18 / 196
第1章
驚愕
しおりを挟む
「それは本当ですか!」
凄い勢いで聞かれてレナードは困惑した。
ヘルマンさんの時にも驚いたが、ギルド長ほどではなかった。
「はい。うちにいるコッコのルゼが言うには、庭にいた魔物であるミミズもどきを間違えて食べたところ、身体が楽になったとか。
他の魔物の虫も食べた時も同じだったため、普通の虫より素早いから捕まえるのは大変だったが、食べ続けたら自分だけ変異種で成体になれたというので試してみました。
ちょうど幻獣の幼体を保護して、養い親の幻獣がいるため、魔物の肉や魔性果物を用意していたのでその日から毎日少しずつ食べさせました。
鳴き声も強くなり、食事の勢いも良くなり、調子を崩すことも減りました」
「エドウィン、素晴らしい発見だと思いませんか!!」
「あぁ、変異種は伝書屋以外でも、無事成体になれば賢く強い個体になるため重宝するが、生存率が著しく低かった。
だが、養殖業のように変異種が要らない業種の方が生存率が高いのがネックだったが、まさかその理由が放牧にあったとは!」
「でもギルド長、あくまでもうちのコッコと鷹の雛に効果があるように感じただけで、それが正解なのかはわかりません」
「それはこれから検証はするから大丈夫です!
それよりこのことが本当だったら、変異種が欲しい産業にとっては画期的な革命です。
ヘルマンさんのところ以外にも、ギルドが懇意にしている業者で極秘裏に検証を始めましょう!」
興奮状態で目を爛々とさせて熱弁する様子にレナードは引いていた。
「私のところは許可が下り次第、餌を変えれるように手配しております。
流石に民間の仮親さん達にはまだ頼めませんが、施設内の雛達は直ぐに実践します。
そうだ!冒険ギルド長にも話しをして、魔物の虫の採取依頼もしないと!」
「ヘルマンさん、今から冒険ギルドへ行きましょう!
これは冒険ギルドにとっても有用な情報ですが、依頼から検証が終わる前に漏れてはいけない!
副ギルド長、誰か冒険ギルドに使いを!
そして協力してくれる業者や個人のリストアップに必要な資料を直ちに集めてくれ!」
慌ただしく副ギルド長が部屋を飛び出して行く。
ギルド長とヘルマン氏は計画に必要な情報を書き出している。
副ギルド長以外にも何人かが資料を持って入室し、専属担当を決めたり、リストアップしたりと、レナードを置いて次々と進んでいく。
冒険ギルドから在室の返事が来ると、ヘルマン氏と共にレナードも冒険ギルドへと連れて行かれて、あっという間にギルド長の部屋へ通される。
そして商業ギルドと同じ説明を繰り返す。
商業ギルド長ほどではなかったが、冒険ギルド長も興味津々で、養殖業者からの変異種の引き取りを強化すると宣言。
魔物の虫を採取する理由を考えなければと、乗り気だった。
「いやー、レナードにコッコの変異種を引き取ってもらったのがこんな結果になるなんて驚いたが、これが本当なら魔物の虫駆除関連の依頼も塩漬けにならずに済むし、危険が少ないから未成年の冒険者の仕事も増えるな」
その後ギルド長同士で何やら相談していて、『あいつも巻き込もう』などといった怪しい単語も漏れ聴こえて来た。
「あの~、魔物の虫じゃなくても魔物や魔獣の肉や魔性果物でも良いらしいです。
あとある程度大きくなれば、魔性果樹園や幻獣が食事する場所などに連れて行って、魔素や精気などを吸収させても良いみたいです」
「誰か魔性植物園の園長を呼んで来い!」
「えっ「はい!」」
レナードの声に被せるように職員が返事をして部屋を飛び出していった。
結局魔性植物園の園長も加わり、商業ギルドと冒険ギルドの3者協定が結ばれ、秘密裏に変異種育成計画の検証実験がその日の内に決まった。
魔性植物園は魔物の虫の駆除と、人族には売れない果物の処分と、増え過ぎると困る魔素の管理が出来ると大喜びだったし、変異種の益虫にも応用出来るかも知れないと、専属職員も用意すると意気込んでいた。
元気に育った報告も兼ねてのちょっとした情報のつもりが、大ごとになって呆然と冒険者ギルドのソファに座るレナードだった。
しかし後にこのことにレナードが深く関わることになるとは想像もしていなかった。
凄い勢いで聞かれてレナードは困惑した。
ヘルマンさんの時にも驚いたが、ギルド長ほどではなかった。
「はい。うちにいるコッコのルゼが言うには、庭にいた魔物であるミミズもどきを間違えて食べたところ、身体が楽になったとか。
