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第2章

裁縫

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部屋に戻ると結界の魔道具を解除する。
途端に勢いよく風が吹き付ける。
テンションが上がる妖精と精霊が踊り舞っていて、小さな旋風を作っていた。
「これは駄目だ…」
荷物を何も出してなかったから被害らしい被害はないのが幸いだった。
《2人共落ち着いて、ベットに降りて来て》
《ハーイ》
《美味しかったから踊ってたの?》
《ソウナノ♪》
《それは良かった。今から作業をするから遊ぶならベットの上でね。風はなしで》
《ワカッタ!》
道具や素材などを備え付けの机に集め、包んでいた毛布から卵を取り出す。
椅子に座ると服を捲りお腹のところにハンカチで包んだ卵を入れる。
蓋付きバスケットの中の大きさを測り、着古して柔らかくなったシャツを使いクッションを作る。
中身は誰でも狩れる水鳥の羽根で、少量では買取りしてくれなからと貯め込んでいた物。
売れる量まで貯めるより、こうやって使うことのが多いかもしれない。
羽根が偏り過ぎなように4箇所ほど縫い留める。
シャツの余った部分を使い、手のひらサイズの小さなクッション2つを作る。
ドーナツ状のクッションも作り、この中には使えない部や小さなハギレを適当な大きさに切り、丸めて指で押すと少し凹むくらいの硬さに詰めた。
片袖を使い巾着袋も作る。
先程作った小さなクッションの1つにドーナツ型クッションを乗せ、その上に残りのクッションを被せるように乗せて巾着袋に入れる。
これで温度を保ちつつ、安全に移動出来る準備が整った。
自宅に着いたら、小さなクッションとドーナツクッションで巣のようにして、クレドに温めてもらえるようにとこの形にした。
もう片袖で巾着袋より一回り大きいポケットを作り、明日着るシャツの内側に縫い付ける。
起きている時はお腹ポケットに入れて温め、採取や狩りなど動きが激しい時にバスケットに入れておけるようにした。
幻獣や魔物などの卵は、一般的な動物より一回り以上大きく丈夫である。
中でも竜種は硬く、一番弱い火蜥蜴といえど1mの高さから落としても割れない。
ただ孵化間近は中から少しずつ溶けて柔らかくなるので、あとどれくらいの期間が分からないので念んのためにと用意したのだ。
《作業が終わったからこっちへおいで》
妖精と精霊はベッドから飛んで来た。
《火蜥蜴の卵ベッド兼移動用の入れ物だよ。
それからこのバスケットはさっきは用意出来なかったけど、クッションを作ってひいておいたからね。
採取や狩りの時は卵用のこの袋ごと入れるから、面倒はよろしくね》
自分達のためにクッションをひいてくれたと喜んでバスケットに飛び込む妖精と、バスケットの周りをぐるぐると凄い勢いで飛び回る精霊。
《オモシロ~イ》
覗いてみると少し飛び上がっては落ちてボスッとクッションに埋もれていた。
それを見て少し実体化を強めた精霊も飛び込み、ゴロゴロ転がって遊んでいた。
側面の壁に当たらないように止まろうとした精霊のすぐ横を、偶然妖精が落ちて来たせいで精霊はそのままバスケットの壁にぶつかった。
《ワッ!》
《ビックリシタ!》
《ビックリシタネ》
キャッキャと楽しそうだが、妖精と精霊本人達は楽しそうだが、見ている方はハラハラする。
巾着袋から中身を出して並べていると、いつの間にか2体が側で見ていた。
《ソレナァニ?》
《カワイイネ》
《さっき言ってた火蜥蜴用のだよ。
こうするとベットで、こうやって挟んで袋に入れると移動用になるんだ》
《アタシモホシイ!》
《ベットホシイ!》
《えっ!精霊ってベットで寝るの?
妖精も人間が作ったので良いの?》
《「ベットガイイ!》
《分かったよ。でも材料がないから、家に帰ってからね》
《ヤッタ~!》
この街を出る前に雑貨屋に寄らないとと思いながら、騒ぐ2体をバスケットをベットに見立ててやり静かにしているように伝えて、ようやくレナードはベットに入った。
妖精はともかく精霊は睡眠を特に必要とはしない。
真似っこするのが好きなだけ。
下級精霊達は元気と好奇心が有り余っているから、実は付き合うのは大変なのたっだ。
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