64 / 196
第3章
幻獣会議
しおりを挟む
密猟者のグループの内、珍品または鑑賞目的のグループが捕縛されたことにより、一部の貴族を処罰することが出来たが、地位の低い子爵や男爵だけだった。
特にボッデス子爵とリチェン男爵は元々尻尾切りを想定してか、重要な書類の内でも直接の業者や冒険者などのやり取りの物などしかなく、同じ身分や商家などの仲間の名前しか見つからなかった。
それでも見つかった書類にある名前は全て捕縛して、処罰が出来たおかげで各地の誘拐や密猟が減ったらしい。
「悔しいよな。
せっかく風の精霊様が書類の隠し場所まで見つけてくれたのに『私の名前を勝手に使っていたようだ。領を管理する者として代わって謝罪する』だってさ。
偽造が可能な直筆のサイン以外の証拠はなかったからってさ。
やっと辿り着く証拠が手に入ったって言うのに!」
「アクトモン侯爵やダークィアー伯爵が関わっているのは、明らかなのに!」
「そうだよ、二人が争うように様々な物を収集する珍品好きは領内では公然の事実なのに!」
「幻獣を直接手元で管理してないからって言い逃れしたなんて」
などと、ようやく追い込んだと思ったのにと悔しくて愚痴っている冒険者ギルド職員達の声を聞いたのは、幻獣舎の素材採取の追加募集のために集まった精霊王達や幻獣王達を見に来た下級精霊達だった。
内容が分からないが、仲間に関係あることだと思い手分けして会話をそのまま覚えて、一番近くにいた大精霊に自慢気に再生して見せた。
小さな子達の話しを聞いた土の大精霊は内容を理解し、王達が帰る間際まで待って報告した。
途中で報告すると過激な火や風が直ぐに飛び立つだろうから。
案の定聞き終えた火と風が激怒して即効処分しようとして、ノームの結界に阻まれた。
《何故止メル、土ノ》
《人間達ガ処罰出来ナイナラ良イデハナイカ!》
シルフとサラマンドルが叫ぶ。
《マア待テ、約束ヲ忘レタカ?》
《土ノ言ウ通リダ。人間達ニ知ラセネバナラヌ》
《ソノ人間達ガミスミス逃シタノニカ!》
怒り心頭のサラマンドル。
幻獣王達は精霊王達の話しを聞き耳を立てて待機していた。
《我ラノ協力ニ対シ、人間達ハ不十分デハアルガ約束ヲ守ッタ》
《水ノ言う通リダ。我ラハ約束ヲ違エヌ》
《ソレトモ人間共ニ我ラガ嘘吐キト言ワレテモ行クノナラ止メヌガ》
不承不承の顔で思い止まった。
《風ト土ノハ話題ニ出タ人間ト関係者ヲ大キイノニ言ッテ即刻探シダシ、小サキ者ノデ監視シテ欲シイ》
《既ニ向カワシタ》
とシルフが言い、
《アイ分カッタ》
とノームが言った。
《サテ、人間ノ所ニ行ク前ニ、全員ヲ見ツケタ後ドウシタイカ、意見ヲ聞コウ》
《子ヤ仲間ヲ奪ワレタ者ガ追イ回ス》
フェンリルが叫ぶ。
《ソレハ良イ、他ニハ?》
《人間ノリーダーノ一族ヲ集メテ、目ノ前デ一人ズツ傷ツケ、ジワジワ殺ス》
忌々しげに言うアースドラゴン。
《ソレハ我ラノ苦シミヲ体験サセラレルナ》
《水楼ニ閉ジ込メ、我ラノ同志一族ガ皆殺シサレタ場面ヲ泣キ叫ブマデ次々ト見セル》
とアスピドケローネ。
《ドチラカノ一族ハ、一族ノ大切ナ家ヤ物ヲ目ノ前デ焼ク》
《デワ我ハ、火ノ輪デ一族ヲ囲ンデジワジワト狭メテヤロウ》
フェニックスに続き、サラマンドルが笑いながら宣言する。
《土壁デ延焼ヲ防イデヤルカラ派手ニヤッテイイゾ》
《今回ノ処罰カラ逃レ、先程聞イタ一族ト使用人以外デ協力者ヲ見ツケタラ、頭ダケ出シテ埋メテシマオウ》
アースドラゴンに続いてノームが提案する。
《モシ集落単位デ協力スル者達ガイタラ、我ガ水害ヲ起コシテ全テ流シテシマオウ》
最後にオンディーヌが宣言する。
それぞれが満足のいく発言が出来、誰もが納得のいく方法だったので、報復方法が概ね決まったからと、準備の前に約束通りにレナードのところへと4人と4頭で試練の森に出向いた。
ちなみに正確にはギルド長達に報復前に知らせて欲しいと頼まれたのだが、精霊王や幻獣王達は自分達から話しかけられるレナードに報告すれば良いと思っているのだった。
特にボッデス子爵とリチェン男爵は元々尻尾切りを想定してか、重要な書類の内でも直接の業者や冒険者などのやり取りの物などしかなく、同じ身分や商家などの仲間の名前しか見つからなかった。
それでも見つかった書類にある名前は全て捕縛して、処罰が出来たおかげで各地の誘拐や密猟が減ったらしい。
「悔しいよな。
せっかく風の精霊様が書類の隠し場所まで見つけてくれたのに『私の名前を勝手に使っていたようだ。領を管理する者として代わって謝罪する』だってさ。
偽造が可能な直筆のサイン以外の証拠はなかったからってさ。
やっと辿り着く証拠が手に入ったって言うのに!」
「アクトモン侯爵やダークィアー伯爵が関わっているのは、明らかなのに!」
「そうだよ、二人が争うように様々な物を収集する珍品好きは領内では公然の事実なのに!」
「幻獣を直接手元で管理してないからって言い逃れしたなんて」
などと、ようやく追い込んだと思ったのにと悔しくて愚痴っている冒険者ギルド職員達の声を聞いたのは、幻獣舎の素材採取の追加募集のために集まった精霊王達や幻獣王達を見に来た下級精霊達だった。
内容が分からないが、仲間に関係あることだと思い手分けして会話をそのまま覚えて、一番近くにいた大精霊に自慢気に再生して見せた。
小さな子達の話しを聞いた土の大精霊は内容を理解し、王達が帰る間際まで待って報告した。
途中で報告すると過激な火や風が直ぐに飛び立つだろうから。
案の定聞き終えた火と風が激怒して即効処分しようとして、ノームの結界に阻まれた。
《何故止メル、土ノ》
《人間達ガ処罰出来ナイナラ良イデハナイカ!》
シルフとサラマンドルが叫ぶ。
《マア待テ、約束ヲ忘レタカ?》
《土ノ言ウ通リダ。人間達ニ知ラセネバナラヌ》
《ソノ人間達ガミスミス逃シタノニカ!》
怒り心頭のサラマンドル。
幻獣王達は精霊王達の話しを聞き耳を立てて待機していた。
《我ラノ協力ニ対シ、人間達ハ不十分デハアルガ約束ヲ守ッタ》
《水ノ言う通リダ。我ラハ約束ヲ違エヌ》
《ソレトモ人間共ニ我ラガ嘘吐キト言ワレテモ行クノナラ止メヌガ》
不承不承の顔で思い止まった。
《風ト土ノハ話題ニ出タ人間ト関係者ヲ大キイノニ言ッテ即刻探シダシ、小サキ者ノデ監視シテ欲シイ》
《既ニ向カワシタ》
とシルフが言い、
《アイ分カッタ》
とノームが言った。
《サテ、人間ノ所ニ行ク前ニ、全員ヲ見ツケタ後ドウシタイカ、意見ヲ聞コウ》
《子ヤ仲間ヲ奪ワレタ者ガ追イ回ス》
フェンリルが叫ぶ。
《ソレハ良イ、他ニハ?》
《人間ノリーダーノ一族ヲ集メテ、目ノ前デ一人ズツ傷ツケ、ジワジワ殺ス》
忌々しげに言うアースドラゴン。
《ソレハ我ラノ苦シミヲ体験サセラレルナ》
《水楼ニ閉ジ込メ、我ラノ同志一族ガ皆殺シサレタ場面ヲ泣キ叫ブマデ次々ト見セル》
とアスピドケローネ。
《ドチラカノ一族ハ、一族ノ大切ナ家ヤ物ヲ目ノ前デ焼ク》
《デワ我ハ、火ノ輪デ一族ヲ囲ンデジワジワト狭メテヤロウ》
フェニックスに続き、サラマンドルが笑いながら宣言する。
《土壁デ延焼ヲ防イデヤルカラ派手ニヤッテイイゾ》
《今回ノ処罰カラ逃レ、先程聞イタ一族ト使用人以外デ協力者ヲ見ツケタラ、頭ダケ出シテ埋メテシマオウ》
アースドラゴンに続いてノームが提案する。
《モシ集落単位デ協力スル者達ガイタラ、我ガ水害ヲ起コシテ全テ流シテシマオウ》
最後にオンディーヌが宣言する。
それぞれが満足のいく発言が出来、誰もが納得のいく方法だったので、報復方法が概ね決まったからと、準備の前に約束通りにレナードのところへと4人と4頭で試練の森に出向いた。
ちなみに正確にはギルド長達に報復前に知らせて欲しいと頼まれたのだが、精霊王や幻獣王達は自分達から話しかけられるレナードに報告すれば良いと思っているのだった。
1
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説
俺のスキルが無だった件
しょうわな人
ファンタジー
会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。
攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。
気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。
偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。
若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。
いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。
【お知らせ】
カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。
俺がマヨネーズ男爵だとぅ!?~異世界でおっさん領主は奴隷ちゃんと結婚したい
武蔵野純平
ファンタジー
美少女性奴隷と幸せに暮らすため、おっさんは異世界で成り上がる!
平凡なおっさんサラリーマンの峰山真夜は、ある日、自室のドアが異世界につながっている事を知る。
異世界と日本を行き来し、異世界では商売を、日本ではサラリーマンの二重生活を送る。
日本で買ったアイテムを異世界で高額転売し金持ちになり、奴隷商人のススメに従って美少女性奴隷サラを購入する。
愛する奴隷サラと幸せに暮らすため、おっさんサラリーマン・ミネヤマは異世界で貴族を目指す。
日本ではかなえられなかった立身出世――成り上がりに邁進する!
捨てられ従魔とゆる暮らし
KUZUME
ファンタジー
旧題:捨てられ従魔の保護施設!
冒険者として、運送業者として、日々の生活に職業として溶け込む従魔術師。
けれど、世間では様々な理由で飼育しきれなくなった従魔を身勝手に放置していく問題に悩まされていた。
そんな時、従魔術師達の間である噂が流れる。
クリノリン王国、南の田舎地方──の、ルルビ村の東の外れ。
一風変わった造りの家には、とある変わった従魔術師が酔狂にも捨てられた従魔を引き取って暮らしているという。
─魔物を飼うなら最後まで責任持て!
─正しい知識と計画性!
─うちは、便利屋じゃなぁぁぁい!
今日もルルビ村の東の外れの家では、とある従魔術師の叫びと多種多様な魔物達の鳴き声がぎゃあぎゃあと元気良く響き渡る。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
魔法使いじゃなくて魔弓使いです
カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです
魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。
「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」
「ええっ!?」
いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。
「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」
攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――
ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~
空戯K
ファンタジー
ごく普通のぽっちゃり女子高生、牧 心寧(まきころね)はチートスキルを与えられ、異世界で目を覚ました。
有するスキルは、『暴食の魔王』。
その能力は、“食べたカロリーを魔力に変換できる”というものだった。
強大なチートスキルだが、コロネはある裏技に気づいてしまう。
「これってつまり、適当に大魔法を撃つだけでカロリー帳消しで好きなもの食べ放題ってこと!?」
そう。
このチートスキルの真価は新たな『ゼロカロリー理論』であること!
毎日がチートデーと化したコロネは、気ままに無双しつつ各地の異世界グルメを堪能しまくる!
さらに、食に溺れる生活を楽しんでいたコロネは、次第に自らの料理を提供したい思いが膨らんできて――
「日本の激ウマ料理も、異世界のド級ファンタジー飯も両方食べまくってやるぞぉおおおおおおおお!!」
コロネを中心に異世界がグルメに染め上げられていく!
ぽっちゃり×無双×グルメの異世界ファンタジー開幕!
※基本的に主人公は少しずつ太っていきます。
※45話からもふもふ登場!!
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる