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第2章
大精霊
しおりを挟むとりあえず一旦森に連れて行き、状況次第では連れ帰ることをシリル達に説明した。
「魔獣は種族で育てるやつと親が育てるやつがいるからなぁ。
卵じゃどんな種族か分からないし、妖精や精霊は気まぐれだからなぁ」
「私と幼体でトラヴァーの入り口まで攫われた子達を連れて行くよ。
森の外まで2人程護衛役を頼みたい。
魔獣や他の人が居たら対処出来ないから」
「俺たち幸運なる蒼き仲間達で護衛してやるよ。
盾役と接近戦に強い奴を付ける。
他のやつは少し離れたところで待機するから心配するな」
慎重に卵を毛布に包み、妖精と精霊は幻獣の幼体の背中や頭に乗せた。
幻獣達の食糧として、小さく切ったホーンラビットの肉と魔性果実もマジックバックに入れて出発した。
トラヴァーに入ると空気が変わる。
魔素が多くなって来たせいか、精霊達が少し光り出した。
一番元気な妖精が案内してくれた場所で止まる。
《ダレカヨンデクル》
そう言って奥へ飛んでいった。
その間に他の子達に魔性果実を絞ってジュースにする。
妖精達は近くから器代わりの葉を取って来たので、順番に入れてあげた。
しばらくして大精霊を連れて妖精が戻って来た。
《人ノ子ヨ、同胞ヲ助ケテクレテ感謝スル》
妖精や精霊はジュースを飲みほすと、次々に大精霊の元に飛んでいった。
毛布に包んでいた卵を地面に置く。
《妖精に聞いてもらったら、親が生きていたら戻りたいと言っているというので連れて来た。分かるだろうか?》
《シバシ待タレヨ》
付き従っていた精霊や妖精達が飛び立っていく。
《我ハ、コノ森の大精霊ノ1人。先程コノ子ラカラ事情ハ聞イタ。良い人ノ子モイルノダナ》
《迷いの森に来る人族は欲深い者が多いですが、そうじゃない人族も沢山います》
《ソノ様ダナ。今回助ケラレタ中ニ、美味シイ物ガモラエルカラ付イテ行キタイトイウ者モイル。小サキ者ハ好奇心ガ旺盛デ、危険ナノニ森ヲ出タガリ困ッタモノダ》
《困りましたね。私は幻獣使いだからある程度は言葉が分かりますが、精霊や妖精となるとどうして良いのか分かりません》
《ナニ、小サキ者ハスグニ飽キル。
次にココニ来ル時マデデ構ワナイ。
ソレナラバ頼メルカ?》
《分かりました。ただ2体までお願いしたいです。それ以上は自信がありません》
《スマナイ、アノ者達ノ話シヲ聞イテ、他ノ者モ騒イデシマッタ》
妖精や精霊達が飛び回っているのは、レナードに付いて行きたくて騒いでいるらしい。
《アァ、卵ヲ人族ニ盗マレタト言ウ者達ガコチラニクル》
《私達は少し離れています》
《ソウシテクレ》
小さな卵以外は引き取られていったが、他にも攫われたようで項垂れて帰って行くものもいた。
《コノ子ノ親ハ片親ニナリ、他ノ子ガイルカラ迎エニ来レナイトイッテイル》
卵に大精霊が何やら話しかけた。
この森に残りたいなら育ての親を探してくれるという様な内容だったらしいが、実の親に捨てられたとショックを受け、拒否して話しを聞こうとしない様子だった。
レナードは幼体と一緒に卵に近付き毛布ごと抱き上げ、優しく撫でた。
幼体も鼻を寄せて卵を舐めた。
幻獣使いでは産まれていない幻獣に話し掛けても通じることはない、それでも絶望する卵に希望を持って欲しかった。
《この子も親が迎えに来ないけど、仲間が出来て頑張っているよ。だから私と一緒に行こう》
《ホウ、ソノ子ハココデハ見タコトナイト思ッタガ、人ノ子ノトコロニイルノカ。
珍シイノォ鋼ノ麒麟カ》
《この子の産まれと種族が分かるのですか?》
《フム、麒麟共ハ他ノ種族ヲ助ケテボロボロニナリ、隠レテシマッタノダ。人族ニ居場所ヲ知ラレタクナイダロウ》
《そういう理由なら迎えに来ることは難しいそうですね。せめて機会があればこの子が生きていることを伝えてもらえませんか?》
《イツニナルカ分カラヌガ約束シヨウ》
大精霊が卵に話し掛け、麒麟の子の同じ状況と知り、レナードと共に森を出ることになった。
この話し合いの間についていく妖精と精霊も決まったらしい。
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