類を揃えるのに奔走した。
以前より公開する情報と非公開情報を分けて管理していたので問題なく処理された。
変異種は成体に育てることが難しいため、成体にならないと取引が難しいと言われていた。それがさほど難しくない誰でも出来る方法で生存率が上がると知れ渡れば、無茶な育て方や、上手く育たない個体の虐待、知らない地域への吹っかけた金額での販売など悪用する可能性が数え切れないほどある。
他にもただ文章を読んで実行しただけではそれほど大きな効果がない場合がある。なので正しい方法を充分に伝えるために、事務局の職員であってもきちんと研修を受けなければベテランであっても新人と同じ雑用しか任せてもらえない。
唯一の例外は精霊か妖精に気に入られて勝手に仮契約されてしまった場合のみ。それは好かれた個体次第では迷惑極まりないが、とにかく幻獣達からの信頼は厚く、悪意ある者から守ってもらえるため積極的に採用される。精霊や妖精は心根が優しく、秘密を守れる強さがある者としか自ら契約はしないからである。そしてもし間違えていたら教えてくれるため大事には至らない。
先日の会合を終えた後、決まった内容に対し順番に実際に運用するためにまとめていく。
非公開の会合が開かれることが決まってから急に育成計画の加盟に関する問い合わせが増えた。
どこから漏れたのかギルドではなく個人商会からの問い合わせが半数ほどあった。
「大変申し訳ないのですが、変異種育成計画はまだ検証期間のため、参加はギルドの支部のみで、商業ギルドと冒険者ギルドの合同参加でなければ受付していません。しかも職員による研修が終了しなければ参加を受理されません」
「しかしリベルタやヘンルーダでは業者が参加しているではないですか!」
「失礼ですが、その情報はどちらで聞かれました?」
「も、もちろんこの周辺で噂になって「おかしいですね」る」
被せる様に職員が大きめな声で呟く。
「検証時の業者の選定はギルドの極秘案件なんですよ。しかも精霊様が関与しているので情報を漏らしたら処罰されるんですが、そんな報告は届いていません」
「えっ、それが何故おかしいと言われるんだ?」
「この計画に参加した業者は徹底的に情報を管理して、計画に参加した事自体も参加した業者以外には秘匿が義務付けられているんですよ。他の検証中の案件と同じであくまでもギルドが相応しい業者を選んで打診するんですが、今回は精霊様方も監視しているため、この事務局の情報は出ないはずなんですよね」
というやり取りを何度も繰り返した結果、2週間程で業者からの申し込みの問い合わせはほぼなくなった。
問い合わせに来た業者を精霊や妖精が付いていって確認した結果、業者は問題のありそうな貴族や商会の孫請けかダミーで、更にその情報の出所の半数が薬師ギルドの急進派で、残りが非参加地域の一部の商業ギルドと冒険者ギルドの問題職員だった。
当然問題職員のいるギルド支部は参加を棄却され、薬師ギルドは急進派の幹部が所属している支部は参加資格を失った形になった。
そして事務局にギルドとは関係なく雑用係として様々な孤児院や奴隷商などから売り込みが相次いだ。この件に関しては精霊王と相談の上、参加国の孤児院と奴隷商から精霊が太鼓判を押す者に、秘密厳守の特別な契約を施すことを条件に打診して、受けた者を全員採用した。
理不尽な扱いを受けていた者達や幻獣が好きで関わりたいという理由がある者ばかりだったので、のちにほとんどが優秀なため正規の事務局職員になった。
地域案件としての実証実験で十分な成果とデータが集まり、本部へ報告する準備を進めていたのだが、精霊王や幻獣王が関わっているため慎重にルールや運営を行なっていたところへ、突然の未確認の幻獣の幼体などの情報が入り、大慌てで正規の書類を揃えるのに奔走した。
以前より公開する情報と非公開情報を分けて管理していたので問題なく処理された。
変異種は成体に育てることが難しいため、成体にならないと取引が難しいと言われていた。それがさほど難しくない誰でも出来る方法で生存率が上がると知れ渡れば、無茶な育て方や、上手く育たない個体の虐待、知らない地域への吹っかけた金額での販売など悪用する可能性が数え切れないほどある。
他にもただ文章を読んで実行しただけではそれほど大きな効果がない場合がある。なので正しい方法を充分に伝えるために、事務局の職員であってもきちんと研修を受けなければベテランであっても新人と同じ雑用しか任せてもらえない。
唯一の例外は精霊か妖精に気に入られて勝手に仮契約されてしまった場合のみ。それは好かれた個体次第では迷惑極まりないが、とにかく幻獣達からの信頼は厚く、悪意ある者から守ってもらえるため積極的に採用される。精霊や妖精は心根が優しく、秘密を守れる強さがある者としか自ら契約はしないからである。そしてもし間違えていたら教えてくれるため大事には至らない。
先日の会合を終えた後、決まった内容に対し順番に実際に運用するためにまとめていく。
非公開の会合が開かれることが決まってから急に育成計画の加盟に関する問い合わせが増えた。
どこから漏れたのかギルドではなく個人商会からの問い合わせが半数ほどあった。
「大変申し訳ないのですが、変異種育成計画はまだ検証期間のため、参加はギルドの支部のみで、商業ギルドと冒険者ギルドの合同参加でなければ受付していません。しかも職員による研修が終了しなければ参加を受理されません」
「しかしリベルタやヘンルーダでは業者が参加しているではないですか!」
「失礼ですが、その情報はどちらで聞かれました?」
「も、もちろんこの周辺で噂になって「おかしいですね」る」
被せる様に職員が大きめな声で呟く。
「検証時の業者の選定はギルドの極秘案件なんですよ。しかも精霊様が関与しているので情報を漏らしたら処罰されるんですが、そんな報告は届いていません」
「えっ、それが何故おかしいと言われるんだ?」
「この計画に参加した業者は徹底的に情報を管理して、計画に参加した事自体も参加した業者以外には秘匿が義務付けられているんですよ。他の検証中の案件と同じであくまでもギルドが相応しい業者を選んで打診するんですが、今回は精霊様方も監視しているため、この事務局の情報は出ないはずなんですよね」
というやり取りを何度も繰り返した結果、2週間程で業者からの申し込みの問い合わせはほぼなくなった。
問い合わせに来た業者を精霊や妖精が付いていって確認した結果、業者は問題のありそうな貴族や商会の孫請けかダミーで、更にその情報の出所の半数が薬師ギルドの急進派で、残りが非参加地域の一部の商業ギルドと冒険者ギルドの問題職員だった。
当然問題職員のいるギルド支部は参加を棄却され、薬師ギルドは急進派の幹部が所属している支部は参加資格を失った形になった。
そして事務局にギルドとは関係なく雑用係として様々な孤児院や奴隷商などから売り込みが相次いだ。この件に関しては精霊王と相談の上、参加国の孤児院と奴隷商から精霊が太鼓判を押す者に、秘密厳守の特別な契約を施すことを条件に打診して、受けた者を全員採用した。
理不尽な扱いを受けていた者達や幻獣が好きで関わりたいという理由がある者ばかりだったので、のちにほとんどが優秀なため正規の事務局職員になった。
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