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第3章

通訳

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ピュードルの前に現れた小さな猿は、ピュードルにペコリと頭を下げた。
《私ハ大精霊ノネーベルダ。
主人ノ言葉ヲ私ニソノママ伝エテ欲シイ。
ソシテ、私ノ言葉ヲ人ニ伝エテ欲シイ。
頼メルカ?》
《コルザ、ガンバル》
これで精霊の話し合いは通訳が出来た。
まだアルバからは反応はない。
《アルバ、駄目だったのかな》
《済マヌ、言イダスタイミングヲ逃シタガ、途中カラ話シハ聞イテオル。
ネーベルガ召喚獣ヲ呼ンデクレタノハ、私ノタメナノダ。
私ハコウイウノハ得意デナクテナ》
《話しかけて済みません。来ていただきありがとうございます》
《構ワヌ、コレモ同胞ノタメダ》
その後コナーさんの説明で調査対象と、やることを聞いたネーベルとフェンリルは、一旦媒介を解いて相談に森に戻った。
そしてコナーさんは明日、トラヴァーに行きピュードルのような精霊を譲り受ける話しになったらしい。
レナードも自宅に戻って、リベルタの冒険ギルドにこのことの報告と協力をお願いしに行く。
ピュードルとアルバには、話しが終わった後に出した果実を絞って果汁をご褒美に飲ませた。
ピュードルは殊の外喜んでいた。
下の子達が騒いでいた理由が分かったと言って。
アルバがいるから馬車で宿まで送ってもらった。
明日は貸し馬車で自宅へと戻る。

宿で朝食を食べていると、商業ギルドの職員がやって来た。
「レナードさんおはようございます。
間に合って良かったです。
実はこちらのギルドの優良会員の行商人の1人に変異種の子馬が生まれていたので、直接リベルタへ話しを聞きに今日出発する者がいるんです。
今朝冒険ギルドから、レナードさんが居て、今日帰られると聞いたので同乗のお誘いに来ました」
「食事が終わったら貸し馬車屋へ行くつもりでしたが、こちらこそその方が助かります」
「では、話しをつけておくので、後で商業ギルドへ来て下さい」
そう言って帰って行った。
アルバはまだ成獣ではないし、今は人のいるところでは見かけなくなった種族で狙われるため、町中ではなるべく冒険ギルドの馬車で移動している。
今朝も馬車が来ることになっているので、それまでにチェックアウトを済ませておく。
馬車にアルバ達を乗せ、肩にクレドを乗せて御者をしている職員に、事情が変わったこと説明して、商業ギルドへ向かうように告げた。
商業ギルドで先程の職員を見つけ声をかけた。
「約束通り来ましたが、出発はいつになりますか?」
「お昼頃の予定なので、まだ2時間くらい到着するまでにありますね」
「そうですか。困ったなぁ」
「急いでいるのですか?それなら…」
「いえ、そういうことではなく」
近付いて小声で伝える。
「実は幻獣が麒麟という珍しい種族で、人に襲われて知らない人を怖がるので町中では馬車で移動しているんですよ。」
「ほぅ、それでは倉庫の方へ」
トラヴァーのことは商業ギルドにも伝わっていて、配慮をしてくれた。
乗せてくれる行商人の方がギルドで荷物を積むというので手伝ってから、アルバを紹介して荷台に一緒に乗せてもらった。
変異種の子馬も乗っているというので、挨拶代わりに魔性果実をプレゼントすることにた。
食べやすいように小さく切って器に入れ、目の前に置く。
《食べると元気になるよ》
他の子も欲しがったので、1個ずつ与えた。
他の子が食べたのを見てようやく口にする。
動く荷台の上だから果汁に出来なかったが、柔らかい果実だから苦労はしてたが完食していた。
《オイシイ》
《喜んでもらえて良かった》
馬以外の動物ばかりで戸惑っていたみたいだが、同じ物を食べたことで気を許したのか、アルバと戯れあっていた。
レナードは御者のところに移動する。
「今日は同乗させていただきありがとうございます。
訳ありであの子だけで追随させる訳にはいかないため助かりました」
「行き先の手前だし、何よりあんたが変異種の育成経験者っていうから、道中のうちの子のことを安心して任せられるから引き受けたまでだ」
「道中の世話はお任せ下さい」
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