他の魔物の虫も食べた時も同じだったため、普通の虫より素早いから捕まえるのは大変だったが、食べ続けたら自分だけ変異種で成体になれたというので試してみました。
ちょうど幻獣の幼体を保護して、養い親の幻獣がいるため、魔物の肉や魔性果物を用意していたのでその日から毎日少しずつ食べさせました。
鳴き声も強くなり、食事の勢いも良くなり、調子を崩すことも減りました」
「エドウィン、素晴らしい発見だと思いませんか!!」
「あぁ、変異種は伝書屋以外でも、無事成体になれば賢く強い個体になるため重宝するが、生存率が著しく低かった。
だが、養殖業のように変異種が要らない業種の方が生存率が高いのがネックだったが、まさかその理由が放牧にあったとは!」
「でもギルド長、あくまでもうちのコッコと鷹の雛に効果があるように感じただけで、それが正解なのかはわかりません」
「それはこれから検証はするから大丈夫です!
それよりこのことが本当だったら、変異種が欲しい産業にとっては画期的な革命です。
ヘルマンさんのところ以外にも、ギルドが懇意にしている業者で極秘裏に検証を始めましょう!」
興奮状態で目を爛々とさせて熱弁する様子にレナードは引いていた。
「私のところは許可が下り次第、餌を変えれるように手配しております。
流石に民間の仮親さん達にはまだ頼めませんが、施設内の雛達は直ぐに実践します。
そうだ!冒険ギルド長にも話しをして、魔物の虫の採取依頼もしないと!」
「ヘルマンさん、今から冒険ギルドへ行きましょう!
これは冒険ギルドにとっても有用な情報ですが、依頼から検証が終わる前に漏れてはいけない!
副ギルド長、誰か冒険ギルドに使いを!
そして協力してくれる業者や個人のリストアップに必要な資料を直ちに集めてくれ!」
慌ただしく副ギルド長が部屋を飛び出して行く。
ギルド長とヘルマン氏は計画に必要な情報を書き出している。
副ギルド長以外にも何人かが資料を持って入室し、専属担当を決めたり、リストアップしたりと、レナードを置いて次々と進んでいく。
冒険ギルドから在室の返事が来ると、ヘルマン氏と共にレナードも冒険ギルドへと連れて行かれて、あっという間にギルド長の部屋へ通される。
そして商業ギルドと同じ説明を繰り返す。
商業ギルド長ほどではなかったが、冒険ギルド長も興味津々で、養殖業者からの変異種の引き取りを強化すると宣言。
魔物の虫を採取する理由を考えなければと、乗り気だった。
「いやー、レナードにコッコの変異種を引き取ってもらったのがこんな結果になるなんて驚いたが、これが本当なら魔物の虫駆除関連の依頼も塩漬けにならずに済むし、危険が少ないから未成年の冒険者の仕事も増えるな」
その後ギルド長同士で何やら相談していて、『あいつも巻き込もう』などといった怪しい単語も漏れ聴こえて来た。
「あの~、魔物の虫じゃなくても魔物や魔獣の肉や魔性果物でも良いらしいです。
あとある程度大きくなれば、魔性果樹園や幻獣が食事する場所などに連れて行って、魔素や精気などを吸収させても良いみたいです」
「誰か魔性植物園の園長を呼んで来い!」
「えっ「はい!」」
レナードの声に被せるように職員が返事をして部屋を飛び出していった。
結局魔性植物園の園長も加わり、商業ギルドと冒険ギルドの3者協定が結ばれ、秘密裏に変異種育成計画の検証実験がその日の内に決まった。
魔性植物園は魔物の虫の駆除と、人族には売れない果物の処分と、増え過ぎると困る魔素の管理が出来ると大喜びだったし、変異種の益虫にも応用出来るかも知れないと、専属職員も用意すると意気込んでいた。
元気に育った報告も兼ねてのちょっとした情報のつもりが、大ごとになって呆然と冒険者ギルドのソファに座るレナードだった。
しかし後にこのことにレナードが深く関わることになるとは想像もしていなかった。
1
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説
俺のスキルが無だった件
しょうわな人
ファンタジー
会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。
攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。
気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。
偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。
若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。
いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。
【お知らせ】
カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。
俺がマヨネーズ男爵だとぅ!?~異世界でおっさん領主は奴隷ちゃんと結婚したい
武蔵野純平
ファンタジー
美少女性奴隷と幸せに暮らすため、おっさんは異世界で成り上がる!
平凡なおっさんサラリーマンの峰山真夜は、ある日、自室のドアが異世界につながっている事を知る。
異世界と日本を行き来し、異世界では商売を、日本ではサラリーマンの二重生活を送る。
日本で買ったアイテムを異世界で高額転売し金持ちになり、奴隷商人のススメに従って美少女性奴隷サラを購入する。
愛する奴隷サラと幸せに暮らすため、おっさんサラリーマン・ミネヤマは異世界で貴族を目指す。
日本ではかなえられなかった立身出世――成り上がりに邁進する!
捨てられ従魔とゆる暮らし
KUZUME
ファンタジー
旧題:捨てられ従魔の保護施設!
冒険者として、運送業者として、日々の生活に職業として溶け込む従魔術師。
けれど、世間では様々な理由で飼育しきれなくなった従魔を身勝手に放置していく問題に悩まされていた。
そんな時、従魔術師達の間である噂が流れる。
クリノリン王国、南の田舎地方──の、ルルビ村の東の外れ。
一風変わった造りの家には、とある変わった従魔術師が酔狂にも捨てられた従魔を引き取って暮らしているという。
─魔物を飼うなら最後まで責任持て!
─正しい知識と計画性!
─うちは、便利屋じゃなぁぁぁい!
今日もルルビ村の東の外れの家では、とある従魔術師の叫びと多種多様な魔物達の鳴き声がぎゃあぎゃあと元気良く響き渡る。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
魔法使いじゃなくて魔弓使いです
カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです
魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。
「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」
「ええっ!?」
いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。
「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」
攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――
ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~
空戯K
ファンタジー
ごく普通のぽっちゃり女子高生、牧 心寧(まきころね)はチートスキルを与えられ、異世界で目を覚ました。
有するスキルは、『暴食の魔王』。
その能力は、“食べたカロリーを魔力に変換できる”というものだった。
強大なチートスキルだが、コロネはある裏技に気づいてしまう。
「これってつまり、適当に大魔法を撃つだけでカロリー帳消しで好きなもの食べ放題ってこと!?」
そう。
このチートスキルの真価は新たな『ゼロカロリー理論』であること!
毎日がチートデーと化したコロネは、気ままに無双しつつ各地の異世界グルメを堪能しまくる!
さらに、食に溺れる生活を楽しんでいたコロネは、次第に自らの料理を提供したい思いが膨らんできて――
「日本の激ウマ料理も、異世界のド級ファンタジー飯も両方食べまくってやるぞぉおおおおおおおお!!」
コロネを中心に異世界がグルメに染め上げられていく!
ぽっちゃり×無双×グルメの異世界ファンタジー開幕!
※基本的に主人公は少しずつ太っていきます。
※45話からもふもふ登場!!
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる